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アメリカ人の死因の3位が「医療ミス」!? [医療・健康&がん関連]

イラスト:手術.jpg
CNNの報道によると、イギリスの医学誌『British Medical Journal(ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル)/BMJ』に、アメリカ人の死因は心疾患、がんに続いて3位が「医療ミス」と考えられる…という研究結果が発表されたそうです。

ちょいと横にそれますが、CNNの記事の原文には「medical errors」とあり、日本語版では「医療ミス」と訳してあるのですが、最近の日本のマスコミだと「医療過誤」と表現するほうが多いはず。
でも、「医療事故」と違って「医療ミス」と「医療過誤」は同一と捉える人もいれば、別々に定義づけする人もいて、医療者の間でも見解は異なるようです。
また、患者側には「医療事故」と「医療過誤」を混同し、医療者に責任のない死亡例でも「医療ミスだ!」と騒ぎ立て、“モンペ(モンスター・ペイシェント)”と呼ばれることになる困った輩も増えています。
この言葉の違いについては、また改めて…ということで、この項ではCNN日本語版の通り「医療ミス」と表記することにしましょう。

閑話休題、この研究はアメリカでも医学系で名高い「ジョンズ・ホプキンス大学」(メリーランド州ボルティモア)のチームによるもので、以下のように分析・推測しています。

●医療ミスで死亡する患者数は肺気腫や気管支炎など呼吸器系疾患の死亡者を上回る。
●アメリカでは最低でも年間25万1454人が医療ミスで死亡と推計(自宅や老人ホームでの死亡例は含まないので実際はずっと多いだろう)。
●ほとんどの医療ミスは発見されないまま見過ごされているようだ。

[これまでの医療ミスによる死者数]
・米国医学研究所(Institute of Medicine/IOM)1999年の調査:4万4000~9万8000人
※現在は改称されて「米国医学アカデミー(National Academy of Medicine)」。
・アメリカ合衆国保健福祉省(United States Department of Health and Human Services/HHS)2008年の統計:高齢者向け医療保険メディケアの患者だけで18万人
※「メディケア」とは65歳以上の高齢者や65歳未満でも障害のある人を対象に、医療に関する支払いを一定額まで支援する医療保険プログラム。

それにしても古いデータですよねぇ。つまり、長い間、放っておかれた問題だということ。しかも、医学研究所の調査結果は5万4000人もの開きがありますよ(驚)。どういう調査方法なんでしょうかね~。研究チームの皆さんも最近の実情と比較しようと過去のデータを調べてみたら古い統計しかなくてビックリし、これは研究すべき!と思ったのかも?

「ジョンズ・ホプキンス大学」のマーティン・メイカリー教授は、以下のように指摘しています。
●死亡証明書の記載内容が不十分で、人為ミスの実態が把握できない。
●医療ミスを防ぐための装置や仕組みが整っていない病院が多い。
●患者の安全性向上が優先課題。

日本でも手術の切除部位を間違えたり患者を取り違えたりといった、大変な医療事件が後を絶ちません。私のがん本にも大学病院のベテラン医師に乳がんと誤診され、手術で両方の乳房を切除されてしまった女性に取材した話を書きました。
この女性の場合は勇気を奮って主治医と病院を訴えたのですが、わずかなお金をもらったところで失った臓器は永久に返ってこないのです。
世間では医療ミスによって命まで奪われる患者もいますよね。私はがんで死ぬのは仕方ないか~とは思っていますけど、医療ミスで殺されたら化けて出ますよ!

アメリカは日本よりずっと医療費が高いと聞きます。日本はありがたいことに国民皆保険制度の恩恵を受けており、子どもの医療費が15歳まで無料という自治体も増えていますよね(学生なら22歳まで無料という自治体もあり)。
貧困層は入院・手術など考えられず、薬すら買えないまま死ぬ人の多かったアメリカでも、通称「オバマケア」という皆保険に似た制度が導入されたことで、生き延びられる人たちも増えているようです。

しかし、万が一にも白人優位のトランプ政権になったら?
黒人やヒスパニックはもとより、日本人を含むアジア系も、有色人種はみんな医療保険を剥奪されたり、なぜか医療ミスで死ぬ人が増えたりして……(怖いよ怖いよ~! 泣)。
そんなホラー映画のようなことは私のホラ話で済めばいいんですけどね。

CNNの該当記事(英文)
●Medical errors may be third leading cause of death in the U.S.
By Jen Christensen and Elizabeth Cohen, CNN(May 4, 2016)
http://edition.cnn.com/2016/05/03/health/medical-error-a-leading-cause-of-death/index.html

問題作を世に問い続けるマイケル・ムーア監督が、医療問題をテーマとしたドキュメンタリー調作品。
●映画『シッコ(SiCKO)』(アメリカ/2007年)
・予告編が観られる公式サイト
(なぜか文章全部がドイツ語で、予告編の字幕も同じく…)。
http://www.sicko-themovie.com/

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※イラスト:(C)みふねたかし(いらすとや)

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