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5月は縁起が悪い!? 『ダウントン・アビー』で知ったヨーロッパのジンクス。 [映画・テレビ・ラジオ・漫画]

英国の時代劇ドラマ『ダウントン・アビー』のシーズン2。
第7話「奇跡」・第8話「突然の悲劇」では、
第一次世界大戦が終結し、
ようやくダウントンのお屋敷も平穏な日々を取り戻した、
と思いきや~、次々と問題が勃発!!

(★以下、ネタバレてんこ盛り!
これから観る方は読まないほうがいいかもしれませんよ~)。

●伯爵の従者ベイツさんの妻ヴェラが服毒自殺
(夫が殺したと疑わせるために命を懸けた陰謀。ひぃ~、コワイよ~。泣)。
●三女のシビルは元運転手のブランソンとダブリンへ移住して結婚すると宣言
(世間知らずの純情なお嬢様の典型ですが、まっすぐで気持ちがいいほど。ブランソンはアイルランド人で共和国の独立を支持。イギリス人の保守派の伯爵とは相いれないわけです)。
●伯爵ロバートがシングルマザーのメイドと浮気未遂
(相手のジェーンは聡明な美人で上品な色気もあり、館の当主として全責任を抱え込む孤独なロバートが癒やしを求めるのもわかる。でもでも、良心の象徴のようなロバートくんが~!! ショックぅ。涙)。
●伯爵家の相続人のマシューは戦場で負傷し、下半身不随と診断されながら奇跡的に回復
(イケメン役は都合よく治癒するんですよねぇ)。
●マシューの婚約者ラビニアが、スペイン風邪に罹って結婚式が延期となった直後に急死
(けなげにマシューに尽くす献身的な女性。彼とメアリーが相思相愛という事実を突き付けられ、失意のままマシューの幸福を願いつつ息を引き取る。ひど過ぎるよ~。号泣。彼女の命を奪った「スペイン風邪」とはインフルエンザのことで、1918~19年に世界的に大流行しました。俗称とは異なり、アメリカから発生したそうです)。
●伯爵夫人のコーラもスペイン風邪で重症に
(鼻血を出したり吐いたりとレディらしからぬ場面の女優魂、すごいなぁ)。
●侍女のオブライエンが伯爵夫人を寝ずに看病し続ける
(意地悪リーダーが心を入れ替えた? 夫人の流産の原因が自分にあることを心から悔いている様子。繊細な演技が素晴らしい)。
●メイド長のアンナとベイツさんが婚姻届を提出
(おめでとう♪ 心から祝福しますけど、2人のベッドシーンはねぇ…。ベイツさんのプヨプヨの体は見たくなかったわ~。笑)。


ところで、第7話の中だと思いますが、
次女イーディスがラビニアに
「結婚式はいつ?」と尋ねる場面で、
先代の伯爵夫人バイオレットが口を挟み
「5月は縁起が悪いから6月がいいわ」
と主張するのですが、
なぜ5月は縁起が悪いのでしょう???

キリスト教で何かの忌避?
英国の昔ながらの風習?
貴族のしきたり?

日本では欧米にならって
「6月の花嫁は幸せになれる」という
「ジューン・ブライド(June bride)」の言い伝えを信じたり、
商業的に利用したりする人たちがいますし、
迷信のたぐいは信じない私でも、
ブライダル関連の広告コピーを書くときには
引用したりしましたけどね~。
でも、「5月の花嫁は縁起が悪い」なんて
聞いたことがありませんでした。

ドラマの中では
バイオレットの意見がすんなり通るので、
英国では一般的に言われていることなんでしょう。
そのため、セリフでは理由がわかりませんでしたから、
ネット上をウロウロして調べてみましたよ~。


英語で6月を表す「June(ジューン)」という単語は
ローマ神話の女神「Juno(ユノー)」が語源です。
ユノーはギリシャ神話だと
主神ゼウスの妻である女神ヘラに相当します。
古来、女性・家庭・子どもの守護神として
崇(あが)められてきました。

神話では1年の各月を神々が守護しますが、
ユノーの守っている月が6月で、
6月1日にはユノーを祀(まつ)る祭礼も行うことにちなみ、
結婚式を6月に挙げると、婚姻と出産を司(つかさど)る
女神ユノーの加護を受けて一生幸せになれる、
という伝説が生まれたようです。

そして、5月を守護するのが豊穣・繁栄の女神「Maia(マイア)」。
ギリシャ神話では「Pleiades(プレイアデス)」のことで、
5月を表す英単語「May(メイ)」の語源です。

イギリスにおける5月のイメージとは
新緑や花々の美しい生命力あふれる季節だとか。
日本も「目には青葉…」の時季でしょうか。
「May」には「春」「青春」「若い盛り」という意味もあります。

しかし、それと同時に5月は
女神マイアに豊穣祈願の生け贄(いけにえ)を捧げる月でもあり、
また、古代ローマでは死者を悼(いた)む
「レムリア祭(死霊祭・亡霊祭)」も5月に行われたので、
縁起の悪い月と言われるようになったとのこと。


この「レムリア祭」とは祖先を祀る儀式ではなく、
子孫がおらず、帰る所のない哀れな亡霊が対象で
(↑アタシのことかと思ったワ。笑)、
こうした亡霊は飢餓に苦しみ、この世に戻って人々の食糧を奪い、
生活を苦しめるという言い伝えから供養するのだとか。
(うんうん、霊魂を信じない私でも
食べるものがないと化けて出るかも~と思いますね。笑)。

「レムリア祭」のときは各家庭の代表者が家の周りを歩きながら
黒い豆を肩越し(自分の背後)にまきつつ
「悪霊よ、出て行け!」と唱えたとか。
節分の豆まきと同じですね~♪ 鬼は~外、福は~内!


もう一つの説があります。
ヨーロッパでは3~5月が農繁期なので、
昔は、その時期の結婚が禁止されていたそうです。
それでも忙しいさなかに
一緒になろうとするカップルを阻止するために、
「女神マイアは繁忙期の5月に結婚して浮かれている人々を嫌う」
という言い伝えが広がって(わざと広めて?)、
「5月の花嫁は縁起が悪い」という
ジンクスに繋がったのではないかと思われます。
必然的に、農作業の一段落する6月に結婚するカップルが多くなり、
周りからも大いに祝福されたそうですよ。

日本の6月は梅雨に入る頃なので、
そういう時季に挙式・披露宴などを催すと
雨の中、出席する招待客が面倒がるケースもあるようですが、
ヨーロッパの6月は1年の間で最も雨が少なく、
お天気の日が多い月だから歓迎されるという事情もあるとか。
とはいえ、ヨーロッパと言っても広いですからね。
ロシアとかは違うんじゃないの~?
と思ってチラッと調べてみたら、
ジンクスは英国と同様でした。へぇ~!
日本だと5月にはゴールデンウィークがありますから、
そういうときに結婚式を挙げたり
披露パーティを催したりする人たちも多いでしょう。

お国柄や気候風土、宗教、産業などによって実情はさまざま。
細かいことは考えない私なぞは、
おめでたいことなら5月でも6月でも
好きなときにすればいいじゃないの~♪と思うのですが、
全世界、人間のいる所には
何らかのいろんなジンクスがあるんでしょうね。

ところで、「ジンクス(jinx)」という言葉には、
本来なら縁起の悪い物や人、不運・不吉、不幸をもたらすもの
ケチをつける、疫病神といった
イヤ~な意味ばかりあるんですけど、
日本では良い意味にも使う人が増えているようです。
「幸運を授けてくれるジンクス」
「良いジンクスと悪いジンクスを教えて!」
「ジンクスとは縁起かつぎのことです」
「ピンク色は恋愛運が上がるジンクス」
といった表現を目にするたび、
誤用だと思っている私としては
片方の眉が吊り上がったり
眉間に深いシワが寄ったりするんですけど(苦笑)。


それはともかく~、
『ダウントン・アビー』シーズン3は
3月8日(日)からスタートだそうです!!
http://www9.nhk.or.jp/kaigai/downton3/index.html


♪♪♪ NHK総合 スペシャル番組 ♪♪♪

●2月15日(日)23:00~
『ダウントン・アビー 華麗なる舞台裏』
名場面のおさらい、撮影の舞台裏、
キャストの素顔、歴史トリビアなどを紹介。

・再放送
●2月17日(火)2:15~(=16日・月曜の深夜)
『ダウントン・アビー 華麗なる舞台裏』

・2つの番組をまとめて再放送
●2月22日(日)(=21日・土曜の深夜)
1:35~ 『ダウントン・アビー 華麗なる舞台裏』
2:25~ 『「ダウントン・アビー」の舞台 ハイクレア城の秘密』
ロケ地として人気の観光スポットとなった
美しい「ハイクレア城」の維持に努める
本物の“英国貴族”夫妻の暮らしぶりを紹介。

「NHK海外ドラマ ホームページ ダウントン・アビー2」
http://www9.nhk.or.jp/kaigai/downton2/
※放送予定は変更となる場合があります。
ご覧になる前に番組表をチェックしてくださいね~。

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