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がん予防を目的に、アンジェリーナ・ジョリーが乳房切除だけでなく卵巣と卵管も全摘。 [医療・健康&がん関連]

アメリカの女優アンジェリーナ・ジョリーが、
『The New York Times(ニューヨーク・タイムズ)』紙に寄稿し、
2013年の両乳房の切除・再建の手術に続いて
卵巣と卵管を全摘する手術を受けたことを明らかにしました。

アンジー(と便宜上、呼び名を統一します)の受けた
乳房の切除・再建手術については
このブログ内の記事に詳しく書いたことがあります。

●遺伝性(家族性)乳がん・卵巣がんの
「予防切除」と「費用」について考えてみよう。
(2015年1月17日付)
http://chie-relish.blog.so-net.ne.jp/2015-01-17

日本でも、乳房の片側にがんが発生し、
アンジーと同じく「BRCA1遺伝子」に変異があると判明した患者が、
健康な側の乳房も予防切除したというケースはあるそうです。
また、アンジーの乳房手術の話が広まって以来、
健康な乳房でも予防切除を検討する人も出てきたとか。
最近は、きれいに再建できるらしいので、
そういう方法を選ぶ女性が増えるのかもしれません。
(ただし、何の合併症もないとは誰にも断言できませんが)。


アンジーのお母さん(女優ミシェリーヌ・ベルトラン)は
乳がんに罹患したのち、49歳で卵巣がんをも宣告され、
2007年に56歳で亡くなったそうです。
また、母方のおばあさんと叔母のデビー(母の妹)も、がんで逝去。
叔母さんは乳がんを発症していて
卵巣の予防切除を行ったそうですが、
亡くなった原因は乳がんだったようです。

アンジーは乳房の予防切除の時点で、主治医から
「遺伝子変異による発症リスクは乳がん87%、卵巣がん50%」
と告げられ、そのリスクを回避するために
両乳房の切除を決意したわけですが、
いずれは卵巣の全摘も…と考えていたそうです

そして、2週間前(今年の3月上旬)の血液検査の結果によると、
卵巣がんに反応しやすい腫瘍マーカー「CA-125」の数値は
正常範囲だったのですが、主治医は
・早期のがんのサインでもある炎症が見られる。
・「CA-125」が早期の卵巣がんを見逃す確率は50~75%。
と説明したのだとか。

この結果をもとに
卵巣・卵管をそっくり取ってしまおうと決断するのは、
非常に難しいことだと思います。
現在39歳で閉経前のアンジーが卵巣を全摘すれば
強制的に閉経させるのと同じですから、
ホルモンのバランスが崩れて心身に大きな影響を及ぼし、
更年期障害が起こりやすくなるのです。


アンジーは乳房の手術後、西洋医学・東洋医学を問わず、
外科医やお母さんの主治医、自然療法医など
たくさんのお医者さんと卵巣がん予防の選択肢について話し合い、
代替医療に関しても調べたそうです。

そして、担当ドクターの面々から
「血縁の女性が、がんを発症した年齢から10年は前倒しして
予防手術を受けることが望ましい」と言われたことで、
お母さんが卵巣がんと診断されたのが49歳、
自分は今39歳だと思い返したそうです。
そして、
「子どもたちの成長が見たい、(将来は)孫たちにも会いたい」
それだけを想い、手術を受ける決心をしたとのこと。

腹腔鏡下による手術で両側の卵巣・卵管を摘出。
術後のPETとCT検査は何も問題なく、
摘出した卵巣には小さな良性腫瘍が見つかったものの、
悪性腫瘍は発見されなかったそうです。


アンジーは自分に「BRCA1遺伝子」の突然変異があり、
がんで亡くなった同性の親族が3人いることから、
多角的に検討した結果、手術を選択したと語っています。
そして、自分の選んだ方法が唯一ではなく、
ピル(経口避妊薬=ホルモン剤)で治療する人もいれば、
代替療法を試しながら
頻繁に検査を受けて経過観察する人もいるなど、
「対策は1つだけではない」と明言しています。

これは、以前の乳房切除のあと、
アメリカでは予防切除を希望する女性が増えて
“アンジー効果”と揶揄(やゆ)されたことや、
遺伝子検査の企業の広告塔だと
バッシングを受けたこともあったので、
予防線を張った文章かな、とも私は思いました。

アンジーは記事の中で、
自分の子どもたちが
「ママは卵巣がんで死んだの」と言うことは
永遠になくなったとも書いています。
そうですよね、臓器自体を切除したのですから
乳がんと卵巣がんに罹る心配はなくなりました。
それでも、ほかの部位に
がんが発生しないという保証は全くありません。

それはアンジーもよく理解しているようで、
以下のように思っているそうです。
「すべてのリスクを排除するのは不可能だし、
実際に、私はがんに罹りやすいままだから、
自分の免疫力を高めるための自然な方法を探します」


私の血縁には、がんに罹った者が4人います。
膵臓に肝臓、大腸、悪性リンパ腫、
そして、私が胃と乳房。
バラエティに富んだ、がん家系ですねぇ(呆)。

私の場合、すでに2つのがんになったので~、
今さら遺伝子検査を受けたいとも思いませんが、
遺伝性の乳がん・卵巣がんも含めて
いわゆる“がん家系”は「家族性腫瘍」とも言います。

「家族性腫瘍」の特徴
・若年発症(一般のがんよりも若い年代で発症しやすい)
・多重がん(同じ臓器にいくつもできたり、いくつもの臓器に別々に発生したりする)
・両側がん(左右など両側に1つずつある臓器では両方に悪性腫瘍が発生しがち)

あ、アタシだアタシだ~!!
胃がんは35歳のときなので「若年性がん」の上限。
乳がんにも罹ったので「多重がん(重複がん)」の患者です。
……ということは、もう一方の乳房にも
発生する確率は高いってことで、
2つある卵巣がんにも注意ということかなぁ。
でも、長年の間、大腸ポリープも、たくさん飼ってたし~。

などとアレコレ思い悩んだところで、しょうがないのです。

乳がんに卵巣がん……「女って大変だなぁ…」と
同情してくださる優しい男性の皆さま、
男性も、希少ですが乳がんに罹る場合もあるんですよ。
また、「BRCA1」「BRCA2」遺伝子の突然変異をもつ男性もいます。

自分のお母さんや奥さん、カノジョが、お嬢さんが、女友達が、
乳がんや卵巣がんに罹ったら、どのようにサポートできるのか。
大切に思う女性が
「遺伝性が強いから予防切除をしたい」と言ったら、
どのように答えるのか。
日頃から考えておくことも重要なことだと思います。

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[参考サイト]

アメリカの新聞『The New York Times
(ニューヨーク・タイムズ)』の特集ページに掲載された
アンジェリーナ・ジョリー・ピットさんの寄稿文。
●「Angelina Jolie Pitt: Diary of a Surgery」
(『The New York Times』MARCH 24, 2015/※英文)
http://www.nytimes.com/2015/03/24/opinion/angelina-jolie-pitt-diary-of-a-surgery.html?_r=0

●「日本家族性腫瘍学会」(事務局:兵庫県 加古川市)
http://jsft.umin.jp/

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