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沖縄事件05:米国と日本政府に“最悪のタイミング”で、とんでもない資料が! [沖縄&琉球國]

首里城.jpg日米首脳会談は26日午前の予定を25日夜に前倒し。沖縄県を懐柔するためのパフォーマンス? 両首脳は22時40分過ぎまで記者会見場に現れませんでした。会談は30分の予定を延長したとか。外務省のサイトには「21時40分から約20分間,少人数の会談を行い,22時から約35分間,全体会談を行った」とあります。

●日米首脳会談(平成28年5月26日/外務省)
http://www.mofa.go.jp/mofaj/na/na1/us/page4_002071.html

記者会見の場では安倍首相が米側へ厳しい言葉を伝えたと報告し、オバマ大統領も神妙な面持ち…ということで一定の評価をした人もいるようですが、私にはシナリオに基づく演技にも見えました。
沖縄の抱える問題については曖昧な表現ばかりで、1960年以来、改定されたことのない日米地位協定の見直しも協議しなかった様子。全体的に具体性のないやり取りに終始したのではないかという印象でした。

[ウラ話]
●米側は会談終了時に写真撮影だけのつもりだったが、大統領が日本国民に語りかけるほうが効果的との判断から共同記者会見を行うことに。
●大統領の発言のうち、沖縄の事件に対して「regret」という単語を米側の通訳が「哀悼」と訳したが、会見後に米政府から「遺憾」と訂正するよう要請があった。
●会談の直前にケリー国務長官が岸田外相に電話で「深い謝罪を示す」と伝えた。大統領の広島訪問に対して米国内では「謝罪外交だ」という批判もあるため、沖縄にも「謝罪」という言葉を用いるのは避けたのではないかという見解もアリ。

会見で大統領の発言を訳した人は声からすると年配の女性のようでしたが、最初は同時通訳のように大統領の声に通訳の声がかぶってしまい、脇から「逐語(ちくご)通訳してください」と怒られていました~。大統領の話す内容は通訳者に原稿が渡っていると思うのですがね。
わが国に優秀な通訳者は多いはずですが、記者会見に慣れていない人を起用しちゃった? それとも米側が自国で雇った日系人? もしかすると、大統領の自然な発言のように演出するための演技だとか?(笑)。

ともかく、安倍サンが「米軍再編に当たっても沖縄の皆さんの気持ちに寄り添って…」などと言ってもスカスカした感じだし、オバマさんなんて会見の最後にこんな発言をしたのです。
「私は米国と日本の軍の方々と会って、彼らの業績に対して感謝する機会を楽しみにしています。」
誰なの、こんな無神経な原稿を書いたのは!? オバマさんも自分で言ってて気づかないの!?

大多数の沖縄県民はひどく落胆したでしょうし、私もガッカリしましたが、内心では沖縄の人たちも沖縄を支援する人たちも、「どうせそうなると思ってたよ」と感じた部分もあるのではないでしょうか。期待しては裏切られる、その繰り返しが、また…。

こんなときに、とんでもない資料が発見されました!
それは『沖縄文化認識トレーニング』と題されたスライドで、沖縄に着任した米軍の海兵隊員の研修に使うものだとか。英国人ジャーナリストのジョン・ミッチェルさんが、情報公開請求で入手したそうです。新聞には「発表用のスライド」とありましたが、たぶんプレゼンテーション等で使う映写用のスライドの意味かと思います。

今年2月の日付のものと、民主党政権の頃(2009年~2012年)の作成と思われるものがあるとか。基本的には沖縄の歴史や政治状況の説明用ですが、その内容には正しい認識もあるものの、外部に出すことは想定していなかったのでしょう、呆れるほど言いたい放題なんですよ!

(以下、沖縄2紙などをもとにスライドの内容を要約+私のツッコミ)

◎沖縄の歴史
●先史時代から琉球王朝時代、沖縄戦(と順を追って解説)。
●(アメリカの占領時代は)病院、新聞、司法や政治制度を創設したが、自治は制限された。
●沖縄は遅れていて日本人ではないという見方をする本土の人や組織によって差別されてきた。(←正しい認識)
●言語の抑圧(←戦時中に島言葉の使用を禁じた「方言札」などの話?)
●(2000年の沖縄サミット開催は)普天間代替施設の受け入れに対して感謝を示すため、政治的に決定されたもの。(←私は知らなかったよ。怒)

◎米軍基地
●(土地の接収の)補償が小さく契約期間は長かったことが、1956年の島ぐるみ闘争や復帰闘争につながった。
●沖縄は「(本土側の)罪の意識」を最大限に利用する。沖縄の政治は基地問題を“てこ”として使う。(←なんて失礼な言い方!)
●沖縄県と基地周辺の地域は沖縄の歴史や基地の過重負担、社会問題を巧妙に利用し、日本政府と駆け引きしている。(←沖縄県民が、ずるく立ち回れるほどなら現状のようにはなっていないでしょうが!)
●多くの県民にとって軍用地料が唯一の収入源で、彼らは基地を返還してほしくない。(←事実誤認の失笑モノ)
●日本政府は本土に代替地が用意できないので、沖縄に兵士と基地が残ってほしいと望んでいる。(←その通り!)
●米軍基地反対の言説は偏っているとしても、嘘ではない。(←偏りはアナタの偏見!)
●(辺野古の新基地建設について)特に滑走路がサンゴ礁の上に建設され、漁業やジュゴンを危機にさらすことから、もはや評判の良い案ではない。(←正解!)

◎米軍関係者による事件・事故
●米軍1人当たりの犯罪率は非常に低い。(←明るみに出ていない事件が多いかも?)
●(1995年の米兵3人による女子児童暴行事件は)その後の日本政府の対応(のまずさ?)が島中や国中の抗議を引き起こした。(←責任転嫁! 激怒)
●(米軍の兵士は日本の異性にモテるという前提で)突如としてカリスマ(特別な魅力)のある“ガイジン・パワー”が得られ、社会の許容範囲を超える行動をしてしまいがちなので、我を忘れないよう注意。(←思わず吹き出してしまいましたが、日本の女性をバカにしているし、婦女暴行などの犯罪に走ってしまうのは日本のせいという論調!? 怒)

◎沖縄県の2大新聞「琉球新報」「沖縄タイムス」
●内向きで狭い視野を持ち、反軍事のプロパガンダを売り込んでいる。(←これを受け売りするヤマトンチューもいますが、全国紙でもアメリカの新聞でも皆それぞれ偏向しているし、それこそ言論の自由が保障された媒体の個性というもの。私の贔屓は「東京新聞」)
●本土の報道機関は全体的に米軍に対して友好的だ。(←それは日本政府を支持する媒体だけよ~)

◎沖縄の世論
●多くの人は自分で情報を入手しようとせず、地元メディアの主観的で勝手な報道に基づく色眼鏡で物事を見ている。(←それだけ沖縄2紙が脅威だという意味ね)
●日本は合意形成(=多様な意見の一致を図ること)を重んじる国家だが、物事を進める際に一部地域と折り合わないときもある。特に沖縄が妨げとなっている。(←沖縄から見れば米軍と日本政府が妨げなんですよ)
●(米兵の犯罪などに対し)論理的というより感情的、二重基準、責任転嫁。(←これらの言葉は、そっくりそのまま返します)
●メディアと地方政治は半分ほどの事実と不確かな疑いをもとに、負担を強調しようとする。(←反論材料を用意すればいいでしょ?)

[民主党の政権時]

◎基地に対する自治体の傾向
●名護市、沖縄市、読谷村、北中城村は「過敏、反対」、嘉手納町、金武町は「より穏健」、浦添市、うるま市、伊江村、東村は「過敏でない」(←ずいぶん前のリサーチだから、現在はかなり変わるはず)

◎民主党に対して
●どうすれば、もっと現実的で責任ある態度を取れるようになるか、学ばねばならない。(←外国の政党にまで説教!? 苦笑。ただし、全部の政党にも言えることですね)

ジョン・ミッチェルさんのコメント
「米軍は海兵隊員に対し、沖縄を見下してもいいと教育している。それが、何も知らない若い兵士の振る舞いに影響を与えている。『沖縄への認識を深める』『良き隣人』という海兵隊の約束は崩壊した」

ミッチェルさんは自身のWebサイトで、入手したスライドを公開するそうです。来日中のオバマ大統領に米軍、日本政府にとっては“最悪のタイミング”となりましたね。ミッチェルさん、you really did a good job!

しかし、沖縄県の皆さんがこの資料の文言を読むと、どんな気持ちになるのか……。沖縄を含めて日本全体を見下している内容ですよね。私は領土に外国の軍事基地がある限り、日本は占領下のままだと言い続けていますが、友人にも「日本はアメリカの属国だ」と言う人たちがいます。G7も「日本からはカネが引きだせるから、参加させてやる」という考えか? 実に情けない。鎖国して、貧しくとも自給自足を目指すほうがいいわ~!!

沖縄では6月に事件の被害者Rさんの追悼と米軍撤退を要求する県民大会が行われる予定で、同月23日には沖縄の慰霊の日を迎えます。

私はここまでアメリカに愚弄されるのであれば、昔から一部の県民が思い描いてきた「沖縄の独立」を本気で検討する機会なのかもしれない、そんなふうにも思います。私の妄想じゃなくて、もし本当に沖縄県が日本ではなくなったら、今ある沖縄の米軍基地はすべて本土で引き取らねばなりません。
そういうことも踏まえて、日本に住んでいる人なら誰もが、他人事(ひとごと)ではなく自分の問題でもあると捉えて、意見が違おうと一緒に考え悩まねばならないと思うのです。

●JON MITCHELL(ジョン・ミッチェル)
http://www.jonmitchellinjapan.com/
1974年、ウェールズ生まれ。1998年に来日。「明治学院大学 国際平和研究所」研究員。
著書『追跡・沖縄の枯れ葉剤』(高文研/2014)により日本外国特派員協会「報道の自由推進賞」の「報道功労賞」受賞(2015年)。
同書は、ベトナム戦争で使われた枯れ葉剤が原因で病気となった退役米兵らの証言をもとに、枯れ葉剤が沖縄で備蓄・使用・廃棄された事実を突き止めたもの。

追跡・沖縄の枯れ葉剤

追跡・沖縄の枯れ葉剤

  • 作者: ジョン・ミッチェル
  • 出版社/メーカー: 高文研
  • 発売日: 2014/10/31
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


※画像:首里城。所在地は沖縄県那覇市。ユネスコ世界文化遺産「琉球王国のグスク及び関連遺産群」の一部。(File:Naha Shuri Castle16s5s3200.jpg/From Wikimedia Commons, the free media repository/出典:ウィキメディア・コモンズ)

[このブログ内の関連記事]
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