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今井雅之『THE WINDS OF GOD(ザ・ウインズ・オブ・ゴッド)』という芝居。 [美術・音楽・古典芸能・芝居...etc.]

このブログの4月30日付の記事にも書きましたが、俳優の今井雅之さんが大腸がん闘病中とのことで、記者会見のときに「大腸がんはストレスが原因と言われた。夜も眠れない状態が続いている」と話していました。痛々しい限りです。

でも、「ストレスが原因」とは主治医の言葉? 断定できるものなんでしょうか?
たいして医学の知識のない私でさえ、がん発症には複雑な要素が絡んでいるのではないかと思うんですけどねぇ……。主治医とは、どこの病院の何という先生なのか知りたい~。

いずれにせよ、不眠状態は体力の低下につながりますし、眠れないこと自体がストレスですよね。
今井さんは公演の始まる10日ほど前に降板を発表、中止となった会場もあるようです。苦渋の決断だったことでしょう。
「自分の病気のせいで迷惑を掛けた」と思えば思うほど、くやしく情けなく、歯噛みしては眠れない、そんな心境かもしれません。

“がん友”の皆さんには同じような思いをした方々も多いのではないでしょうか。
全国にわたる大規模な今井さんの仕事とは違いますが、私もがんで入院した際は、2回とも担当していた仕事から降ろされ、それぞれの取引先から二度と声は掛かりませんでした。
会社勤めの“がん友”の一人は、元気に復帰したのに責任のある業務は任されないようになり、いわゆる「出世コース」から外されたそうです。
別の一人は休職前に上司から「ゆっくり休養しておいで」と労(いた)わるように送り出されたけれども、退院して出社したら自分のデスクと椅子が撤去されていたとか。

“がん友”のななちゃんが、「私もステージ4ですが、末期ではありません(笑)」というコメントをくれました。彼女も治療を続けながら、家族で国内外の旅行へ出かけるなど引きこもりの私の1万倍は活動的なんですよ~。
今井さんも治療を継続しているそうですから「末期」という言葉を使うのはやめて、希望を持ち続けてほしいと思います。

今井雅之さん自身の出演した舞台は観たことがないのですが、陸上自衛隊を経て大学へ入り直し、演劇の道へという異色のプロフィールをもつ俳優なので、以前からユニークな人だなぁとは思っていました。
柔道や空手の有段者だそうで熱血漢のイメージもありましたから、体力には相当の自信があったのではないでしょうか。

私の父方の叔父も柔道・空手の有段者で、建築家としての仕事がハードで徹夜続きでも全く意に介さず、連日連夜、無理を重ねたようです。悪性リンパ腫に罹り、26歳で逝ってしまいました。
生きていたら67歳、孫がいたかもね…。いくら体力に自信がある人でも過信してはいけません。

ところで、今井さんが降板せざるを得なかった『THE WINDS OF GOD(ザ・ウインズ・オブ・ゴッド)』は、今井さんの作・演出・主演で1988年初演の作品です。以来、国内外で上演されてきましたが、私は今井さんが出ていないときに、別の配役による公演をシモキタで観た覚えがあります。

今回の舞台の演出を担った奈良橋陽子さんが、映画『ラストサムライ』の日本側のキャスティングディレクターを担当し、その映画が話題となった頃(10年ぐらい前かな?)、奈良橋さんの本を作ろうという話があって、何度かインタビューをお願いしたことがありました。

ちょうどその時期、若手俳優らによる『THE WINDS OF GOD』が下北沢の小さな劇場で上演されており、奈良橋さんが「本当にいい芝居だから、ぜひ観て!」と、おっしゃったこともあって観に行ったのです。
神風特攻隊をテーマとした作品だとは知っていたので、美化した話ならイヤだなぁ……と警戒していたのですが、柔軟に笑いを取り入れながら、最後には反戦の意を強くする、とても見応えのある内容でした。
同時に、とてつもなく気力・体力を消耗する芝居だけに、これじゃ若い役者にしか演じられないだろうとも思ったのです。

今井さんは50代半ばにして、その舞台に再登場するつもりだったのですね……。
でも、台本が良いので、それなりに演技力とパワーのある役者が出るなら、充分に楽しめる作品だと思います。機会があれば、ぜひご覧になってくださいまし!

奈良橋陽子さんは英語が堪能で、「ゴダイゴ」のヒット曲『ガンダーラ』等の作詞家として知られ、演出家、プロデューサーとしても活躍。ご自身のアクターズスタジオから今井雅之、別所哲也、藤田朋子、加瀬 亮といった英語でも演技のできる俳優を世に送り出した人でもあります。

私が担当するはずだった奈良橋さんの本の話は、非常に残念無念なことに立ち消えとなってしまいました。というのも、映画の内容やスチール写真を使うための肖像権・著作権・版権などに関し、企画を持ってきた大手出版社の女性編集者が無知ゆえに、事前に調べたり交渉したりもせず、何も準備していなかったことが発覚。映画の写真が一枚も使えないのでは本にする意味がないという結論に至ったようでした……。
“バカ編集者”は連絡も寄越さず、ひと言の詫びもなく、私は3回ほど取材に出かけて時間も交通費も使ったのに、本の制作まで至らなかったせいでギャラはゼロのまま~(号泣)。
奈良橋さんに対しても本当に失礼な結果となりました。

……と、怒り心頭エピソードを思い出しちゃいましたが~、奈良橋さんはとても素敵な女性で、お話を伺うのが楽しみでした。今井さんが奈良橋さんの元を離れて20年近く経っても、『THE WINDS OF GOD』を素晴らしい作品だと称賛し続け、現在もサポートするという信頼関係は本当にいいな~と思いますね。

[本日のオマケ]

●『THE WINDS OF GOD(ザ・ウインズ・オブ・ゴッド)』オフィシャルサイト
http://windsofgod.com/

●ブログ「今井雅之の押忍!」
http://ameblo.jp/i-masayuki/entry-12017052852.html?frm_id=v.jpameblo

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