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平滑筋肉腫のKさんの闘病記 14:梅澤先生のセカンドオピニオンその1。 [医療・健康&がん関連]

Kさんが「大塚北口診療所」の腫瘍外来の梅澤先生にセカンドオピニオンをお願いすることにしたので、予約を入れた当日、一緒に話を伺ってきました。

梅澤先生のブログを読めば、おわかりになると思いますが、何でもズバッとストレートに言う(書く)方です。だから、「ちょっと怖い人かも~?(汗)」と私はビクビクしていました。
私の本に登場してくれた「Hさん」こと“がん友”Nちゃんも梅澤先生にお世話になっているので、事前に心構えを聞いてみることにしました。

ちえ 「梅ちゃん先生に会いに行くことになったけど、コワモテかなぁ? ドキドキ~」
Nちゃん 「千絵ちゃん、わからないことは間髪入れず聞く。先生は独り言みたいに大事なこと話すからね~
(≧∇≦)」

なるほど、会ったことのある人じゃないと絶対にわからないアドバイスですね。ありがたや~♪ 先生のお話を聞き漏らさないように気をつけなきゃ!

というわけで、Kさんができる限り積極的に質問し、私はメモを取りまくるという役割分担にしました(でも、実際には途中から私が出しゃばって、質問を繰り出す格好になってしまいましたが~)。

さて当日、Kさんは挨拶しながら「梅ちゃん先生にお会いできて……」と言ったので、私はヒヤッとして心の中で焦りながら(Kさんッ、“梅ちゃん”は私たちの間でのニックネームだから、ご本人の前で「ちゃん付け」はマズイんじゃないの~ッ!?)と叫んだのですが、聞こえるはずもなく~(汗)。
チラッと梅澤先生のお顔を見ると、マスクを着けているので口元はわからないものの、目には不快な反応もないのでホッとしたのですが、Kさんも無意識でポロっと出ちゃったのでしょう。そう呼んだことすら覚えていないかも(笑)。
Nちゃんなんて体形からの連想で先生に「ムーミン」という愛称を付けています。私たちのこういう感覚は学校の先生に、あだ名を付けるのと同じですねぇ。でも、梅澤先生なら面白がってくれそうです。

先生は椅子に深々と座り、こうおっしゃいました。「ハラ出して座ってますけど、エラぶってるわけじゃないですよ。腰が痛いんでね~」

私の予想に反し、先生は決してコワモテではなく、ユーモアを含んだ穏やかで丁寧な話し方をなさいます。医学の知識が希薄でも理解しやすいように平易な言葉を使って説明してくださるので、先生のお話は非常にわかりやすく頭に入りましたし、雑談も含め、いろいろ話すうちに、患者に対して思いやりの深い温かな人柄だと感じました。
全般的には、これまでの経過をもとに、さまざまな治療法について再確認するという流れとなりました。

Kさんは12月初旬にセカンドオピニオンを依頼するメールを送った時点では、「今後の治療法について右か左か真っ向から迷っていた」そうです。初発の平滑筋肉腫の手術を受けたA病院の外科医は、「モグラ叩きのように腫瘍ができるたびに切って取ればいい」という考え方だったので、今度はがん専門病院の希少がんの窓口を頼ってみたら腫瘍内科医の診断を仰ぐこととなり、治験を勧められました。

このときKさんは、「自分の体を使って新薬に貢献できるなら、これも運命かと思いながら病院をあとにしましたが、抗がん剤の副作用で元気もりもりの細胞まで侵され、私らしい生活ができなくなるのはイヤなので、『腫瘍ができたら切って取る』を選択したほうが今、元気な細胞も元気なままでいられる。ああ、どうしようと迷っていた」とのことでした。

こうした経緯とともにKさんから梅澤先生へ最初に送ったメールには、以下のことも書き添えてありました。
●生年月日(年齢)、職種、身長・体重、持病の有無
●家族や日常生活について
●病歴(時系列で詳しく書いたもの)

先生には「年明けにA病院に入院して肝転移の切除手術を受ける」と伝えた上で、Kさんは「両親を看取るまでは延命治療を希望します。あと5~6年かと思うのですが…」と話したら、先生は「ご両親がもっと長生きするかもしれないでしょ?(笑)。思い通りにならないことも多いんですよ」と答えました。

がん体験者ではない方々だと、こういうときには「そんなこと言わないで長生きを目指そうよ」とか「絶対に大丈夫だから、自分で期限を切っちゃダメ」とか「必ず完治するから頑張ろう!!」などと、あれこれ励ましや慰めの言葉を掛けてくれるのですが、それはあまり必要ないかもしれません。

……てなことを言うと、すぐ感情的になるある女性から「じゃ、いったいなんて言えばいいのよッ! キーッ!!」というふうに叱られたこともあるんですけど(汗)、特別な言葉はいらないと思うんですよね~。
私自身は「完治なんて目指すのは精神的にも肉体的にも疲れるだけだから、死ぬまでがんと、ゆるゆる共生していけばいいんじゃないの~」という考え方ですし。周りの“がん友”も皆、「普段と同じように接してもらうのが一番ラク」と言っています。

さて、梅澤先生はKさんの持参したCT検査(11月下旬)の画像データを見ながら、各治療法の適・不適について説明してくださいました。
(以下、先生のコメントは箇条書き)

【肝臓の腫瘍について】
●腎臓と肝臓に嚢胞(のうほう)があり、膵臓は大丈夫。肝臓に嚢胞ができやすい体質なのだろう。腫瘍の隣にある小さい嚢胞が気になるが、手術の切除範囲に含まれる。
★ちえ註:「嚢胞」は液体の入った袋状のもので、肝臓のほか腎臓・膵臓・脾臓などに発生する場合もありますが、内臓に障害が発生する恐れのないものなら経過観察でOKとのこと。袋の中に個体が入っているものは「嚢腫(のうしゅ)」。

【血行性転移】
●血液は心臓から動脈を通して100送られると、静脈を通じて100戻るというふうに全身を循環しているが、すべての血液は、いったん必ず肝臓に流れ込む。だから、血行性転移のがんは肝臓に発生しやすい。

【がんの増殖スピード】
●単純に比較すると膵臓がんは「すさまじく速い」、胃がんは「速い」、大腸がんは「遅い」。
●Kさんの肉腫は初発から2年だと考えると、増殖スピードはそんなに速くはないと思う。
●がんの増殖は免疫の力にもよるので、増殖スピードは均一にならない。

【外科手術】
●肝臓の腫瘍は右下の部分にあるが、取りにくい場所ではないからザクッと切っちゃうことは可能。
●手術では腫瘍の周りを2㎝ぐらい切る。血行性の転移で蒔(ま)かれた種は同心円状に広がっていくので、切除するのは5㎝の腫瘍+マージン2㎝。
●とりあえず手術してスッキリしてしまうこと。悪い言い方をすれば「モグラ叩き」だが、そうしている間に新しい薬が出てくる可能性もある。分子標的薬の開発競争は激しいから。
●たとえ1㎝の腫瘍でも肝臓の門脈や肝動脈といった太い所に巻き付いている場合、切断したら肝臓全体が死んでしまうので、少しでも絡んでいると手術はできない。大動脈・大静脈は下半身全部に血液を運ぶ重要な役割。
●肝臓で作られる胆汁が漏れる恐れもある。胆汁は十二指腸へ流れて、白いものばかり食べても胆汁の色が着いて便の色になる。腹腔内(おなか)に漏れると塞ぐためのチューブを一生、入れる必要がある。
★ちえ註:胆汁は消化液で、肝臓手術の合併症として切断面や太い胆管から胆汁が漏れることがあるそうです。
通常は自然に治りますが、胆汁漏の量が多いとか細菌感染などの場合は排出のための胆道ドレナージ術が必要となる場合もあるとのこと。

・胆道ドレナージ術(日本消化器病学会)
http://www.jsge.or.jp/cgi-bin/yohgo/index.cgi?type=50on&pk=D42

【ラジオ波治療】
●ラジオ波は腫瘍の中心に電極針を刺して周りに熱を発生させ、電子レンジの要領で焼く方法。
●ヒトの肝臓はブタの肝臓の組織とよく似ていて、薄い膜に包まれている。Kさんの腫瘍の位置は被膜に近いので、ラジオ波だと被膜を破っちゃう恐れがある。
●外科手術でも局所はラジオ波や電気メスを使って何十秒か焼くこともある。
●ラジオ波と手術の実績が同程度かはわからない。治験のような同数のトライアルは行われていないから。
★ちえ註:ラジオ波を推進している医療機関のサイトには以下のような説明が多く見受けられます。

「肝癌においては既に広く行われており、手術と遜色のない成績が報告されています。」
・「肝、肺、腎、骨軟部腫瘍に対するラジオ波治療」(岡山大学大学院 医歯薬学総合研究科 放射線医学)
http://www.ok-radiology.jp/clinical/radio_html

[参考サイト]

●梅澤 充先生のブログ
「現在のガン治療の功罪 ~抗ガン剤治療と免疫治療」
http://umezawa.blog44.fc2.com/

●梅澤先生の「セカンドオピニオンについて」
http://blog-imgs-34.fc2.com/u/m/e/umezawa/second-opinion.html

●「大塚北口診療所」(東京都豊島区北大塚2-6-12)
http://www.keiseikai-group.com/ootsuka_kitaguchi/
※サイト内に「アクセスマップ」というページはあるのですが、現在、リンクさせているグーグルの地図はアフリカ大陸を表示しています(苦笑)。

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