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俳優・相島一之さんの「GIST」治療その2&ブルース魂。 [医療・健康&がん関連]

(その1の続き…)
https://chie-relish.blog.so-net.ne.jp/2016-06-29

「GIST(ジスト/消化管間質腫瘍)」は日本での推計患者数が年に1000~1500人という希少がんですが、相島さんが罹患したとわかったのは、病院で精密検査を受けたからでした。それまでは「痔」ではないかと思っていたそうです。
GISTは胃や腸の正常な粘膜層の下にある筋肉の層に発生するため、腫瘍が大きくなっても自覚症状が出にくく、症状があっても普通の胃腸病かなと思いがちなので、発見が遅れやすいとも言われます。

[自覚症状の一例]
・おなかの張りやしこり
・飲み込みにくさ
・胸痛
・腹痛
・腰痛
・便の色が黒っぽい
・吐き気
・(腫瘍からの出血による)貧血、下血、吐血

[相島さんの治療の経過(2008年)]
●1月中旬
排便異常
便意を催しても、なかなか出ない。出ても細い便で血液が付着していたため、痔を疑った。

●3月下旬
・痔の専門クリニック
ネットで調べた新横浜の専門医のもとで診察と検査。「痔ではなく、もっと厄介な病気だと思う」と総合病院を紹介され、当日のうちに受診。

・総合病院
CT検査を受け、担当医から「直腸に野球ボールほどの大きさ(最大径10㎝)の腫瘍があり、GISTの疑い。最悪の場合は骨盤内の全摘」などと説明され、都内のがん専門病院の消化器外科の受診を勧められて1週間後に受診。

●4月上旬
・がん専門病院
さらに詳しい検査の結果、GIST(浸潤・転移はなし)という診断。抗がん剤を使って腫瘍の縮小を試み、腹腔鏡による手術で腫瘍を切除するという治療方針が示された。

・入院して薬剤「グリベック」の服用を開始。倦怠感、体がつる、眼の充血、顔色が白くなるなどの副作用は出たが、服薬しながら日常生活が送れた。

●「グリベック」を4か月間、服用。検査で確認するたび、徐々に腫瘍は縮小し、以前からの腰痛もなくなった。腫瘍が4㎝(ピンポン球大)になったので手術をすることに。

●8月中旬
入院・手術:腹腔鏡下で腫瘍と直腸の全部(約20㎝長)、肛門の筋肉の約4分の1を切除し、S状結腸を直接、肛門に繋ぎ、一時的に使用する人工肛門を取り付けるという6時間に及ぶ手術を受けた。

肉腫のGISTは、癌腫の胃がんや大腸がんのように浸潤する(がん細胞が周りの正常な細胞にしみ込むように広がる)傾向が少なく、周辺のリンパ節への転移もまれだと言われています(ただし、肝臓や多臓器への転移の症例あり)。

GISTの標準治療は外科手術が第一で、腫瘍が大きい場合は「分子標的治療薬」と総称される飲み薬の抗がん剤を服用し、その効果が出て腫瘍が小さくなれば手術で切除するのが一般的。切除が検討できない場合は抗がん剤の服用を続けるという治療法のようです。

[GISTの治療に用いる抗がん剤]
●第1選択薬「商品名:グリベック(一般名:イマチニブ)」
国内の臨床試験:数か月~約2年、飲み続けた結果、61%の患者の腫瘍が半分以下に縮小、39%の患者の腫瘍は大きくならず、現状維持。

相島さんは上記の「グリベック」が奏功し、腫瘍が10㎝から4㎝に縮小したそうですが、これが効かない、または体質に合わない、あるいは以前は効果があったのに効かなくなったという場合は以下の薬が使われます。

●第2選択薬「商品名:スーテント(一般名:スニチニブ)」
国内の臨床試験:4割の患者の腫瘍が縮小、もしくは大きくならなかった。

抗がん剤は使用期間が長くなるにつれ、がん細胞が薬に対して耐性を持つようになり(がんが薬に慣れてしまう感じで)、効果が薄れる、または全く効かなくなる場合もあるのです。

しかしながら、医学は日進月歩ですよ~! それまで、ほかのがんに使われていた薬が適用されるようになったり、新薬が開発されたりします。GISTにも2013年の夏に承認された新たな治療薬があります。

●第3選択薬「商品名:スチバーガ(一般名:レゴラフェニブ)」
国際臨床試験:腫瘍の大きさが縮小もしくは安定した期間は、服薬した患者が平均4.8か月、服用しなかった患者は1.9か月。

どのがん治療にも共通することですが、薬剤の副作用の現れ方は千差万別です。
標準治療の話から外れますが、平滑筋肉腫のKさんが肝転移したとき、腫瘍内科医の“梅ちゃん先生”にセカンドオピニオンを求めるというので、くっついていきました。その際、先生の患者にもGISTの人たちがいて、副作用の出ない程度に個々人の体質に合わせた量の「グリベック」の処方で、日常生活に支障なく長期生存しているという話も聞きました。薬との相性が、とても良かったんでしょうね。

GISTを含めて希少がんは症例数が少ないだけに、治療経験の豊富なお医者さんや病院は限られています。相島さんのケースは、まず、痔の専門医が「厄介な病気では?」と即座に総合病院を紹介してくれたこと、そして、総合病院の担当医がGISTを疑って症例数の多いがん専門病院の受診を勧めてくれたこと、さらには、がん専門病院の主治医にも恵まれた、というふうに、うまく連携できたことも大きかったと思います。

もし最初の受診時に「しばらく様子を見ましょう」と言われて放っておいたら、深刻な病状となって骨盤内の全摘手術を受けることになったかもしれません。その場合は直腸だけでなく膀胱と尿道も摘出する上、男性なら前立腺と精嚢も、女性なら子宮と膣も摘出する大手術となります。

がん専門誌に掲載されたインタビュー記事。
●希少がんGISTを乗り越え、見事復帰した俳優・相島一之さん(54歳)
10㎝大の腫瘍、人工肛門……俳優業は、もうできないと思いました
https://gansupport.jp/article/document/document04/document02/15235.html
(吉田健城/「がんサポート」2016年3月/エビデンス社)
※上記サイトは記事の後半が有料の会員しか閲覧できません。私は会員登録していないのですが~、おおまかな内容は把握できます。

相島さんが術後4年目に、初めて病気について書いたブログの記事。
●あいじまの病気のこと
http://ameblo.jp/aijima-kazuyuki/entry-11282073965.html
(2012年6月20日)

相島さんの闘病については、古いマスコミ報道だと「直腸がん」と書いてあります。命に関わる病気は俳優生命をも脅かすわけですから、当初、世間には認知されていなかった希少がんのGISTではなく直腸がんとして公表したのかもしれませんね。
私が知らなかっただけなんですが、相島さんはテレビ番組や講演などでGISTの体験について話すことも多いようです。

9歳下の奥さまは劇団「東京サンシャインボーイズ」の制作を担当していた女性だそうで、同居生活を経て相島さんが45歳のときに結婚。その2年後にGISTの闘病という大変な経験をしたわけですが、手術の3日後に病室でひどく落ち込んでいる夫に対し、奥さんは「チョウさん、元気?」と声を掛けたとか。
人工肛門が造設されて小腸がピロッと飛び出ているのを見た奥さんは、「なんか、これカワイイね」と言い、相島さんの腸に「チョウさん」と呼びかけたのです。こういうユーモア、いいなぁ。気持ちが救われる。

私の“乳がん友”には、進行が早いだの予後が悪いだのとイヤな情報ばかりが目につく「トリプル・ネガティブ」の患者がいるのですが、彼女は自分の乳がんの種類のことを「トリちゃん」と呼んでいます。だから、メールのやり取りのときも「トリちゃんの最新情報なんだけどね~」なんて書くのですが、当事者も支える人たちも、ちょっとしたユーモア精神を忘れないことで乗り越えられることだってあるはず。

Blue_notes_in_major_scale.png


相島家ではGIST治療後2年目に長男くんが誕生! さらに、相島さんが52歳のときに長女ちゃんが誕生したとのこと。今これからGISTの治療が始まるという人も、希望が、勇気が湧いてくる話ですね。
また、音楽のブルースを愛する相島さんは、2010年から「相島一之 & The Blues Jumpers(ザ・ブルース・ジャンパーズ)」というバンドを組んで活動中。その上、立川志らく師匠と落語の2人会も…などとGISTを経て、もっともっと世界が広がったようですね。

ブルースバンドのオフィシャルサイト
●相島一之 & The Blues Jumpers
http://www.amrita-record.com/BJ/

ブルースも好きな私としては、ついアッキこと木村充揮(元・憂歌団)の“天使のダミ声”風の声を期待しちゃうんですよ。その昔、ブルースおたくのような人と付き合っていた頃に、入門アルバムとして渡されたのがマディ・ウォーターズ、ライトニン・ホプキンス、バディ・ガイ等々。最近、ロバート・ジョンソンの伝説をモチーフにした漫画も読んで、……あ、この話は、またいつかね~。

相島さんの歌声は、とてもきれい。たとえるなら、甲本ヒロトの声からハスキーがかった部分をカットして、美しく優等生になった感じとでも言いましょうか?(笑)。
ブルース系の歌い手は、ともすれば耳障りとなりそうな声の持ち主も多いのですが、相島さんの歌声は非常に聴きやすい(ご本人とすれば、ちと不本意かもしれませんけどね)。
でも、ブルースが好きで好きでたまらないんだよ~!という熱い想いが伝わってきます。それに、ブルースハープもカッコいい♪ ファッションもオシャレ♪♪

音楽の好みは人それぞれですから、百聞一見、まず聴いてみてください。以下は相島さんのオリジナル曲だそうですよ(相島さんのバンドではないメンバーによるライブから)。
・『うつわ』
https://youtu.be/aGVYoHjDrq8
・『かたつむりのジャブ』
https://youtu.be/IttKmBlu74g

・TheBluesJumpersの演奏の視聴ができるページ
『かたつむりのジャブ』のPV(プロモーションビデオ)とアルバム3枚が載っています。アルバムジャケットのデザインもいいなぁ。
http://www.amrita-record.com/BJ/music/

ボクシングファンの私と致しましては、「ジャブ」とか「ストレート」という言葉が出てくる歌詞に敏感に反応するのですが~(笑)、現役のプロボクサーの皆さま! 相島さんにお願いして『かたつむりのジャブ』を入場テーマ曲に使わせてもらっては? スローバラード系ですが、最近の試合のときってイベントらしいガチャガチャした音楽が多いから、かえって渋くて印象的だと思います!!

ここで、ラジオの時間ですよ~♪
高田純ちゃまの番組に相島さんがゲスト出演した音声が聴けます!
残念なことに曲がカットされているんですけど、掛け合いが面白い~。
●ゲスト:俳優・相島一之「ブルースハープの名手」 高田純次 日曜テキトォールノ。
https://www.youtube.com/watch?v=rT6iI_T7lVE
(アップロード:GREEN HOUSEさん)

●相島一之さんの公式サイト
・オフィシャルブログ「相島一之のBLUESな日々」
http://ameblo.jp/aijima-kazuyuki/
・Twitter
https://twitter.com/aijima_kazuyuki?lang=ja

●相島一之 & The Blues Jumpers
・Facebookページ
https://www.facebook.com/TheBluesJumpers
・Twitter
https://twitter.com/jumpers_staff

※画像:ブルー・ノート・スケール Blue notes (*) in major scale: ♭3, (♯4)/♭5, ♭7. Created using Sibelius and Preview./File:Blue notes in major scale.png 出典:ウィキメディア・コモンズ (Wikimedia Commons)/投稿者:Hyacinth at English Wikipedia

「ブルーノート」とはブルースの基本の音階。

[このブログ内の関連記事]
●希少がん「GIST(消化管間質腫瘍)」を経験した俳優・相島一之さん:その1
http://chie-relish.blog.so-net.ne.jp/2016-06-29

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