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希少がん「GIST(消化管間質腫瘍)」を経験した俳優・相島一之さん:その1 [医療・健康&がん関連]

GISTガイドブック.jpgテレビドラマの主役には興味がなくても、あ!この人が出るなら観よう♪と思う俳優の一人が、相島一之(あいじま・かずゆき)さん。

埼玉県熊谷市の出身で大学時代から学生劇団に所属し、のちに劇作家・演出家の三谷幸喜(みたに・こうき)さんの旗揚げした劇団「東京サンシャインボーイズ」のメンバーに。舞台で活躍後、映画やドラマなどにもフィールドを広げた、現在54歳。

芝居好きの方々なら、よ~くご存じだと思いますが、私はドラマでしか知らないんです。初めて観たときに相島さんが演じていたのは銀縁メガネのイヤミったらしい会社員。な~んてヤな感じ!と強烈に印象に残り、その後に見かけた役も、小心者で追い込まれた殺人犯、妻をイビリ倒すDV夫、地味で真面目な刑事、さらに時代劇にアレコレと、いろんな作品でバラエティに富む役を器用にこなして(いるように見えて)、面白い人だなぁと…。あ、映画は1本だけ『12人の優しい日本人』(1991年)を観ました(テレビとGYAO!の放映でしたが~)。

知らないなぁと思う人でも、お顔を見ればすぐにわかりますよ♪
(相島さんの写真は転載できないので、ブログの画像をご覧くださいまし)。
●オフィシャルブログ「相島一之のBLUESな日々」
http://ameblo.jp/aijima-kazuyuki/

この相島さんが47歳のとき(2008年)に、患者数の非常に少ない希少がんの1つ「GIST(ジスト)」の治療を受けたということを、最近になってから、がん専門誌「がんサポート」(エビデンス社)の記事で知りました。

「GIST」とは「gastrointestinal stromal tumor」の略で「消化管間質腫瘍(しょうかかん かんしつ しゅよう)」とも言います。消化管という文字通り、胃腸などにできる悪性腫瘍なのですが、胃や腸の壁はごく薄~い層になっており、内側が粘膜の層で、外へ向かって筋肉の層(筋層)があります。私の経験した胃がんや大腸ポリープ(良性)は粘膜から発生するものですが、腫瘍が筋層に発生するのがGISTなのです。

※gastro(胃の) intestinal(腸の) stromal(間質の) tumor(腫瘍)

私たちの消化管には「カハールの介在細胞」と呼ばれる重要な細胞が広く分布しており、消化管運動のコントロールをつかさどっているそうです。そのもとになる細胞が筋層で異常に増殖し、腫瘤(しゅりゅう:こぶ・かたまり)を作ったものがGIST。粘膜から発生する消化管のがんとは性質も異なるので、治療法も使用する薬剤も違ってくるわけです。

※カハール介在細胞:スペインの神経解剖学者であるサンティアゴ・ラモン・イ・カハール(Santiago Ramon y Cajal/1852~1934)が発見。

国内のGISTの患者は50~60代で発症した人が多いそうですが、罹患率は10万人に1~2人という割合。国内の統計による発生部位は、胃:60~70%、小腸:20~30%、大腸および食道:約5%。

患者が少ないと専門医も少ないので、「GISTの患者は診たことがない」というお医者さんも多いと思われます。また、私の“がん友”で希少がん「平滑筋肉腫(へいかつ きんにくしゅ)」の患者Kさんも診察時に経験したことですが、私たち一般人の使う「がん」という言葉と、お医者さんが使う場合とでは意味が違って混乱するケースもあります。

診察室での医師と患者の会話。

患 「私の病気は、がんということですよね?」
医 「いえ、がんじゃありませんよ」
患 「でも、先生は悪性腫瘍だと、おっしゃいましたよね?」
医 「悪性腫瘍ですが、がんではない」
患 「がんって良性じゃなくて悪性のことですよね?」
医 「だから、がんじゃなくて肉腫です」
患 「はぁ???」

がんを告知されるだけでもストレスなのに、こんなトンチンカンなやり取りがあると、さらに疲れますねぇ。
「がん」という病気は粘膜層に発生する「癌腫(がんしゅ)」と、筋層や骨などに発生する「肉腫(にくしゅ)」とに大別されます。上記のお医者さんは「癌腫じゃなくて肉腫です」と説明しているつもりなんですが、患者のほうは「がん=悪性腫瘍」という認識だけなので食い違いが生ずるわけです。
近頃は説明の上手な医師も増えていますし、インフォームド・コンセント(説明と同意)用のマニュアルもあるようですが、患者側も知っておくのはムダではないと思います。希少とはいえ、いつ誰が罹るかなんて、わからないのですから。

[がんの分類]
●相島一之さん(GIST)、Kさん(平滑筋肉腫)、モデルの雅子さん(肺動脈肉腫)
・がん(悪性腫瘍/cancer キャンサー)のうちの肉腫(sarcoma サルコーマ)で、全身の骨や軟部組織(脂肪、筋肉、神経など)から発生。

●ちえ(胃がん、乳がん)+私のがん本で紹介した“がん友”12名(中咽頭がん、咽頭がん、肺がん、乳がん、胃がん、膵臓がん、直腸がん)など
・がん(悪性腫瘍/cancer キャンサー)のうちの癌腫(carcinoma カルシノーマ)で、皮膚の表皮や消化管の粘膜、肝臓など上皮性細胞から発生。

(※この項、その2に続く…)


[GIST関連の参考サイト]

●GIST(じすと)
http://ganjoho.jp/public/cancer/gist/
希少がんセンター さまざまな希少がんの解説 GIST
http://www.ncc.go.jp/jp/rcc/01_about/GIST/index.html
(国立がん研究センター がん対策情報センター がん情報サービス)

●『GIST診療ガイドライン』(第3版/2014年)
http://www.jsco-cpg.jp/item/03/
(日本癌治療学会GISTガイドライン委員会)

●GIST研究会
https://www.gist.jp/

●がん情報要約 治療(成人) 消化管間質腫瘍の治療(PDQ[レジスタードトレードマーク]
http://cancerinfo.tri-kobe.org/pdq/summary/japanese.jsp?Pdq_ID=CDR0000658500
(「がん情報サイト」公益財団法人 先端医療振興財団 臨床研究情報センター)

治療薬「商品名:グリベック(一般名:イマチニブ)」のサイト。
●グリベックなび
http://www.glivec.jp/glivecnavi/
(ノバルティス ファーマ)

治療薬「商品名:スーテント(一般名:スニチニブ)」のサイト。
●GISTとはどんな病気でしょうか?
http://ganclass.jp/kind/gist/
(ファイザー)

治療薬「商品名:スチバーガ(一般名:レゴラフェニブ)」のサイト。
●スチバーガ[レジスタードトレードマーク]錠は、GIST(ジスト)の進行を抑える経口の「分子標的治療薬」です。
http://www.stivarga-info.jp/ja/patient-site/info/info-gist/index.php
(バイエル薬品)

●GIST患者のための情報ページ
http://www.gisters.info/
(NPO法人 GISTERS)

●GIST(消化管間葉系腫瘍)
http://www.jikeisurgery.jp/diseasegroup/upper-dig/gastdoud/GIST/GIST.html
(東京慈恵会医科大学 上部消化管外科)

●疾患 GIST
http://www.surgery-med-keio.jp/joubushoukakan/trouble/03.php
(慶應義塾大学医学部 一般・消化器外科 上部消化管班)

●GISTに対する薬剤治療
http://オンコロジー.com/ct/clinical-trials/ad0008
(「がんと・ひとを・つなぐオンコロ」/クリニカル・トライアル)

※上記の記事の中には治験の参加募集などもありますが、いずれのサイトや医療機関も私が推奨しているわけではありません。あくまでも参考に~!

※さらに情報を検索したいときは、「GIST」と入力すると出てくるのは英文サイトの件数のほうが多いので、日本語の情報が欲しい場合は「消化管間質腫瘍」と入力するほうがいいでしょう。

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[このブログ内の関連記事]
●俳優・相島一之さんの「GIST」治療その2とブルース魂。
http://chie-relish.blog.so-net.ne.jp/2016-06-30

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