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観戦記:W世界戦・5月8日・有明コロシアム。 [ボクシング・F1・ラグビー]

著書:井上真吾.jpg5月8日、有明コロシアムで開催されたボクシングW世界戦の興行。
会場の入口付近に元・世界チャンピオンの方々が募金箱を手に熊本への支援を呼びかけています。具志堅、ガッツ石松、渡嘉敷、川島(勝重)といった各氏のお顔が見えましたが、全部で10人ぐらい? 観客が少し離れて取り巻いていますが、募金のために駆け寄る人はさほど多くありません。
これって難しいと思うんですよね~、元王者全員の募金箱に入れるわけにもいかず、誰かだけを選ぶのもちょっと……というわけで、私も遠慮しました。義援金を募るのに、あまり効果的な方法ではないかも?

リングアナは世界戦でお馴染み、ヒゲの須藤尚紀さん。
起立してメキシコと日本の国歌吹奏。長年、世界戦で聞き慣れたおかげで、メキシコ国歌はソラでハミングできますね~♪

最初の試合はプログラムに第1試合と記されているクウエ・ピーター戦ではなく、井上浩樹が登場。先日、ネットで調べたときはJBCのサイトだとクウエ・ピーター戦は予備となっていましたが、他のサイトでは本試合に組み込まれているなど表記がバラバラでした。理由は不明。

●64.5kg契約8回戦
井上浩樹VS.ビモ・ジャガー
尚弥&拓真のイトコで期待もプレッシャーも大きい浩樹選手は、右ボディ2発が効いて初回2分59秒でTKO勝ち。相手はインドネシアのスーパーライト級8位。どこと言って魅力の見つからない選手だったので妥当な結果か。

●予備カード:フェザー級4回戦(東日本新人王の予選)
清田 亨(大橋ジム/熊本県出身)
3戦3勝(2KO)無敗
VS.
中川兼玄(三迫ジム/大阪府出身)
6戦4勝(3KO)2敗
両人ともアマ経験があるのかなと思うような動き、だけれども、凄い才能の片鱗が!という感じでもなく…。清田が3RにTKO勝利。

●予備カード:スーパーライト級 デビュー4回戦
重田裕紀(ワタナベジム)VS.金 武賢(キム・ムヒョン/韓国)
ヒョロっとした体形の2人。可もなく不可もなく面白くもなく。
判定:39-36、38-37、38-37の3-0で金の勝ち。
ワタナベ側は井上トレーナーが付いていたので応援したかったのですが…。

●54.4kg契約8回戦
松本 亮VS.ビクトル・ウリエル・ロペス
17戦17勝(15KO)無敗という松本の試合は初めて観たのですが、初回から実に精彩を欠く試合ぶり。風邪で高熱? 減量ミス? あるいは選手を過保護にするあまり、格下と闘わせては戦績を積み上げるケースがありますが、そういうタイプ?

相手のロペスは14戦8勝(3KO)5敗1分という戦績で、いわゆる“咬(か)ませ犬”の役割を担わされたのだと思います。しかし、メキシカンを侮(あなど)ってはいけませんよ。昔から優れたボクサーを輩出してきた国で、国内の選手の層も厚いことは日本でもよく知られているはずなのに…。

ロペスは上半身がよく動き、ガードも堅い。松本は鈍い動きで足元がふらつき、眼もうつろ。私は途中から「ロペス、頑張れ~ッ!」と声援を送るようになりました。松本は棒立ちのような状態で打たれるまま、5回1分4秒TKOでロペスの勝利。
会場の別の席にいる観戦仲間で私の100万倍はボクシングに詳しいMさんにメールし、「松本は減量ミス? 体調不良? 元から弱いとか?」と聞いたら、「松本は相手を舐め過ぎですよ。本当は強いんですけどね」という返信。へぇーーー!?(驚)。

松本は世界前哨戦のつもりだったようですが、世界の壁を軽んじてはいけませんな。試合前に流れた映像に松本の父母も出ていて、父親が「朝まで遊んで帰ってもトレーニングに行くんだよな」などと息子を褒めるかのように語っていたのですが、お父さん、それは決定的に間違いです! 遊び回って朝帰りするボクサーで大成した人はいないと思いますよ。
しかも、寝不足でロードワークに出るなんて、いくら体力に自信があろうと心筋梗塞でも起こしかねない愚行です。これは本人だけでなく大橋会長やトレーナーの皆さんも猛省すべき点でしょう。
トップを目指す世界中のボクサーは皆、凡人なぞが決して真似のできないストイックな生活を我慢しながら続けているはずです。大橋会長が世界を獲ったときも、松本好二トレーナーが日本タイトルを獲得したときも、朝まで遊び回ってはいなかったと思いますけどね?

●OPBF東洋太平洋スーパーフライ級タイトルマッチ
井上拓真VS.アフリザル・タンボレシ
拓真選手が2R早々にダウンを奪い、左右の連打の末、1分46秒TKO。相手は同級5位の選手でしたが、実力もアピールできないままノーカウントでオシマイ。
拓真は兄の尚弥に対し、協力しつつも強烈なライバル意識をもっているようですが、兄のような強打者というイメージでも戦績でもなく。だから、タイプの違う選手だと思っていましたが、過去にも世界を獲ってからKO試合が多くなるチャンピオンもいましたから、1試合ごとに変貌するかも。

●ウエルター級6回戦
クウエ・ピーターVS.ビンセント・オーリン
今回の興行はインドネシアの選手が3人も出場しましたが、このオーリンは最悪! 19戦11勝(4KO)5敗3分という戦績からすると、ほかの2人との抱き合わせで“来日セット”に組み込まれた感じ? 試合内容はリングに立っただけで終わったようなもんです。JBCには無気力試合として永久招聘禁止処分を科してほしいと切望します!!
昔からインドネシアの選手は地道に頑張るタイプか、外貨を稼ぎに来ただけという両極端の印象がありますけど、久々にひどいものを目にしました。大橋ジムに移籍後の初試合だというクウエ・ピーターがかわいそうですよ。こんなマッチメイクは誰の責任ですかッ!

●IBF世界ライトフライ級タイトルマッチ
八重樫 東VS.マルティン・テクアペトラ
今回は大橋会長からも「打たれない試合を」とリクエストされていたそうですが、八重樫は本当にスロースターターですよねぇ…(困)。序盤はテクアペトラのパンチがよく当たり、半ばあたりから、ようやく八重樫のエンジン始動。そして、11・12Rは激しい打ち合いに。

もっと早く仕掛けられなかったのかなぁ…。終盤までの間にストレスが溜まった私は八重樫に向かって、「もう一歩、踏み込んで打てッ!」「ラスト30、休むなッ!」「そのまま打ち続けろ~ッ!」と叫び続けました。八重樫、ごめんよ~。

判定:116-113、113-115、115-113の2-1で八重樫の勝ち。
ジャッジの一人が日本人でメキシコ人はいなかったので、公平性に欠けるんじゃないの?と思ったのですが、2ポイント差でメキシカンの勝ちとしたのは日本のジャッジの中村勝彦さん。プロフィールによるとプロボクサーの経験はないながら、「レフェリーとしては約2000人、ジャッジを合わせれば6000人以上の殴り合いを見てきた」とのこと。
私は中村さんのジャッジを支持します。同行の友達は私よりずっと見巧者ですが、彼も「八重樫は序盤の印象が悪すぎた。相手側の勝ちだと思った」と言っていました。

テクアペトラは13勝(10KO)6敗3分けの同級10位というランカーで、八重樫としては判定で終わるなら大差をつけねばならなかった相手。でも、向こうは終盤の激闘でグラッとも来ないほどタフだったし、終わってみれば顔もきれいなまま。本人も「タフでパワフルな試合だったが、私は的確なパンチを決めたし、効いたパンチはあまりなかった。私が勝ったと思う」とコメントしています。

スプリットの判定だと、こういうスッキリしない感じが残るので、やっぱりKOでキッチリ倒すことが求められる、それがボクシングという競技なんですね。
八重樫は3週間前に「左肩甲下筋損傷で全治2~3カ月」と診断され、思うように練習ができなかったそうです。それでもリングに上がれば言い訳は通用しません。八重樫は好きなボクサーだけに、あまりダメージの残らない試合展開をお願いしたいと心から思います。

●WBO世界スーパーフライ級タイトルマッチ
井上尚弥VS.ダビド・カルモナ
同級1位との指名試合だけに期待が高まります。いつものスピード感、柔軟な身のこなし、キレの良いパンチ等々、やっぱり尚弥はセンスが格上だなぁと感心しきり。研ぎ澄まされた美しいボクシングというのは、まさに芸術。
しかしながら、序盤から早くも右が出なくなり、隣席の友達がボソッと「右を痛めたなぁ…」と、つぶやきました。

相手はガードが堅く、打たれてもよく耐えていましたが、なんとなく試合の内容が変化に乏しくてつまんないな~と思っているうちに、私は寝不足だったこともあって気が遠くなっていき~。
ハッと覚醒したときは終盤で、尚弥が連打で攻め込んでいました。まさか最終ラウンドまで観るとは思いませんでしたが、12Rの終わりにダウンを奪いながらも無念のゴング。

この人の猛烈なラッシュは本当に魅力的ですよね。でも、会場にいらしていたファイティング原田さんも現役時代は“狂った風車”と形容される凄まじいラッシュで、世界のボクシングファンを魅了した人です。原田さんと同じことができる人は、まだ現れませんねぇ。

判定:118-109、116-111、118-109という大差の3-0判定で、尚弥選手は2度目の防衛。

カルモナは途中から右足の裏の表皮がむけて赤い真皮が露出していたそうで、「7回以降はボクシングに影響した。でも、それは言い訳ではなく、足が何ともなくても井上は明らかに私に勝ったと思う」とコメント。

尚弥は去年に治療した右の拳を2Rに痛めただけでなく、中盤には左拳も負傷したとのこと。ハードパンチャーは拳のケガが宿命のようなもので、浜田剛史も現役の頃、手の甲の骨が折れたため、腰骨の一部を移植し、金属製プレートで留めていたという時期がありました(その後、再手術でプレートは除去)。
尚弥選手には拳を大切に大切に維持してほしいと切に願います~(涙)。

ともあれ、今回の興行の前座はKOが多かったので、予備カードが2試合とも行われたのは出場選手にとって良かったと思いますが、メインの2試合が判定になるとは予想外でした。でも、試合後のインタビューを聴くと、3人の井上も八重樫もみんな反省の弁に加え、さらに努力して練習を重ねるという謙虚なコメントばかり。
同行した友達は「井上尚弥って、どうも生意気そうで…」と先入観をもっていたそうで、私は「尚弥が生意気に見えるのは眉の剃(そ)り方だけだよ(笑)」と話したのですが、彼は現場で尚弥選手を知ってイメージが変わったとも言っていました。

礼儀正しく挨拶もきちんと身についていて、どんなに秀でた能力があろうと周りからチヤホヤされようと尊大にならず、謙虚な姿勢や発言を貫く。井上兄弟の姿は、やはりお父さんの真吾さん(エディ・タウンゼント賞のトレーナー)とお母さんの美穂さんの躾(しつけ)と家庭教育のたまものなんでしょうね。お二人ともまだ40代前半の若さです。

各選手の戦績等については5月6日の記事を参照してください。
●ボクシングフェス5・8 ~井上尚弥&八重樫東ダブル世界戦~
http://chie-relish.blog.so-net.ne.jp/2016-05-06

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