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イギリスの迷信? 花婿が結婚式の直前までに花嫁のドレス姿を見るのは縁起が悪い!? [映画・テレビ・ラジオ・漫画]

NHKの地上波では3月8日(日)の夜から、英国ドラマ『ダウントン・アビー』のシーズン3が始まりました!

第1話「挙式前夜」では、アメリカ人である伯爵夫人コーラの母のマーサ役でシャーリー・マクレーンが登場したのでビックリ! 伯爵の母のバイオレットを演ずるマギー・スミスとの丁々発止のやり取りは、ヒヤヒヤするほどスリリングで、上品にチクッと皮肉を効かせるのがステキ~!!(笑)。
現在、この2大女優は御年80だとか。年を取ることがカッコよく見える方々だな~と感心します。

さて、ストーリーは伯爵家の長女メアリーと紆余曲折の末、結ばれたマシューとの結婚式。メアリーの装うウェディングドレスがシンプルで本当に美しいのです。ドラマの結婚式当時の設定が1920年なので、デザイン史で言えばバウハウスやアール・デコの少し手前ぐらいでしょうか。
ココ・シャネルのファッションデザインが一世風靡したのは、この10年以上あとのことですし、英国の保守的な貴族社会では、まだまだオーソドックスなファッションが主流だった頃と思われます。

メアリーのウェディングドレスは、肌の露出している部分が顔と首の一部と手元だけ。ドレスの身頃は二重仕立てで、目を凝らすと繊細なレースやパール、クリスタルなどがあしらわれているようです。袖は一重の長袖で、腕の色がうっすら透ける程度の品の良さ。ベルトラインがアンダーウエストで、スレンダーな体形のメアリーにぴったり。控えめな光沢感の乳白色は、質の高いシルクならでは。

頭には月桂樹の葉をモチーフにしたような優美なティアラ。ジュエリーとしては価値が高そうですが、ピカピカ&ゴテゴテしておらず、凛々しくさえ感じられます。
長いヴェールは裾だけに緻密な装飾を施したプレーンなもの。手には色とりどりの華美なブーケではなく清楚な白いカラーの花を数本のみ。

非常に完成度の高いファッションで、“ノーブル(高貴)”という言葉の本質を体現するような装いだと感服しました。

現代はわかりませんが、昔のヨーロッパでは「ドレスに模様があってはならない」と言われていたようです。特に「鳥と蔓草(つるくさ)の模様は避けるべき」と伝えられてきたとか。理由は不明ですが、何かの縁起かつぎでしょうね。

最近の女性のウェディングドレスはデコルテ(胸から上の部分)を露(あら)わにしたデザインが多い傾向のようですが、スリムな体形の女性ならメアリーのようなクラシカルなドレスを選ぶのも一興。
レンタルなどでは少ないデザインかもしれませんが、誰にでも着こなせるものじゃないから非常に印象的ですよね。ただし、優雅な身のこなしじゃないと貧相に見えるだけですが~。

私? 私はファッション史を調べたり、きれいな女優が装うドレスを眺めたりするのは好きなんですけど、ドレスだろうと着物だろうと自分が婚礼衣装というものを着ることには全く興味ナシ。結婚式も民俗学的な儀礼という意味では面白いのですが、自分が挙式したいと思ったこともナシ。
というわけで~、間違って2度も結婚したことはありますが~、この先も婚礼衣装を身につけることはありませんね~(笑)。

ところで、ドラマの中で何度か語られたセリフに、「結婚式の前に花婿と会うのは縁起が悪い」というものがありました。

教会で結婚式を行う国々では、夫となる男性に対し、式が始まる前まで妻となる女性の「花嫁衣装の姿は決して見てはいけない」と言われていたそうで、花婿は挙式の当日、教会の祭壇の前に立ち、父親に伴われた花嫁を迎える瞬間になって、ようやく妻となる人のウェディングドレス姿が見られるのだとか。

この縁起かつぎの理由として以下のような考え方があるそうです。

●花嫁のウェディングドレス姿を想像しながら待つことで、実際に着飾った彼女が目の前に現れたときに感激が最高潮に達し、生涯のハレの日の儀式が感動的なものとなるから。

●原始的な儀礼の名残として、婚約した女性が結婚式を経て一人前になるまでは、誰もその女性を見てはいけないという風習があったから。と言うのも、結婚式は古いしきたりから新たなしきたりへと移行する機会で、その時期は混乱や危険が伴うため(悪魔に魅入られるとか?)、一時的に花嫁を隔離(避難?)するという解釈だそうです。

●花嫁となる者は不浄と見なされ、他の人々を汚すことがないよう式の直前まで隔離されるという話も。
日本でも古来、そういう土着的な考え方が一般的な時代もあり、生理のある女はケガレのある者という……。完全な女性蔑視ですよ。きーーーっ!!(怒)。生理があるからこそ男性も生まれるのにねぇ。母なる存在に対する畏(おそ)れからの発想ではないかと思いますが、最初に言い出したヤツ(!?)は古代人なのかなぁ。そのへんの話は民俗学のジャンルで調べると興味深い話がたっぷり出てきます~。

ともあれ、最近では衣装合わせにカレシも同伴してドレス姿を見てもらう女性たちも多いようですが、ヨーロッパでは、このジンクスは健在なのかな~???

……メアリーの婚礼衣装の写真は基本的に転載できないはずなので、私はここに貼り付けません。見たいな~と思う方々は、「ダウントン・アビー メアリーのウェディングドレス」というキーワードで検索してみてくださいな。

[参考文献]
●「英米客化の背景『英米人の迷信・俗信』考(8) Ⅲ 恋と結婚 ― その3 花嫁衣装・花嫁花婿の心得・結婚式・花嫁の涙・結婚指輪」(『倉敷芸術科学大学紀要』/1999年9月30日/藤高邦宏さん)

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