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渋谷署・東大医学部で結核の集団感染、保健所に届けず…。 [医療・健康&がん関連]

結核予防ポスター.jpg先日、渋谷で乗り換えて通勤している友達から、「渋谷警察で結核感染あったの知ってる? 怖くてマスクして会社行ってるんだよ~」と聞いてビックリしました。

事件の発端は昨年の初めに遡(さかのぼ)ります。

2015年
・1月下旬 詐欺容疑で63歳の男が現行犯逮捕され、渋谷署に留置。
・2月11日 容疑者が留置場で死亡しているのが発見され、翌12日に東京大学医学部で解剖。
・6月30日付 東大医学部は死因が肺結核によるものという報告書を作成。「警察から依頼された解剖だったので(警察が保健所に連絡すると思ったため)報告は不要と考えた」とのことで保健所には伝えなかった。
・8月25日 東大の報告書を渋谷署が受領するも、死亡した容疑者と接触のあった署員らは前月(1月)までの健康診断で異常がなく不調の訴えもなかったため、感染はないと判断して保健所には届けなかった。
・12月 留置場担当の署員が体調不良を訴え、検査を行った。
2016年
・1月 前年の12月に検査を受けた署員が結核に感染していることが判明。
・4月中旬~下旬 感染者の数が1人→4人→19人→28人と増加。
・5月8日 感染者は計32人に。

容疑者が死ぬまで何の症状もなかったんでしょうかねぇ? 突然死のようにコロッと死んだら実は結核だったってこと?

解剖から報告書の作成まで4か月も掛かっていますが、これは平均的な期間のようです。ただし、死因が結核とわかった時点で保健所へ報告していれば…。
もしかすると、解剖は経験の浅い若手に任せたので報告までアタマが回らなかったとか? もしくは「警察なら保健所へ届けるだろう」という思い込みがあり、確認しないことが常態化していたとか?

東大で作成した6月末の報告書が渋谷署に届いたのは8月下旬。これは時間が掛かり過ぎではないでしょうか? 書類を届けるだけなら電車で30~40分程度の距離ですよ。報告書は2か月もの間、どこを旅していたのでしょうか?

昔は役所関係の場合、仕事はロクにしないエライ人の机に書類が置かれっ放しになっていて、ハンコがもらえないからと、実作業をする部署へ書類がなかなか下りてこなくて困ると聞いたことがあります。
でもね、今はデジタル社会なんですから、しっかりしたセキュリティの保護のもとで書類はネット送信すればいいじゃありませんか。そうすれば1分も掛からずに届きますよ。

それにしても、渋谷署が結核と知ってからも保健所へ届けなかったのは職務怠慢と言うんですか? 早めに手立てを講じていれば蔓延するのを防げたはずなのに!

[集団感染の実態]
●渋谷署
・感染源と見られる容疑者が留置場にいた20日間に接触した職員107人の健康診断を行った。
・留置場で接触したり解剖に立ち会ったりした署員20人が感染しており、このうち7人が発病したことが判明。
・容疑者と数日間、同室だった男1人も感染していた。
・発病は計8人となり、そのうち署員3人は結核菌を体外に排出(排菌)して二次感染の恐れがあると判断され、ほかの3人は治療のために入院、2人は退院したという。

●本富士署
・渋谷署の容疑者だった男の解剖が行われた部屋では、本富士署が担当する別件の遺体の解剖も行われたため、その場に立ち会った本富士署員4人も感染した。

●警視庁
・刑事部の鑑識課員1人が本富士署の解剖に立ち会ったことで感染し、発病した。
・警察官ら4人が感染していた(上記の鑑識課員が含まれるかどうかは不明)。

●東大医学部
・容疑者の遺体を解剖した医師7人が感染していた。

・渋谷署の小林 仁副署長のコメント
「容疑者が肺結核で亡くなったとわかった時点で、署員に検査を受けさせるべきだった。結核に対する認識が不足していた」

現時点では一般の人への感染は確認されていないようですが、警視庁は保健所に相談し、渋谷署・本富士署・警視庁本部にも感染が広がっていないか等を調べるため検査を行っているそうです。

遅いよ遅いよ~ッ!! 感染していた人たちは自覚のないまま、勤務先の渋谷・東大前・本郷三丁目・霞が関の周辺にいたわけですが、自宅の場所は別ですよね? 23区内ではなく多摩地区や神奈川県、千葉県、埼玉県などに住む人がいるかもしれません。

そして、感染者の家族や同居人、恋人・愛人(?)・友人・知人など親しい人たちは? 感染してから出かけた飲食店などのお店は? 連休もあったから、休暇が取れて遠出した人もいますよね? 地方へ帰省した人なら実家の家族は? 同窓会には行きませんでしたか? もしかしたら熊本や大分へボランティアに出かけた人は?

1人の日常を想像しただけでも行動範囲は非常に広くなりますよね。感染の有無を調べる検査の対象は署員だけでいいのでしょうか? もし感染者に抵抗力の弱い乳幼児の子どもたちがいるなら、早いとこ検査してほしい!
結核の患者が狭い地域にとどまらず、今後どんどん増えてしまう……なんて、心配性の私の杞憂に終わりますように(汗)。

感染者を出した警察署のサイトには何の情報も出してありません。警視庁のトップページも同様です。もしかするとメッセージなんて発信する余裕もないほど大騒ぎ状態!?

●渋谷警察署(東京都 渋谷区 渋谷3-8-15)
http://www.keishicho.metro.tokyo.jp/3/shibuya/
●本富士警察署(東京都 文京区 本郷7-1-7)
http://www.keishicho.metro.tokyo.jp/5/motofuji/
●警視庁(東京都 千代田区 霞が関2-1-1)
http://www.keishicho.metro.tokyo.jp/

解剖を担当したのは各紙に「東大医学部」とあるので東大の医学部の法医学教室でしょうか。サイトを確認しましたが、こちらも結核騒動に関するお知らせは何も記載されていません。

●東京大学 大学院 医学系研究科 法医学・医事法学
http://square.umin.ac.jp/forensicmed/

念のために東大病院のサイトも覗いてみたら、病院長のメッセージが載っていました。

●報道されている結核の集団感染について
(2016年4月26日/東京大学医学部附属病院)
http://www.h.u-tokyo.ac.jp/oshirase/archives/20160425.html
患者様へ
この度報道されております、渋谷警察署および本富士警察署関連の結核の集団感染事例におきまして、一部事実と異なった報道がなされておりますので下記の通りお知らせいたします。
・解剖は東京大学医学部法医学教室にて行われ、東大病院内では行っておりません。
・感染した医師については、当院には所属しておらず、また当院での診療行為は行っておりません。
病院長

ちゃんと調べないで東大病院で解剖したと書いちゃったメディアがあったということ? それともマスコミではない素人のニュース風サイトや個人ブログのことか?
おそらく外来の担当医に感染者がいたのか!?と勘違いした患者・家族からの問い合わせが多かったのかもしれません。

外来で患者を相手にする臨床医が司法解剖することは、まずないと思います。法医学の先生の仕事ですよね。でも、23区は「東京都監察医務院」の監察医が行政解剖を行うのですが、容疑者が留置場で死んだ場合、死因自体が犯罪と関連がなさそうなら解剖は司法じゃなくて行政かな~?と思ったんですが、そのへんは専門家の誰かに聞いてみないと。

この事件とは違うのですが、5月11日付のニュースに茨城県の「小柳病院」(古河市)で入院患者3人が結核を発症し、同じ病棟の入院患者と看護師ら計13人の感染が判明したとありました。
日本では今も年に約2万人が結核に罹患するそうです。他人事(ひとごと)じゃありませんよね。

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