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映画『ひめゆり』が「沖縄慰霊の日」の前後に上映。都内と山形は20日から。 [沖縄&琉球國]

沖縄戦に動員された女性たちの部隊では
「沖縄師範学校 女子部」「沖縄県立第一高等女学校」の
15歳~19歳の女学生と教師で編成された
「ひめゆり学徒隊」がよく知られていると思います。

戦争当時の沖縄本島・宮古島・石垣島には
21を数える男女の中等学校があったそうで、
すべての学徒が戦場へ駆り出されました。
女子のほとんどは看護活動に従事させられ、
男子は上級生が「鉄血勤皇隊(てっけつ きんのうたい)」に、
下級生は「通信隊」に振り分けられました。

’90年代に沖縄県知事を務めた大田昌秀さんは
「沖縄師範学校」2年のときに「鉄血勤皇隊」に入れられ、
南部での激戦をかろうじて生き抜き、
捕虜となって生還したのが10月だったそうです。
全学徒のうち2000名以上が戦争の犠牲となりました。

以下は地図と写真を含めた解説ページで、
沖縄戦での学徒隊の全貌がわかりやすいと思います。
●「ひめゆりを学ぶ ② ひめゆり学徒の沖縄戦」
(ひめゆり平和祈念資料館)
http://www.himeyuri.or.jp/JP/war.html


「ひめゆり学徒隊」の悲劇を描いた映画は
戦後に何本も製作されましたが、いずれもフィクションでした。
生存者の証言を中心とするドキュメンタリー映画
『ひめゆり』は2007年に公開。
13年にわたる取材・撮影・編集を経て完成させたそうです。

ミニシアター「ポレポレ東中野」では
封切りの年から毎年、「沖縄慰霊の日」の前後に上映しています。
私は’07年に同作品のチラシを手に入れたものの、
テーマがテーマだけに気が重く、
なかなか映画館には足が向きませんでした。

当時のチラシのキャッチコピーは、
沖縄へ移住した演出家・宮本亜門さんの言葉として
こんなふうに書いてありました。

私の一生のお願いです。
『ひめゆり』を観てください。
出来れば世界中の人に観てほしいのです。
次の世代に伝えてほしい、現実を感じてほしい。
心がここに詰まっているからです。   宮本亜門


それまでも今も宮本さんのことは
お名前と職業しか知らないのですが、
広告屋の私としてはチラシの制作者に対して、
「一生のお願い」だなんて
よくもまぁストレートな表現をキャッチに使ったなぁと思いつつ、
チラシの青い空と海の写真を眺めながら、
いつかは観ないと……そんなふうに感じました。

そして、ようやく昨年の夏に「ポレポレ東中野」へ。
沖縄戦で命を奪われた10代の少女たちの
顔写真のアップが延々と続きます。
戦地で、むごたらしく惨殺された遺体が
無造作に積み上げられている写真や映像を観ると、
「犠牲者」という“かたまり”で捉えてしまいがちですが、
カメラに向かって微笑んだり、お澄まし顔をしたり、
はにかんだりした写真の一人ひとりに
日々の“生”があったのだとリアルに感じました。

学校の仲間や先生、家族との楽しい時間を過ごし、
将来は大学へ行ったり、社会に出て働いたり、
誰かと出会って恋愛したり失恋もしたり。
そして、結婚や子育てをして
可愛い孫に“おばぁ”と呼ばれたかもしれない。
独身を貫いて好きな仕事を続けたかもしれない。

そういう自由な人生を全く味わえないまま、
可能性に満ちた若さで
死へと追いやられてしまった人たちが目の前に現れます。
また、生存者の証言からは
学友を亡くして生き残った自分を責め続ける人、
いまだ当時のことを語れない人がいることもわかります。

貴重な証言を聴き続けるのも、
かなり、しんどいことではありますが、
生まれた時代や場所が同じだったら、
自分もどこかの部隊に動員されて殺されたかもしれない。
もしくは、自分は学校に行けなかった子で、
血を流すケガ人や病人、ウジの湧いた死体に交じり、
ガマ(壕)の中で「ひめゆり学徒隊」の誰かに
看護されたかもしれない。
さまざまなことを思いながら、
ひたすらスクリーンを凝視しました。


公式サイト
●映画『ひめゆり』(2007年/2時間10分)
http://www.himeyuri.info/
(※現在、予告編は、なぜか観られない状態となっています)。
出演:ひめゆり学徒の生存者(撮影当時)22名
企画・監督:柴田昌平(しばた・しょうへい)
撮影:澤幡正範・川崎哲也・川口慎一郎
共同製作:財団法人 沖縄県女師・一高女ひめゆり同窓会
製作・配給:プロダクション・エイシア


【2015年の上映予定】(※5月18日現在)

6月20日(土)~6月26日(金)
●「ポレポレ東中野」(東京都 中野区 東中野)
http://www.mmjp.or.jp/pole2/
毎日20:30(1日1回)
監督の舞台挨拶:6月23日(火・沖縄慰霊の日)の上映後
[料金]
前売り:1,000円
当日:一般1,300円、高校生以下500円

6月20日(土)~6月26日(金)
●「フォーラム山形」(山形県 山形市 香澄町)
http://www.forum-movie.net/yamagata/
毎日10:00/18:30(1日2回)
監督の舞台挨拶:6月20日(土)各回の上映後
主催:若者支援NPO「ぷらっとほーむ」
[料金]
前売り:一般1,000円
当日:一般1,700円、学生(学生証を提示)1,400円、幼児(3歳以上)・小・中学生1,000円

8月1日(土)~8月7日(金)
●「第七藝術劇場」(大阪府 大阪市 淀川区 十三本町)
http://www.nanagei.com/movie/data/975.html
毎日14:45(1日1回)
[料金(当日券のみ)]
一般1,500円、シニア1,100円、中・高校生1,000円、小人700円
ナナゲイ会員1,000円

2008年1月から『ひめゆり』の上映を続けている
●「くすぬち平和文化館」(沖縄県 沖縄市 安慶田)
http://www.kusunuchi.com/event0712.html
毎月第2・第4土曜14:00(予定)
[料金]
大人1,000円、高校生800円、小・中学生500円

※料金(各種の割引サービス等も)は
劇場のサイト等で再確認してくださいまし。


[参考サイト]

●「ひめゆり平和祈念資料館」
(沖縄県 糸満市 伊原)
http://www.himeyuri.or.jp/
1989年6月23日、「ひめゆりの塔」の隣地に開館。
映画では、この資料館に展示されている
少女たちの写真が映し出されます。

「うちの街では上映しないのか…」と思う方は、
有志を募って自主上映会を開くのはいかがでしょうか?
学校やサークル内など非公開形式での自主上映も
全国各地で行われているそうです。
●「『ひめゆり』自主上映会 申込みのご案内」
(プロダクション・エイシア)
http://www.himeyuri.info/jishu-joei.html

映画『ひめゆり』の監督で
ドキュメンタリー映像作家・柴田昌平さんのブログ。
●「大道映画人」
http://www.himeyuri.info/kantoku_blog/

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