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仁左さまの南座顔見世大歌舞伎『仮名手本忠臣蔵』をTV鑑賞し、勘三郎を偲ぶ。 [美術・音楽・古典芸能・芝居...etc.]

「古典芸能への招待」(NHK Eテレ)で今月、収録されたばかりの歌舞伎2演目が放映されました。
案内役のアナウンサーは芸術全般に造詣の深い石澤典夫さんで、私はファンで~す♪

舞台は京都の「南座(みなみざ)」で、歌舞伎発祥の地・四條河原にあります(私は観に行ったことがないけど~)。11月下旬に舞台と花道が改修されたそうで、岐阜県産「東濃桧(とうのうひのき)」の板を600枚ほども敷き詰めたのだとか。まさしく「檜舞台(ひのきぶたい)」ですね。岐阜県は高知県に次いで全国2位のヒノキの産地だそうです。

演目の一つは“梅川忠兵衛(うめがわ ちゅうべえ)”で有名な『恋飛脚大和往来(こいびきゃく やまとおうらい・
こいのたより やまとおうらい)』から「新口村(にのくちむら)」。
元々の原作は近松門左衛門の文楽(人形浄瑠璃)『冥途の飛脚(めいどのひきゃく)』です。文楽には『傾城恋飛脚(けいせい こいびきゃく)』という改作もあります。

今回の出演は亀屋忠兵衛が中村梅玉(ばいぎょく)、傾城(けいせい)梅川が片岡秀太郎(ひでたろう)、孫右衛門が片岡我當(がとう)といった重鎮揃いでしたが、私は文楽にハマって以来、どうしても気になってしまうのが~、歌舞伎と比較してもしょうがないことで~、言っちゃいけない“お約束”なんですけど~、68歳の梅玉さんはともかく、
女形の秀太郎さんが73歳……。

原作では忠兵衛が24歳(江戸時代だから数え年?)、遊女の梅川は不明ですが、20歳前後でしょうか。身請けに250両も掛かる美女のはず。

※1両の目安(日本銀行金融研究所)
江戸初期:10万円前後
中~後期:4~6万円
幕末:4千円~1万円

『冥途の飛脚』の初演は1711年(正徳元年)7月と推定されており、作品のベースとなった実際の事件は1709(宝永6)年末に起こったらしいので、江戸中期で1両5万円と想定した場合、梅川の身請け代は1,250万円!?

遊女の中でも身分の低い「見世女郎(みせじょろう)」「格子女郎(こうしじょろう)」の梅川ですが、忠兵衛が公金を横領してまで身請けしたいと思い詰めた女性なんですよね。

私は画面を観ながら、うーんうーん(汗)と、うなっていたのですが、どうしても梅川の祖母にしか見えない……。我慢ができなくなってチャンネルを替え、ほかのドキュメンタリー番組を観てしまいました。秀太郎さま、申し訳ありませぬ~。

もう一つの演目は絶対に見逃しませんよ。『仮名手本忠臣蔵(かなでほん ちゅうしんぐら)』の七段目「祇園一力茶屋(ぎおん いちりきぢゃや)の場」。赤穂浪士(あこうろうし)の討ち入りをベースにした作品ですね。

この作品自体に思い入れはないんですけど、大石内蔵助(おおいし・くらのすけ)をモデルにした大星由良之助(おおぼし・ゆらのすけ)を孝夫さま・仁左(にざ)さまこと十五世 片岡仁左衛門が演ずるのです~!

今回は、2012年12月5日に57歳で亡くなった中村勘三郎さん(十八世)の追善興行ということで、勘三郎の長男・勘九郎が寺岡平右衛門、次男の七之助が遊女お軽という配役。

仁左さまは昨年11月に右肩の腱板断裂(けんばん だんれつ)のために舞台を休演して手術を受け、2か月ほども入院。その後、リハビリを続けて今年6月に復帰なさいました。
腱板とは肩甲骨と腕の骨を繋ぐ4つの筋肉と腱の総称で、仁左さまの場合、それが切れただけでなく“金魚のウロコのように”ボロボロになっていたそうです(涙)。

肩の痛みは7~8年前からあったようで、10人以上のお医者さんに診てもらい、さまざまな治療を受けたのだとか。でも、痛み止めの注射が効かなくなり、疼痛はひどくなる一方。
休養を考えていた矢先に中村勘三郎が食道がんの闘病の末に亡くなり、2か月後の’13年2月には市川團十郎(海老蔵のお父さま)が長年の白血病を患うなか、肺炎で逝去(享年66)。同年4月には「歌舞伎座」の新装オープン、9月には勘三郎と同じ年の坂東三津五郎が膵臓がんの手術と、歌舞伎界は大混乱に陥っていました。

仁左さまは無理を押して舞台出演を続けた結果、手術が必要となるほど悪化したようです(泣)。

三津五郎さんは今年の4月に復帰しましたが、治療が必要な状態となったそうで、今月、予定していた舞台が延期に。どういう治療かはわかりませんが、加療が奏功しますように……。

さて、舞台の仁左さまは古稀を迎えたとは思えぬ美しさ。と言うより、復帰前までの美しさに、さらなる凄味が増したように感じました。
同時に、仁左さまのゆったりと奥行きのある豊かさ、ふところの深さに包まれて、32歳の勘九郎、31歳の七之助が、のびやかに演じているようにも見えました。
由良之助の息子・力弥(りきや)を演じた中村壱太郎(かずたろう)も印象的でした。

勘九郎は、ひたいの汗がしたたり落ち、着物にシミを作るほどで、健気で切ない遊女役の七之助と共に大熱演でした。

幕が引かれる直前、仁左さまが勘九郎・七之助と一緒に最後のポーズを決めているとき、宙を見つめる目は勘三郎(本名・哲明=のりあき)に向かって、「のりちゃん、大丈夫だよ。この子たちのことは、もう安心して観てていいからね」とでも伝えているかのように思えて、ついつい泣けてきました。

仁左さまは、長兄の我當さん(79歳)が体調を崩して千穐楽(26日)の前日から休演することになったため、次兄の秀太郎さんと一緒の舞台に立って孫右衛門の代役も務めたそうです。
2日間とはいえ、昼の部が『新口村』『忠臣蔵』の掛け持ち、夜の部でも一人舞台で『お祭り』と、いやはや大変なことでしたねぇ。

仁左さまは‘92年末に肺膿腫と食道亀裂を患い、翌年の夏まで入院生活を送った経験があり、舞台には1年ほど出られなかったそうです。ようやく復帰がかなうときに、復帰作は、ぜひ『お祭り』をと頼んだのが勘三郎さんだったとのこと。そのときの想いを踏まえて、今年の復帰時にも『お祭り』を選んだのだとか。

若手の成長ぶりが観られるのはうれしい限りですが、古典芸能を担うベテラン勢の皆さま方、どうかどうか、御身くれぐれもお大事になさってくださいませ~。


[本日のオマケ]

●「文化デジタルライブラリー 舞台芸術教材で学ぶ
 演目解説 仮名手本忠臣蔵」(日本芸術文化振興会)
http://www2.ntj.jac.go.jp/dglib/contents/learn/exp1/index.jsp

●「歌舞伎座」
http://www.kabuki-za.co.jp/
食に興味のある人なら、このサイトにある「江戸食文化紀行」というコラムが面白いですよ~。
http://www.kabuki-za.co.jp/syoku/bkindex.html
(監修・著 松下幸子さん/千葉大学名誉教授)

●「京都四條 南座」
http://www.shochiku.co.jp/play/minamiza/

●歌舞伎公式総合サイト「歌舞伎美人(かぶきびと)」(松竹)
http://www.kabuki-bito.jp/

●「お金の豆知識 江戸時代の1両は今のいくら? ―昔のお金の現在価値―」
(日本銀行金融研究所 貨幣博物館)
http://www.imes.boj.or.jp/cm/history/historyfaq/1ryou.pdf
※PDFファイルが開きます。

●「腱板断裂について」(川崎市立 川崎病院)
http://www.city.kawasaki.jp/32/cmsfiles/contents/0000037/37856/kawasaki/shinryou/shinryou/11-seikeigeka_11.html

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紅(あか)テント「劇団唐組(からぐみ)」の千秋楽を観てきました~。 [美術・音楽・古典芸能・芝居...etc.]

唐組『紙芝居の絵の町で』.jpg
10月末日に行くはずだった
「劇団唐組(からぐみ)」の芝居。
「風邪を引いて熱があって咳も出るので~(泣)」
と劇団にお願いしたところ、
最終日に振り替えてもらえたので
何とか観られたのです。ウレシイ!!
(※詳しくは10月31日の記事を
ご参照くださいまし~)。

この数年ほど「唐組」は観に行っていませんでした。
一時期は「状況劇場」の頃からファンの
友人夫妻と一緒に、あるいは
編集者のSさんに誘っていただくなどして
よく観るうちに、“怪優”とも言われる
辻 孝彦さんから目が離せなくなったのですが(笑)、
テント芝居に一人で乗り込む(?)勇気が
なかったんですねぇ。

でも、今年はトバさんこと外波山文明さん主宰の
「椿組」の公演を観に行ったのがきっかけとなって、
やっぱり私はアングラ系が好きなのかもしれないと思い直し、
夏には辻 孝彦さんが客演した公演を
浅草まで観に行ったこともありました。
(辻さんなどベテラン勢の場面は素晴らしかったのですがね……)。

そして、誰を誘わなくても「唐組」は観なければ~!!
と思ってチケットを予約したわけなんですよ。


さて、今回の作品は’06年の再演
『紙芝居の絵の町で』。
あらすじを読むと、観た記憶がよみがえりました。
でも、劇作・演出・出演の唐 十郎さんは
舞台に出られない状態が続いているようなので、
配役も替わっただろうと思っていました。

と言うのも、芝居ツウの方々なら
よくご存じのことと思いますが、
唐さんは’12年6月下旬に自宅で転倒して頭を強打し、
脳内出血と診断されて緊急手術を受けたと報道されました。
(のちに息子の俳優・大鶴義丹さんが自身のブログで
「手術ではなく緊急処置で済んだ」と説明)。

いずれにせよ、原因は飲酒中に
普段から飲んでいる薬を間違って服用してしまい、
意識が朦朧(もうろう)となって転倒したそうです。
たとえ風邪薬でも
副作用で眠気をもよおすタイプが多いので、
お酒を飲んでいる最中は
どんな薬でも絶対に飲んではいけませんよ!!


閑話休題。
今回の芝居の会場は期間によって2か所に分かれていました。
10月中旬が「猿楽通り沿い特設紅テント」
神保町の明大10号館の隣接地です。面白い場所ですねぇ。

そして、私の出かけた10月下旬~11月3日の期間中は
雑司が谷(ぞうしがや)の「鬼子母神(きしもじん)」の境内でした。
(※「鬼子母神」の正しい字は「鬼」に頭のツノがない字で、
私のワープロソフトでは入力できませ~ん。
都電の駅名は「鬼子母神前(きしぼじんまえ)」です)。

物語の内容は、私にはとてもじゃないけど要約できないので~、
以下のサイトをご覧くださいまし。
役者たちが紅テントを畳んでいるレポートも掲載されています。
●「劇団唐組 公式情報」
http://ameblo.jp/karagumi/

アングラ芝居をご覧になったことのない方々は、
あらすじを読んでも
ポカ~ンと口を開けてしまう感覚ではないでしょうか。
初めて観たときの私が、そんな状態でした。
舞台の演者の動きを観ながら、物語を追おうとするほど
「なにコレ!? アタマがおかしくなるぅーーー!(冷汗)」
と、誘ってくれた人たちの脳味噌の中身を疑いましたよ。

それでも役者たちの暑苦し過ぎるほどのエネルギーに巻き込まれ、
「何だかワケわかんないけど、また観たい」と思ってしまい、
次の公演、次の公演と何度も足を運ぶうちに、
自分の解釈なんて全く関係なく
「この場に居る、ということを喜べばいいんだ!」と思い至りました。
それからは観るたびにシアワセ気分になるんです♪


役者の中でも非常に個性的だった
ベテランの鳥山昌克さんや丸山厚人さんが退団したようで、
前回の上演時には稲荷卓央さんが演じた主人公を
イケメン系の流れを汲む福本雄樹さんという若手が演じていました。
こうして少しずつ世代交代していくんでしょうかねぇ。……なんだか寂しい。
でも、稲荷さんはイケメンの上に、以前より
さらに狂った方向へと歩んでいる様子でステキでした~!!(喜)。

久保井 研さんのトボケた面白さも健在、
岩戸秀年さんという人も迫力があって良かったですね、私は。
岡田悟一さんは辻さんと同じく浅草の劇団に客演していて、
そのときの演技はいいなぁと思ったのですが、
唐組では出番が少なめの役で残念。

看板女優の藤井由紀さん&赤松由美さんも
相変わらず大活躍でした。
それぞれ色っぽさも増した印象。

藤井由紀さんが白馬に乗る場面は美少女の系譜ながらも、私は
「ああッ、まさに高畠華宵か吉田光彦の美少年画のように美しい!!」
と、うっとりしつつ大感動しました。

そして、最後の背景をバラす瞬間は、
私の座っていた場所が左寄りの前過ぎて、ほとんど視界に入らず、
あーあ、これを観ないでどうする~(悲)。
けれども、舞台挨拶には久保井 研さんに手を引かれて
唐さんがステージに上がり、
何も言葉は発しない(発せない?)ながらも
にこやかな顔で一礼した姿が観られたので、うれしく思いました。
何人もの野太い男声の
「唐ッ!」という掛け声が、また聴けたのも良かった!


ところで、今回の鬼子母神の期間中は
雨に降られた日もあったようで大変そうでした。
テントだけに、足元がドロドロになっちゃうんですよね~。
私の出掛けた日は雨もなく助かったのですが、
やっぱりテント芝居は腰もオシリも脚も痛くなるんだよ~(泣)。

覚悟して行ったつもりでしたが、前半はどうにかガマンできても、
後半はオシリが痛くてジッとしていられなかったので、
体育座りではなく横座りしたり、
それも両脚を右側へ出したり左側へ出したりと方向を替えつつ、
周りの観客の気が散らないようにと気を配らねばならぬ~、
遠慮半分で頻繁には体勢も替えられず~(涙)。

前半と後半の間に休憩時間も設けてあるのですが、
立ち上がって伸びをするのが精一杯のスペース。
「唐組」の公演は今後も観たいと思ったのですが~、
体力がもたないかもなぁ……(苦)。


同じ日の同じ会場に
ゴールデン街「Grey」の順子さんもいらしていたそうですが、
あまりにも、ごった返していてお互いにわかりませんでした。

帰り際に喫煙所へ寄ったら編集者のSさんがいたので
思わず声を掛けました。
「お久しぶりです~! 広浜千絵です。
覚えていただいていますか?」
二言三言、交わすうちにSさんは私のことを思い出してくれました。
長年、勤めた出版社を辞めて
フリーライターとして独立したそうです。
お互いに「本が売れないね~」と、ちょっぴり愚痴り合い(笑)。

とにもかくにも役者陣の大熱演と
怪演大健闘の辻さまも目の当たりにできて、
迸(ほとばし)る言葉のシャワーもたっぷり浴びた私は、
帰り道の暗い境内と参道も
シアワセ気分でたどった次第です~♪♪


[本日のオマケ]

境内にある樹齢700年ほどと伝わる大銀杏の樹も名物!
周辺には地味だけれども古くから頑張っている商店街もあり、
散策がてら訪れるのも楽しいですよ~。
●雑司ヶ谷「鬼子母神」(東京都豊島区)
http://www.kishimojin.jp/

「唐組」のリーフレット(写真参照)の絵は
高畠華宵(たかばたけ・かしょう)の作品です。
大正モダン時代の「美少年画」の大家と言われた人で、
私の好きな劇画家・吉田光彦も
その流れを汲んでいると勝手に思っています。
都内で高畠華宵の原画が観られるのが
華宵のパトロンだった弁護士さんの私設美術館。
一緒に湯島界隈のブラブラ散策もオススメですよ~!
●「弥生美術館・竹久夢二美術館」(東京都文京区)
http://www.yayoi-yumeji-museum.jp/

私は「唐組」の芝居で使われる音楽も好きなのですが、
今回の音楽を担当した
大貫 誉(おおぬき・たかし)さんは
劇団「新宿梁山泊」の役者のようです。才能豊かですねぇ。
http://s-ryo.sakura.ne.jp/ex/yakusya/onuki.html

●「新宿梁山泊(りょうざんぱく)」公式サイト
http://www5a.biglobe.ne.jp/~s-ryo/

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風邪のせいで芝居を壊したくない…、「唐組」の観劇日を振り替えてもらえました! [美術・音楽・古典芸能・芝居...etc.]

唐 十郎さん主宰「劇団唐組(からぐみ)」の公演チケットをネット予約してあったのですが、微熱がある上、咳も止まっていないのに観に行くわけにはいきませんよねぇ。
それは自分の体が大事というのではなく、役者はもちろん、ほかの観客に風邪を移してはイカ~ン!ということと、上演中に咳が出ると芝居を壊しかねないからです。

以前、友達のM子さんとクラシックコンサートに行った際、演奏中に彼女が咳込みそうになったらしく、苦しげに、そして、かすかな声で私に「外で咳してくるね」とささやき、暗い会場の中を非常に低い姿勢で腰をかがめながら、
そーっとホールの廊下へ出ていきました。
周りの観客は気づかなかった人も多かったと思います。私はM子さんをお手本にしなくちゃ!と感心しました。

別の機会に一人で「三越劇場」へ行ったときには、俳優のセリフに、いちいち反応しては周りに聞こえる声でベラベラとしゃべるオバサン客がいました。ほかの観客も、もちろん私もイライラしていましたし、俳優たちも困っていたことでしょう。

そこへ、業を煮やしたらしい初老の男性客が「芝居を壊すなッ!」と怒鳴ったのです。
ようやくオバサンは黙り込み、何事もなかったかのように芝居は進行しましたが、私なんて、どんな演目だったか誰が出ていたのかも完全に忘れてしまい、「芝居を壊す」という言葉だけが記憶に残ったのでした(涙)。

まぁこういう事態のときは、劇場のスタッフが迷惑をかける客に忠告すべきだと思いますが、芝居やコンサートなどは演者と共に観客も創るのだ、というのは、こういう意味もあるんだなと納得した思いでした。

そんなわけで、ダメモトでも唐組に日にちを変更してもらえないか頼んでみようと思い、電話してみたら留守電だったので、「風邪で熱が下がらなくて咳も出るので、ご迷惑でなければ最終日の11月3日に振り替えていただけないでしょうか~」という伝言を残しました。

その後、折り返して留守電にメッセージが届いており、振り替えOKとのこと。ありがたや~!!!(涙)。
何としてでも3日までに風邪を治して、我らが辻 孝彦さまを拝まねばッ!

私は首にタオルを巻き付け、長袖Tシャツの上に暖かいフリースのパジャマを着込み、もこもこ靴下も履き、指先のない手袋もつけ、マスクもして……という万全の風邪引きファッション(?)でベッドにもぐり込みました~。

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トバさん「椿組」芝居~G街「しん亭」「小鳥」「ナベサン」「Peg」で、また朝6時(苦笑)。 [美術・音楽・古典芸能・芝居...etc.]

ゴールデン街のアイドル(!?)トバさん[黒ハート]こと
外波山文明(とばやま・ぶんめい)さん主宰の
「椿組」の芝居を観に行きました~。
同行者はマッチャン&まさよさんです。

今回の演目は『一本刀土俵入り 御存知葛飾篇2014』
というタイトルです。
トバさん椿組.jpg
芝居小屋は新宿の有名人トクさんこと太田篤哉さん経営の劇場
「SPACE雑遊(すぺーす・ざつゆう)」。
http://www.zatsuyu.com/

劇作は金杉忠男さん(故人)という方で、
トバさんは演出&金杉さん役、
男優の辻 親八さんがプロデュース兼任です。

誰か知り合いが来ているかなぁ?と客席を見渡したら、
ボクシングの写真を撮っているボビーさんがいました♪

タイトルからして歌舞伎などでお馴染みの
『一本刀……』をベースにしているのだろうと思いましたが、
予想を遥かに超えた、めくるめく世界が展開されました~!!

内容は観てのお楽しみなので多くは語りませんけど~、
舞台は1970年代、東京の下町の中川沿いに
春をひさぐ女性たちの、つらく、けなげ、だけど
哀しい明るさもあり、カッコ良く啖呵を切る潔さもあるという
物語を軸に、性風俗の裏話がリアルに描かれるので、
そのへんで遊んできた男性陣には
匕首(あいくち)を突き付けられるような
キッツ~イ台詞(セリフ)もバンバン出てきますから、
覚悟して臨んだほうがいいかもしれませんよ~!!(笑)。

全体的には昭和のアングラの王道という印象でした。
BGMは昭和歌謡もたくさん聴けますし、
生ギター演奏もあるんですよ~!

私はさほどアングラ芝居は観ていないのですが、
「唐組」にハマったときに思ったのは、
最初の頃はどうしてもストーリーを追おうとしたり
理屈で理解しようと試みたりするのですが、
そういうことではなく、その場に身を置いて、
自分の感性だけで捉えたほうが、ずっと楽しい!ということ。
現場にいるライブ感を肌で感じればいいね、と思ったわけです~。

「椿組」は21日(火)のマチネが最終ですが、
まだチケットは買えるそうですから、どうぞお見逃しなく~!
http://homepage2.nifty.com/tubakigumi/katanahtml.html


それでですねぇ、終演後はやっぱりゴールデン街でしょ~!
というわけで、久々にG1通りの「しん亭」へ。
相変わらず、おいしいものをいただいて、
狭い路地を1本はさんだ「Rosso(ロッソ)」に行きました。
「ロッソ」01.JPG
「ロッソ」02.JPG













今夜、カウンターに入っていたのはスレンダー美女の“マイピー”[黒ハート]
「ロッソ」マイピー♪.JPG

1杯ずつワインを飲んで、
マッチャン&まさよさんは電車で帰るとのことで、
私は「小鳥」に顔を出しました。
そうしたら、またまたボクシング関係者、
しかも『ボクシングマガジン』等の記事を書いている
丸山さんというオジサマと出会い、
また古いボクシング話を延々として盛り上がった揚げ句、
丸さんに連れられて30年ぶりぐらいに「ナベサン」へ。
そこに居合わせた常連の男性の皆さんと
なぜか病気の話になり、私のがん体験のこともしゃべりまくりました~!

と同時に、行く先々でゴールデン街のレシピ本と
落合・中井の来春のイベント「染の小道(そめのこみち)」と
25日(土)の東中野「ムーンロード」秋まつりのチラシを配りました。
酔っ払っていても、やることはやってるんですよ~。エライなぁアタシ!!(笑)。

その後、丸さんに「Peg(ペグ)」の明美ママの店を紹介し、
「電車が動くまでね~」と言っているうちに
朝6時まで飲んじゃいました~(汗)。

以前、明美さんは「うちはネットで紹介しなくていいよ」と
おっしゃっていたので、イニシャルで書いていたのですが、
昨夜、明美ママから聴いたのは、
「私はいまだにガラケーで、ネットなんて見ないんだけど、
今の時代、店にいらした誰かに『一緒に写真を撮ってください』
と言われて、『ハーイ!』と撮ってもらったら、
その写真が勝手にネットに載ってるんだって。
だからもういいのよ~」
とのことでした。

丸さんは途中で爆睡して椅子から落ちたりしていましたが~、
「Peg」でも飲むボビーさんとも知り合いだし、
東中野のシャンソニエ「マ・ヤン」の敬子ママの息子さんは
元プロボクサーの盛川友基さんで、
丸さんは昔「マ・ヤン」に通っていたこともあるとのことでした。

こうして、いろんな縁が繋がるのもゴールデン街ならでは!
ありがたいことですね~♪

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沖文研の講座~松元ヒロさんライブ~ゴールデン街~朝帰りの巻。 [美術・音楽・古典芸能・芝居...etc.]

このところ金曜恒例となった
「沖縄文化研究所」の講座を受けに市ヶ谷へ。

先週は哲学系の先生で、定義づけにこだわりがあって、
それは哲学上では大切なことかもしれませんけどねぇ、
私は途中で気絶するかと思うほど眠かったのです~。

今回は民俗学の酒井卯作さんという先生で、
かの柳田國男の直弟子だとか。
酒井先生は朴訥とした語り口ながらも、お話は面白く、
「私は大正生まれでございますが、
免許証の更新に行ったら、
記入する書類の生年月日の欄には
昭和と平成しかなかったんですよ。
大正生まれはもう
この世にはいないものだと思われております」
といった前振りもあり、調べてみれば1925年生まれ。
御年89!
小柄な方ですが、実に矍鑠(かくしゃく)として、
民俗学は本当に楽しい学問だということも力説なさっていました。


いったん帰宅後、
兄貴分のOさんと「紀伊國屋ホール」で待ち合わせて
松元ヒロさんのソロライブを観ました。

ヒロさんは時事ネタのコント集団
「ザ・ニュースペーパー」の結成メンバーの一人ですが、
“ひとり立ち”したのは、もうずいぶん前のこと。

私がヒロさんの舞台を初めて観たのは、
立川志の輔師匠とお弟子さんたちのライブにゲスト出演したときで、
ニュースのナレーションに合わせて
即興風のパントマイムを熱演する姿に一目惚れ。
以来、大久保の労音会館でのライブなどに足を運ぶようになりました。
政治ネタを中心に今の社会が抱える問題を
鋭く面白く伝えるのですが、
アブナイ話題が多いので、テレビには呼ばれないのです……。
今回も大熱演に感激し、私は心の中で
「ヒロさん、一生ついていきます!」とつぶやきました。


仕事が詰まっているOさんを駅前で見送り、
ゴールデン街の「小鳥」へ。
偶然、ボクシングの写真を撮っているカメラマンの
ボビーさんに会えました~!
もしかしたら6~7年ぶり?
ボビーさんは私のがん本を買ってくださいました♪
名古屋から上京中だという初対面のKさんも
レシピ本を買ってくださいました♪♪

ボビーさんとボクシングのことをワーワーしゃべってから、
ゆきちゃんママの「Bar K」へ。
ドアを開けると
むつよさん、ごろうさん、マッチャン、あっちゃんの顔がズラリ♪
みんなで創業30周年を迎えたという「サーヤ」へ行き、
むつよさんを見送ってから「Suzy-Q」へ。
よったかちゃんが来店した途端、コンビニへ買い出しに行き、
みんなにシューアイスをご馳走してくださいました~[黒ハート]

マッチャンはしばし爆睡、私も瞬間的に昏睡状態に陥りましたが、
スッキリしたので、ごろうさん&マッチャンと
「ブラン」にも寄ってみると、
お店の前で「小鳥」のマスター洋介さんとバッタリ。
朝方の光の中、お互いに
「まだ飲んでたの~!?」とヘラヘラ言い合う始末。
ああ、ゴールデン街らしい光景だわ~。

ごろうさんに「ブラン」の店内を窺ってもらうと
お客らしき誰かが一人で寝ている模様だったので、
「バルカ」へ行ったら、よったかちゃんが飲んでいました。

帰りがてら区役所裏の立ち食いそばチェーン店「いわもとQ」へ。
マッチャン&ごろうさんは朝メニューのかけそば290円也。
私はミニ天丼(エビ、インゲン、ナスの天ぷら)を完食!

2人の兄貴分と新宿駅で別れ、自宅方面の電車に乗った土曜の朝。
うー、おなかいっぱい、血糖値上昇。
ヨロヨロと帰りついてバタッと倒れて爆睡。
目が覚めたときには、きっと日曜も終わっていることだろう。


[本日のオマケ]

●「ヒロポンのインターネット大作戦」(ヒロポンの会)
http://www.winterdesign.net/hiropon/html/index2.html
松元ヒロさんの公認サイトですが、
かなり前に面倒な輩がサイトを荒らした状況があったようで(怒)、
現在ではライブのスケジュールのみ更新されています。
ヒロさんのツイートも閲覧可能。

●ヒロさんのFacebookページ
https://www.facebook.com/hiro.matsumoto.9?fref=pb&hc_location=friends_tab

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民俗芸能&古典芸能ファンの皆さま、無料のイベント&講座の案内です~♪ [美術・音楽・古典芸能・芝居...etc.]

5~6年前に西早稲田というエリアに住んでいたのですが、
「早稲田大学」まで歩ける距離だったことから
社会人向けの講座「オープンカレッジ」を受講しました。
ちょうど興味のある民俗芸能や日本の写真史、
がん難民対策に関する講座があったからです。
それぞれの講座の参加者は20~30人程度でした。

がん関連の医療分野のほうは、考えていた以上に専門性が高く、
これじゃ大学院生向けなんじゃないの~?というレベル。
もちろん私の勉強不足もあるとは思いますが、
ほかの受講者たちも「難し過ぎる…」と、ため息ついたり居眠りしたり(笑)。

写真史は好きな分野だけに非常に面白く、
講師は貴重な写真集の現物を見せてくださり、
豊富な資料も用意して、ゲスト講師には
写真評論の第一人者を呼ぶなど充実した内容でした。
(ゲスト講師はゴールデン街でも飲み歩いている方です~)。

民俗芸能は受講時間が平日の昼間だったこともありますが、
ほとんどの参加者は60~70代だったと思います。
基本的な知識がないと付いていけない内容とペースでしたが、
年配の方々はとても熱心で、しかも詳しくご存じの様子なので
素晴らしいわ~と感服しました(私は付いていくだけで必死)。

ある70代前半の女性と話してみると、
ご主人のがん闘病を支えつつ、
唯一の息抜きとして受講しているとのことでしたが、
八王子から通うと聞いてビックリ。
最短で特別快速を利用しても往復80分以上は掛かります。
向学心旺盛でイキイキとした方でした。見習わねば~!

ほかにもいろんな講座があるので、
可能であれば、ずっと学び続けたかったのですが、
どこかで「オープンカレッジ」の会員証も入れた名刺入れを紛失(泣)。
それに、仕事もしないと食べていけないし~、
いくつも受講するとオカネもかさむし~、
引っ越しして歩いては通えなくなったから面倒だし~、
ということで、会員証の再発行もしないまま今に至ります。でへへ。

でもでも、こんな私のために(?)
民俗芸能や古典芸能のジャンルで、
無料のイベントや講座もあるんですよ~♪

―――――――――――――――――――――――――――――――――――
こちらは今週の日曜の午後のイベントで、直前の情報なんですが…。

●「第56回 関東ブロック民俗芸能大会」
(入場無料、事前の申し込みも不要)

毎年、11月の勤労感謝の日あたりに「日本青年館」で
「全国民俗芸能大会」が開催されているのですが、
これは以前「全国郷土芸能大会」という名称だったようです。
今年の全国大会は11月22日(土)に
神楽特集をテーマに開催されるような?
(まだネット上には、ほとんど情報が見当たらないので詳細は不明です)。

関東ブロックの今年の大会は都内で開催です!

日時:9月28日(日)12:00開場、12:30開演~17:00終了予定
会場:板橋区立文化会館 大ホール(東京都板橋区大山東町51-1)
アクセス:東武東上線「大山」駅・北口から徒歩3分
都営三田線「板橋区役所前」駅・A3出口から徒歩7分
http://www.itabun.com/access/index.html
※最寄り駅からは、もう少し時間が掛かると思いますよ~(プラス1~2分?)

【出演団体】
・横尾歌舞伎(静岡県浜松市/県指定)
・関山の仮山伏の棒遣いと柱松行事(新潟県妙高市/県指定)
・和合の念仏踊(長野県下伊那郡阿南町/国指定)
・塩平の獅子舞(山梨県山梨市/県指定)
・相模国府祭鷺の舞(神奈川県大磯町/県指定)
・岡田八幡神社の正月祭(東京都大島町/都指定)
・説経浄瑠璃(東京都板橋区/都指定)
・八王子車人形(東京都八王子市/都指定・国選択)

以前、岩手県の郷土芸能が「国立劇場」に出演する際、
地元生まれのアヤねぇに「観に行こうよ~」と誘ったら、
「そういうのはステージで観たって、つまんないよ」と却下されました~。
たしかに、季節感と共に神社や集落を背景にするのと、
自然の音が聞こえないホールの舞台とは全く別物ですもんねぇ。
でも~、なかなか現地には行けないので~、
歴史ある芸能を伝える人々の熱演が観られるだけでも♪

・上記の情報源
「東京都生涯学習情報」(東京都教育庁 地域教育支援部 管理課 文化財保護係)
http://www.syougai.metro.tokyo.jp/bunkazai/event/minzokugeinou.html


もう一つは、やや専門性の高い内容の講座です。

●第9回 無形文化遺産部公開学術講座
「流行歌としての道行
―『海道下り』を中心とした能・狂言歌謡の源流と広がりー」
(入場無料、事前の申し込み不要、先着350名まで)

テーマは「海道下り(かいどうくだり)」とありますが、
これは京都から東海道を通って東国へ向かう旅のことで、
「あずまくだり」とも言いました。
中世には、その道中の地名や光景を描写した
「道行(みちゆき/道行き文とも)」という謡曲が流行したそうです。

能・狂言に詳しい方々ならともかく、私などは
「硬そうな話かな~?(汗)」と、行くかどうか迷うところなんですけど、
リズミカルな「早歌(そうか/そうが)」という声楽曲や
大道芸の歌「放下(ほうか)」などの実演もあるようですし、
鎌倉・室町時代にブームとなった流行歌なんだと思えば、気軽に聴けそうです。

日時:10月18日(土)開場13:30、開演14:00~16:30終了予定
会場:「東京国立博物館 平成館 大講堂」(東京都台東区上野公園13-9)
アクセス:JR線「上野」駅・公園口または「鶯谷」駅・南口から徒歩10分
東京メトロ銀座線・日比谷線「上野」駅または千代田線「根津」駅から徒歩15分
京成電鉄「京成上野」駅から徒歩15分
※博物館の西門(通用門)から入場とのこと(ほかの入口からは入館料が必要)。

【内容】
・講演Ⅰ「宴曲〈海道〉の文学史 ― 忘れられた流行歌謡 ―」
岡田三津子(大阪工業大学 知的財産学部 教授)
・講演Ⅱ「放下の歌と能・狂言」
高桑いづみ(無形文化遺産部 無形文化財研究室長)
・実演
1「〈海道〉から能狂言へ  《盛久》道行・《蝉丸》道行」
2「放下の歌  海道下り・《放下僧》小歌」
3「小歌のいろいろ  小原木・《花月》小歌」ほか
・演者
佐藤友彦(和泉流 狂言師)
朝倉俊樹(宝生流 能楽師)
日吉栄寿(長唄三味線 演奏家)
・解説
高桑いづみ

・主催&上記の情報源
「東京文化財研究所 無形文化遺産部」(東京都台東区)
http://www.tobunken.go.jp/~geino/kokai/14kokai_inf.html

――――――――――――――――――――――――――――――――――――
[本日のオマケ]

●「文化遺産オンライン 動画で見る無形の文化財」(文化庁)
http://bunka.nii.ac.jp/jp/nation/movie/index.html#content_header
※ページのかなり下のほうに民俗芸能の動画があります。

国内外の民俗写真の第一人者・芳賀日出男さんのサイト。
●「芳賀ライブラリー」
https://hagafoto.jp

文楽・歌舞伎の公演が主ですが、定期的に民俗芸能の公演も開催。
●「国立劇場」(東京都千代田区)
http://www.ntj.jac.go.jp/kokuritsu.html

民俗・古典芸能だけでなく演劇全般を対象とする博物館。データベースも充実。
●「早稲田大学 坪内博士記念 演劇博物館(通称:エンパク)」(東京都新宿区)
http://web.waseda.jp/enpaku/

専門家の団体ですが、たまに会員以外でも参加できる研究会(有料)も。
●「民俗芸能学会」(民俗芸能学会事務局)
http://minzokugeino.com/

多様なジャンルにわたる講座が用意されています。
●「早稲田大学エクステンションセンター」
http://www.ex-waseda.jp/
2014年度から会員以外でも受講できる「ビジター制度」がスタート。
ただし、入会金が免除される代わりに受講料は割高となるそうです。

「オープンカレッジ」は早大だけでなく、全国あちこちの大学で開講中。
ネットで学べる「eラーニング」等も多くの大学が導入しているようです。

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岩手の大槌町のお祭りのおかげで、民俗・郷土芸能ファンとなりました。 [美術・音楽・古典芸能・芝居...etc.]

9月の秋分の日を迎えるたびに思い出すのが、
岩手県の大槌町(おおつちちょう)のお祭り。
大槌は姉貴分のアヤねぇの故郷で、
ずいぶん前ですが、この時季に実家へオジャマして
お祭りを見物したことがあったのです。

「大槌まつり」は
「大槌稲荷(おおつちいなり)神社(二渡神社)」と
「小槌(こづち)神社」合同の例大祭で、
毎年9月の第3土曜・日曜に行われます。
「祭りのために1年間、仕事する」とも言われるそうで♪
私が訪れたときも町中が、お祭りムード一色に染まり、
商店もほとんど休業していたほどでした。

私はたぶん「小鎚神社」へ
連れて行ってもらったと記憶しています。
神職による祝詞(のりと)のあと、
神霊が乗り移ったとされる
神輿(みこし)が引き出されるのですが、
担ぎ手は一般のお祭りでよく見る法被(はっぴ)姿ではなく
黒い烏帽子(えぼし)に白装束の男性たち。へぇ~!(驚)。

港を目指して街なかを練り歩く神輿にくっついて行くと、
笛や太鼓、鉦(かね)が、にぎやかに鳴り、
早口の節回しのような威勢の良い掛け声も響く中、
獅子舞などの「太神楽(だいかぐら)」だけでなく
「虎舞(とらまい)」や「鹿子踊(ししおどり)」も観られます。

トラ~ッ!? シカ~ッ!?

私は祭事で虎や鹿が踊るなんて観たことがありませんでした。
虎舞は2人1組で鮮やかな黄色の布をひるがえし、
アップテンポで勇壮な踊り。
虎の頭(かしら)は物凄く怖い顔つきで迫力満点!
三陸の沿岸部には地区ごとに、たくさんの虎舞があり、
それぞれ、お囃子(はやし)も踊りも違うそうです。

鹿子踊(ししおどり)は舞う前に
神社の分社の中で鹿の衣裳の集団が
頭(こうべ)を垂れて座っているのを見たのですが、
みんなユラユラと頭を振り始め、まるでトランス状態のようでした。
地元の人々にとっては厳粛な神事ではあるのですが、
私は「面白い~ッ!!」と小躍りしたくなりました。

そして、神輿は港へ出ると船に乗り込み、湾内を一周したのです。
「ひゃ~、おみこしが船に乗るなんて~ッ!!!」
と、私はまたもや大興奮で騒いでいたのですが、
アヤねぇは、お祭りの写真を撮るのに集中していました(笑)。

担ぎ手は神輿を担ぎ上げたまま、海水に浸かることもあるそうです。
これは「神輿の潮垢離(しおごり)」と呼ぶもので、
海水で禊(みそぎ)をする(=身を清める)ということ。

神輿が本宮から元宮や
御旅所(おたびしょ=神輿を仮に安置する所)へ向かうことは
「渡御(とぎょ)」と言い、
陸地であれば「神輿渡御」「陸渡御(りくとぎょ)」、
神輿が船に乗って水辺へ出る場合は「船渡御(ふなとぎょ)」、
担ぎ手ごと海・川・湖などへ入るのは
「海上渡御」「海中渡御」などと言われ、
いずれも全国各地で行われているようです。


東日本大震災の津波によって
甚大な被害に遭った大槌町ですが、
人々は祭りのために心を一つにし、
震災の年にも小規模の祭りを実現させました。
今では「大槌町郷土芸能祭」というイベントも行われているようです。

私は元々、狂言や歌舞伎などの古典芸能は好きでしたが、
大槌のお祭りのおかげで
民俗・郷土芸能に、すっかり魅了されました。
以来、全国の祭事や神楽(かぐら)を
観て回れたらいいのにな~と夢想し続けています。
(行く先々で地元の人たちと一緒に
飲んだくれながら、ですね。笑)。

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[本日のオマケ]

●「大槌町 小鎚神社}
・お祭りのダイジェストの動画
http://www.youtube.com/watch?v=s4LXbj6d88s#t=395
・鹿子踊(ししおどり)の動画
とても優美でいてカッコいいんですよ~!
衣裳からすると、おそらく
「臼澤(うすざわ)」という地区だと思います。
http://www.youtube.com/watch?v=-bkXWN1lQ4k#t=60

●「大槌稲荷神社(二渡神社)」
・虎舞の動画(「安渡(あんど)」という地区の虎舞)
掛け声は、がなり立てているので言葉も拾いにくいのですが、
「安渡の虎舞 跳(は)ね虎舞 一杯飲まねば 気が済まね」
という楽しいフレーズも(笑)。
私はこの安渡の虎舞のリズムと掛け声が気に入っています~。
http://www.youtube.com/watch?v=zBqprYqbzwg

東北地方を中心に神楽や祭事を紹介しているブログ。
画像と動画も豊富。
●「祭りの追っかけ――祭りと郷土芸能の見聞記」
(運営:祭りの追っかけさん)
http://maturinookkake.blog.fc2.com/

全国各地の祭礼などの動画(一部)と解説あり。
2011年で更新が途絶えているようですが…。
●「無形民俗文化財アーカイブズ」(運営:NIA)
http://www.nponia.com

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暮らしの中にある染色工藝家・芹沢銈介――各地の美術館&通販ショップ。 [美術・音楽・古典芸能・芝居...etc.]

(※9月21日・22日の記事の続きです)。

芹沢銈介(せりざわ・けいすけ)は、
しっかりしたデッサンの力を基本に
沖縄の紅型(びんがた)・江戸小紋・伊勢和紙など
日本の伝統的な技法も学んだ上で、
国内外の民芸品も意欲的に収集・研究し、
独創性豊かな作風を完成させた人です。

その作品群は多岐にわたり、
着物、帯、屏風(びょうぶ)、暖簾(のれん)、風呂敷、壁掛け、手ぬぐい、
書籍の装幀、カレンダー、ガラス絵、板絵、書、マッチのラベル、
赤絵(陶器の絵付け)、看板や照明のデザイン、美術館の内装設計などなど。
モチーフは昔ながらの花鳥風月はもとより、
文字や幾何学模様、身近な雑貨なども含め、多様性のあるものだけに、
今も多くの作品が私たちの暮らしのそばで息づいています。

芹沢は、どこへ行っても目に触れたものをスケッチし、
描くスピードも非常に速かったとか。
晩年には
「目に映るものが何でも模様に見える」
と語ったそうです。

現代の染色家(染織家)や工藝家のみならず、
さまざまな形・色・模様など意匠に関わる仕事の人々、
たとえば、服飾・グラフィック・Web・書体などのデザイナーもそうですし、
画家やイラストレーター、書家、アートディレクター、編集者、
建築家、インテリア&カラーコーディネーターなど、
そして、私のような物書きも含め、
物づくりのプロや美術の愛好家なら見過ごせない創造者であり、
また、その作品は見れば見るほど新鮮で、
今なお参考になる要素が非常にたくさんあるんですよね。
(ということを私は今回、アレコレ調べて学び、ようやく少し理解した次第)。


芹沢は柳 宗悦や白洲正子も認める審美眼の持ち主でもあり、
自身の美的基準をもとに
国内外の染織品・木彫・絵画・陶器・装身具などを
精力的に収集し、膨大なコレクションを構築。
芹沢は、それらを一般の人々に観てほしいと願っていました。

1963年には岡山県の倉敷に
民藝運動の後援者である大原孫三郎の「大原美術館」がオープン。
その「工芸館」には民藝運動の仲間の作家と共に「芹沢室」も設けられました。
芹沢は「工芸館」全体の内装設計も手掛けています。

’81年には郷里の静岡市に市立の「芹沢銈介美術館」が完成。
コレクションから約4千500点、自身の作品から約200点を寄贈しました。

こうして西日本や中部地方の人たちには
作品やコレクションが観てもらえるようになりましたが、
芹沢がとりわけ愛した東北の人々には
容易に観られる環境ではありませんでした。

芹沢は晩年に倒れて入院したとき、息子の長介に
「仙台にも陳列館を一つ作ってくれよ」
と言ったそうです。
長介は考古学者で、
「東北大学」「東北福祉大学」の名誉教授となった人物でした。
また、芹沢の次女は終戦直後に仙台で結婚し、3人の孫もできたことから、
芹沢は特に仙台には親しみを覚えていたようです。

その後、「東北福祉大学」が学内に美術館を造るという話になり、
長介が父・銈介の作品3千点と収集品千点の寄贈を申し出て、’89年に開館。
芹沢の没後5年のことでした。
長介は晩年に「東北福祉大学 芹沢銈介美術工芸館」の館長も務めたそうです。


[芹沢銈介の作品を収蔵している美術館など]

●「静岡市立芹沢銈介美術館」(静岡県静岡市)
http://www.seribi.jp
サイトは芹沢の生涯と作品が年代順に整理され、
理解しやすい内容。

「登呂遺跡公園」の中に建つ美術館の本館「石水館」は
「白井晟一(しらい・せいいち)研究所」による設計。
白井は数々の名建築を遺した著名な人ですが、
ミーハーなことを言うと~、年配になってからの顔写真は
晩年の原田芳雄を哲学者にしたような渋めの風貌です(笑)。

・「白井晟一研究所」
http://www015.upp.so-net.ne.jp/ikuma666/
・「白井晟一の建築」(運営:やまうちさん)
http://page.freett.com/hachinosu175/siraikentikusyu.htm


この美術館には付属施設として芹沢の自宅兼工房があります。
元は宮城県の農家の板倉(木造二階建て)を芹沢が気に入り、
’57年に自邸のあった蒲田(かまた/東京都大田区)へ移築し、
自ら改装を施したもの。
’87年に現在の場所へ移築されました。
●「芹沢銈介の家(リーフレット)」(静岡県静岡市)
http://www.seribi.jp/keisukenoie-p.pdf
(※PDFファイルが開きます。
画像はクリアではありませんが、おおよその全体像がわかります)

この家は今年8月から、美術館の入館者だけでなく
誰でも無料で観覧できるようになったそうですよ♪
ただし、公開日は休館日を除く日曜・祝日のみ。


[芹沢銈介美術館&家の紹介記事]

歳月を映した深みのある木の色、調度品も素敵。
・「しずおか近代和風建築さんぽ 芹沢銈介の家」(eしずおかブログ/しずおかオンライン)
http://kindaiwafu.eshizuoka.jp/e1020573.html

玄関までのアプローチが非常(異常!?)に長いのが、よくわかります。
・「広島県立美術館 公式ブログ 芹沢銈介について」(学芸スタッフ:角田 新)
http://www.hpam.jp/blog/?p=4237

美術館の周りには58本の金木犀(キンモクセイ)が植えられているそうで、
満開の時季には香りに酔いそうですね~。例年10月中旬~下旬が見頃だとか(?)
・「静岡花散歩 芹沢銈介美術館のキンモクセイ」(しずおかはなさんぽ)
http://hana.web-pallet.com/3509/

・「my旅しずおか 静岡県 観光」(マイ旅net)
http://shizuoka.mytabi.net/shizuoka/archives/serizawa-keisuke-art-museum.php

・「みんげい おくむら」(奥村商店/千葉県船橋市)
http://www.mingei-okumura.com/fs/mingei/c/serizawamuseum

・「しずふぁん!! 静岡県が誇る人間国宝『芹沢銈介』をもっと知りたい!」
(しずふぁん!!運営事務局)
http://shizufan.jp/netamap/chubu/51705/


地元・仙台の市民にも親しまれている大学内の美術館。
美術館のロゴも芹沢の意匠です。
サイトには作品と収集品の画像や解説が多く盛り込まれ、
芹沢銈介の全容がわかる仕組み。
●「東北福祉大学 芹沢銈介美術工芸館」(宮城県仙台市)
http://www.tfu.ac.jp/kogeikan/
・「大学受験パスナビ 『ユニバーシティ・ミュージアム』に行こう!」(旺文社)
http://passnavi.evidus.com/201408_museum/tohoku-fukushi/html/1


千葉県柏市にも生涯にわたって芹沢の作品を収集し、
美術館まで作ったコレクターがいました!

砂川七郎(すながわ・しちろう/1913~1995)は
同家の7男として生まれ、名古屋の学校へ進学。
その地で柳 宗悦の主宰による雑誌『工藝』の装幀を見て
芹沢銈介や棟方志功などが手掛けたものと知り、
以来、芹沢の作品を集めるようになったそうです。

戦争のせいで一時はコレクションを失ったのですが、
経済成長期に経営コンサルタントを生業としながら収集を続け、
着物や暖簾、屏風など640点のコレクションに。
所蔵品を一般公開するため、
千葉県北部の手賀沼(てがぬま)に近い自邸内に「砂川美術工芸館」を設け、
’81年に芹沢夫妻も招いてオープンしたそうです。
14年後に砂川館長が体調を崩し、閉館することとなりました。
コレクションの散逸を防ぎ、長く後世へ伝えたいと柏市へ寄贈。
砂川館長は、その翌日に亡くなったそうです。

柏市では’96年に「柏市立砂川美術工芸館」として再開しました。
しかし、事情はわかりませんが、’07年に閉館したようです。
(※ネットには現在も同館が開館中のように書いてあるサイト多し)。

現在、作品は柏市庁舎内に収蔵され、
企画展ごとに展示の入れ替えが行われているようです。
他館の展覧会の際には作品の貸し出しも。
●「柏市郷土資料展示室」(柏市役所 沼南庁舎/千葉県柏市)
・美術系企画展
「詳細」のリンク先で作品の一部の画像が見られます。
http://www.city.kashiwa.lg.jp/soshiki/280400/p017453.html
・アクセス
http://www.city.kashiwa.lg.jp/soshiki/280400/p013641.html

砂川邸と美術館のあった手賀沼の周辺は我孫子(あびこ)市にも接しており、
市内には大正時代、柳 宗悦夫妻が居住していたそうです
(向かいには柳の叔父で“講道館柔道の父”嘉納治五郎の家があったとか)。
その後、柳が高校時代から参加していた同人誌『白樺』の仲間である
作家・志賀直哉や武者小路実篤も移住したり別荘を構えたりして、
陶芸家バーナード・リーチも加わって窯を造り、濱田庄司も訪れるなど、
手賀沼は一時「白樺派」と「民藝運動」の拠点となりました。


都内で常時、芹沢作品が観られるのは、やっぱりココですね。
’36年に開館し、柳 宗悦が初代館長に就任。
緑豊かな「駒場公園」の一角にあり、そばには「日本近代文学館」も。
●「日本民藝館 所蔵品 芹沢銈介作品」(東京都目黒区)
http://www.mingeikan.or.jp/collection/author04.html
このサイトは作品の画像が大きめに拡大できる上、
次々と観られるので、ネット上の作品鑑賞に親切なつくりです。


西日本で芹沢作品が鑑賞できるミュージアム。
倉敷の観光の中心地にあります。
●「大原美術館 芹沢銈介 『風の字麻地型染のれん』」(岡山県倉敷市)
http://www.ohara.or.jp/201001/jp/C/C3d05.html
・「コレクションリスト 芹沢銈介」(※文字のみ)
http://www.ohara.or.jp/201001/jp/C/C4d5.html

この美術館のオーナーである実業家・大原孫三郎は民藝運動を支援しており、
芹沢は柳 宗悦の紹介で「工芸館」の内装設計も手掛けました。
「工芸館」は大原家の土蔵を改造したもので、民藝運動の主軸となった
濱田庄司、バーナード・リーチ、富本憲吉、河井寛次郎の作品の展示室に加え、
棟方志功の「棟方室」、芹沢銈介の「芹沢室」があります。
各展示室の内装や展示ケースは作家の個性を考慮しながら芹沢がデザインし、
窓の形や材質の異なる床の模様、歩くときの音なども
作品と共に楽しめるそうです。


[芹沢銈介デザインの商品が購入できるサイト(一部)]

大胆、面白い、どこか懐かしい等々、
遊び心ふんだんなデザインもたくさん♪
素材によっては高価なものもありますが、
綿の布小物などは500円台から。

布物や和紙小物、図録など多彩なミュージアムグッズ。
●「芹沢銈介美術館 売店」(静岡県静岡市)
http://ec.seribi-shop.jp/

芹沢と弟子たちの手による団扇(うちわ)のコレクション。
●「民芸福田」(香川県高松市)
http://mingei-fukuda.com/Serizawa_uchiwa.htm

芹沢から型絵染を学んだ吉田桂介が創設。
手すき「八尾(やつお)和紙」の型絵染カレンダーは芹沢の意匠。
●「桂樹舎」(富山県富山市)
http://www.keijusha.com/calender.html

百貨店の呉服売場などにも出店。
京都と東京にギャラリーもあり。
●「芹沢銈介 商品カタログ」(宮井/京都府京都市)
http://www.miyai-net.co.jp/item/serizawa.html
・「風呂敷の知識」
http://www.miyai-net.co.jp/furoshiki/index.html

風呂敷や手ぬぐい、袱紗(ふくさ)など和布のセレクトショップ。
●「Motai 芹沢銈介ふろしき」(THINK OUT OF THE CASE/東京都渋谷区)
http://www.hospitalityjapan.jp/fs/furoshiki/c/furoshiki_serizawa

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染色家・芹沢銈介の明治28年から昭和59年までの生涯を追ってみました。 [美術・音楽・古典芸能・芝居...etc.]

9月21日の記事に引き続き、
芹沢銈介(せりざわ・けいすけ/1895~1984)の
生涯について調べてみたのですが、
天才で順風満帆の人生、というわけでもなかったようです。

1895(明治28)年5月13日、
静岡市の呉服太物卸商・大石角次郎の
次男(7人兄弟)として生まれました。
「呉服」とは元来、絹織物のことですが、
「太物(ふともの)」とは綿や麻の織物を指すそうです
(糸が絹より太いから)。
店舗は間口が八間(約14.5m)あり、
当時の東海道沿い(東京~名古屋)では
最大の呉服太物店だったとか。

芹沢は幼稚園の頃から絵の才能を褒めそやされ、
小・中学校を通して絵画に親しみました。
画家になりたいと美術学校を目指したのですが、
中学卒業を目前に隣家から出火し、類焼した生家は全焼。
美術学校は諦めて、
「東京高等工業学校(現・東京工業大学)」の
図案科へ進学しました。

生家が裕福なままであれば、その資産を頼りに
自由な芸術家の道が選べたのでしょうけれど、
官立校の図案科へ行ったということは、
商業または工業デザインを学んで生活の糧に、
と考えたのだろうと思います。

学校では印刷図案や石版印刷技法を修得し、
西洋美術にも触れました。
卒業後は静岡市へ帰り、
21歳で同郷の芹沢たよ(18歳)と結婚。
奥さんの姓の「芹沢」を名乗ることとなりました
(婿養子と述べてあるサイトもありますが、詳細は不明です)。

「静岡県立静岡工業試験場」に就職し、
「大阪府立商品陳列所」にも指導者として勤めたのち、
郷里へ戻り、友人と図案社(商業美術を手掛ける
今のデザイン事務所のようなもの)を始めました。
しかし、29歳のときに
芹沢家が親戚の保証人となっていたのが原因で、
土地・家屋・山林・田畑すべてを失い、
借家住まいをすることに……。


その後も手工芸の仕事を続けていた芹沢は
32歳のときに、
柳 宗悦(やなぎ・むねよし/1889~1961)と会う機会を得ました。
柳は宗教哲学者から民藝研究家へ転身し、
「民藝運動」を構想しており、
雑誌に連載していた柳の『工藝の道』を読んだ芹沢は、
人生が一変するほどの深い感銘を受けました。
その翌年には沖縄伝統の染物「紅型(びんがた)」の風呂敷を
目の当たりにし、その美しさに感服したのです。

柳の提唱した民藝運動の根幹は、
西洋文化一辺倒で高級な美術品しか評価しなかった時代に、
“美しさ”という価値基準すらなかった
「名もなき民衆の手工藝品にこそ学ぶべき」ということ。

日本(特に北海道・東北・沖縄)および
朝鮮・台湾(当時は日本の統治下)の
無名の人々の作った陶磁器や布小物、紙製品、木工品など
日用品や生活雑貨に美学を見いだしたことから、
「用の美」という言葉で表現されるようになりました。

美術に関する社会的な運動と言えば、
イギリスのウィリアム・モリスが主導した
「アーツ&クラフツ・ムーブメント」が思い浮かびますが、
日本には日本独自の美術的土壌や
歴史的な事情などがあるので、
柳らの民藝運動はモリスに触発されたとしても
ヨーロッパの運動とは性質を異にするものでした。

芹沢は柳の考えに大いに共鳴し、
陶芸家の河井寛次郎や濱田庄司らと共に
民藝運動の中心的な存在となっていきました。


1934年の早春、芹沢は家族と共に静岡から上京しました。
民藝運動の仲間だった水谷良一(商工省の役人)の厚意で
大田区蒲田(かまた)に土地と工房を与えられたのです。
そのおかげで染色に専念できるようになり、
作家活動も本格化したようです。

40代半ばには仲間たちと沖縄の工芸調査へ。
59日間の滞在中、本島だけでなく久米島も訪れ、
芹沢は、たくさんのスケッチに励むと共に、
紅型の本場の工房でも指導を仰ぎ、技法を学んだそうです。

しかし、戦時下の1945(昭和20)年4月に空襲に遭い、
自宅と工房にあった家財や作品の型紙なども、
世界各地で集めた工芸品のコレクションも焼失しました。
この頃、芹沢の家族は
妻と一男三女の子どもたちでしたから、
知己を頼ろうにも引っ越しするにも一苦労だったことでしょう。

10月には戦災を免れた「日本民藝館」(目黒区駒場)へ転居。
年が明けてからは
知人の別邸内の離れ(大田区山王)へ移り住み、
翌々年には別の知人の邸内(港区南青山)で
居候(いそうろう)するなど、
仮住まいの生活は6年半にも及んだそうです。

芹沢ほどの感性と技術の持ち主なら、
才能を認めて援助してくれる人々も多かっただろうと思いますし、
民藝運動の仲間やパトロン(大原財閥など)の存在もありましたが、
いくら大金持ちの広い広い屋敷であっても
家族5人で寄食し続ける生活は肩身も狭いでしょうし、
仕事場を設けてもらったとしても、
大きな作品は作りづらかったのではないかと思います。

それでも周りの人々が庇護したのは、
本人の性格に負うところも大きかったのではないでしょうか。
世界を見渡せば、たとえ世に二人といない天才でも、
その性格ゆえにパトロンやパートナー、親族などから
見捨てられた芸術家も、たくさんいたことがわかりますよね。


作家の佐藤春夫が芹沢と棟方志功を比較し、
芹沢を「沈着冷静、知的で“月光的”」であり、
棟方は「天才肌、天衣無縫で“日光的”」と評したといいます。

芹沢については真面目、誠実といった評も多いようですが、
融通の利かない堅物だったというわけでもなさそうです。
たとえば’37年に芹沢は、
アメリカ人コレクターに依頼された柳からの要請で、
スペインの騎士ドン・キホーテの物語を下地に
日本版『絵本 どんきほうて』を創作しました。
国内には前例がなかったため、
芹沢は苦心の末に鎌倉時代の武士の姿に翻案。
まさに武者絵のようだと海外で評判となったそうです。
芹沢は試行錯誤を重ねたようですが、
その発想の転換は
自由な精神に基づくものではないか、と思うのです。

また、芹沢の代名詞でもある「型絵染(かたえぞめ)」の技法は、
それまで分業制だった「型染」の工程をすべて一人で行うものですが、
渋紙(和紙を貼り合わせて柿渋を塗り、
強度を増したもの)に下絵を描き、
染めの図柄の基となる「型」を作るために
下絵に沿って小刀で切り出していく「型彫り」という作業の際、
TVで観た芹沢は、下絵の線からズレても意に介さず、
切り取るつもりのなかった紙片が
「あ、取れちゃった」と言いながらも、
切り過ぎた部分も生かした図柄を作っていました。

こういうときに「失敗した…」と落ち込むような人ではなく、
偶発的なことも含めて創作を楽しむ、という感じですね。
弟子には厳しい一面もあったそうですが
(それは、どこの世界も当然でしょうが)、
基本的には、おおらかな人だったのではないか、と私は思います。
だからこそ、世界各地の民衆の工芸品からも
素直に影響を受けたり、
紅型(びんがた)でも伝統に囚われない
自由な意匠が描けたりしたのではないかと。


’55年には大田区蒲田の自邸に
「有限会社 芹沢染紙研究所」を創設。
その翌年に「型絵染」が重要無形文化財に指定され、
芹沢は、その保持者(人間国宝)に認定されました。
「型絵染」の名称は、このときに創案されたそうです。
’76年にはフランス政府の招待により
「国立グラン・パレ美術館」で「Serizawa展」を開催。
入場者はトータルで約2万9千人を集めたとか。

’83年4月19日に妻が亡くなり、
8月には芹沢自身も自宅で倒れて入院。
右手が不自由となりましたが、
退院後は左手に筆を括って描き続けたそうです。
翌年4月5日、芹沢は妻の一周忌を目前に
心不全で亡くなりました。享年88。


[本日のオマケ]

芹沢の完成させた『絵本 どんきほうて』は
「合羽摺り(かっぱずり)」によって作られました。
古くは上方(京阪地方)で流行した版画の技法で、
柿渋を引いた厚紙を切り抜き、
刷毛(はけ)で絵の具を摺り付けるものです。

『絵本 どんきほうて』を所蔵している美術館。
●「MIHO MUSEUM」(滋賀県甲賀市)
http://www.miho.or.jp/booth/html/artcon/00004626.htm
(※写真をクリックすると拡大します)
●「芹沢銈介作品(砂川コレクション)」(千葉県 柏市役所)
http://www.city.kashiwa.lg.jp/soshiki/280400/p001259.html

大阪ではユニークな展覧会が開催中♪ 12月16日(火)まで。
●「棟方志功と芹沢銈介
――ふたつの『釈迦十大弟子』を中心に」
(大阪日本民芸館/大阪府吹田市)
※短縮URL
http://urx.nu/cdJs
“板画”の棟方志功の「二菩薩釈迦十大弟子」と、
芹沢の染色による「釈迦十大弟子尊像」が一つの会場で観られます。
私は棟方板画が好きで「十大弟子」は
青森市内の「棟方志功記念館」と
都内での展覧会などで4回ほど観ましたが、
何度、観ようと、その時々で受け止めるものは違いますね。
芹沢の作品もぜひ観たいものです。

芹沢の略年譜が掲載されています。(※文字のみ)
●「物故者記事 芹沢銈介」(東京文化財研究所)
http://www.tobunken.go.jp/materials/bukko/9815.html

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『日曜美術館』で紹介された染色家・芹沢銈介の展覧会は23日が最終日です! [美術・音楽・古典芸能・芝居...etc.]

NHKの『日曜美術館』は1976(昭和51)年から続いている番組で、
加賀美幸子、石澤典夫、山根基世といった
私の好きなアナウンサーが担当の頃は、特に熱心に観ました。
今の井浦 新&伊東敏恵コンビも、
アートが好きだという素直な想いが伝わってくる感じがします。

しかしながら、放映が日曜の朝9時からなので~、
私は、まず起きていない時間帯なんですよ~(涙)。
そんなわけで日曜夜の再放送を観るわけですが、
9月21日の夜は14日の朝の分の再放送で、
染色家の芹沢銈介(せりざわ・けいすけ)を取り上げた内容でした。

番組表を見たときは、私の知らない名前なので、
「銈」って「けい」と読めばいいのかな?という程度の認識でしたが、
新宿区内で行われる「染の小道(そめのこみち)」というイベントに
今夏から関わることになったので、
少しは染色の勉強をしないと~と思い、観ることにしました。

芹沢銈介を紹介するコメントを聞いたら、
あらまぁすごい有名人みたい!
知らなかった私が恥ずかしいんだわ~と思ったのですが、
作品の一部が映った途端、
「あ、これ知ってる!」という作品が何点もありました。

民芸調の居酒屋の店内に掛けてあった暖簾(のれん)、
布小物の大好きな伯母の家で見かけた風呂敷や茶器を覆う布など、
まさしく同じ図柄だったからです。

都内での展覧会の告知もありましたが、
9月23日(火・祝)で終わりなんですよ~!
(14日に番組を観ていれば……涙)。
日曜にTVで紹介されると月曜・火曜は混雑するでしょうねぇ。
行こうか行くまいか迷うところです……。

―――――――――――――――――――――――――――――――――
芹沢の作品から60点、
芹沢の世界の美術・工芸品コレクションから50点を展示。
●「生誕120年記念 デザイナー芹沢銈介の世界展」
(日本橋タカシマヤ/東京都中央区)
http://www.takashimaya.co.jp/store/special/event/serizawa.html

9月下旬から横浜、来年1月初旬から京都・大阪の「高島屋」を巡回。
来年3月~6月は仙台の「東北福祉大学 芹沢銈介美術工芸館」でも開催。

上記の展覧会の会場と会期も載っています。
(※時間帯や定休日は各会場のサイトで確認してくださいまし)。
●「あふれ出る“デザイン” 民藝の巨人・芹沢銈介」(NHK Eテレ)
http://www.nhk.or.jp/nichibi/weekly/2014/0914/

今回の展覧会の紹介サイト(作品の一部の写真も掲載)
・「ART&MORE」(金羊社クリエイティブワークス)
http://art-and-more.jp/2014/09/serizawakeisuke.html
―――――――――――――――――――――――――――――――――

見慣れた作品があると、急に親しみが湧いてくるものですが、
作家本人については全く無知でした。
テレビの情報に加えて、もう少し調べてみることにしましょう。


染色の挑戦 芹沢銈介-世界は模様に満ちている (別冊太陽 日本のこころ)

染色の挑戦 芹沢銈介-世界は模様に満ちている (別冊太陽 日本のこころ)

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 平凡社
  • 発売日: 2011/06/03
  • メディア: ムック



芹沢銈介 文様図譜 (コロナ・ブックス)

芹沢銈介 文様図譜 (コロナ・ブックス)

  • 作者: 静岡市立芹沢〓介美術館
  • 出版社/メーカー: 平凡社
  • 発売日: 2014/09/10
  • メディア: 単行本


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佐野史郎・主演、荒戸源次郎・演出の舞台『安部公房の冒険』を観てきました~。 [美術・音楽・古典芸能・芝居...etc.]

Mサマサマから行けなくなったという
公演のチケット2枚を頂戴し(感謝♪)、
芝居通のゴールデン街「Grey」の順子ママと一緒に
『安部公房の冒険』の初日を観に行きました。
http://alotf.com/stage/abekoubou/
※8月31日(日)まで

安部公房(あべ・こうぼう)は著名な小説家・劇作家ですが、
私は中学生の頃に『砂の女』を読んでアタマが付いていけず、
「不条理とか前衛って、近づかないようにしようっと」
そう思ったんですよね~。

だから、安倍公房を題材に選んだという芝居も
難解なのかなぁ、爆睡しちゃうかもね~と思っていました。
でも、佐野史郎の演技はテレビドラマでしか観たことがなかったのと、
今ではアングラ芝居を好んで観るようになった私としては
佐野史郎が唐 十郎の「状況劇場」(現在の「唐組」の前身)に
所属していたという話は知っていたので、
舞台での演技を観てみたいと思ったわけです。
演出の荒戸源次郎もまた「状況」出身ですしね。
順子さんは佐野史郎が「状況」に出た当時も観ていたそうです。
いいなぁ。もっともっと早く芝居の楽しみを知るべきだった……。

今回の芝居の出演者は4人だけで、
佐野史郎以外の3人は全く知らない人たち。
高校生の頃から芝居を観ているという
大ベテランの順子さんでも
初めて観る人たちだったとか。

会場は初台の「新国立劇場 小劇場」。
18時の開演で、順子さんとは15分前に
会場の受付で待ち合わせしたのですが、
本当に情けなく恥ずかしいことに~、
実は当日、私は寝坊してしまったんですよ(泣)。
前日というか当日の朝4時までゴールデン街で飲んでいたため、
帰宅後は寝たり起きたりと中途半端なことをしていたら
夕方に爆睡してしまったらしく
携帯のアラームも聞こえなかった……。

順子さんの電話を受けたのが
開演時間の18時ちょうど!!!
「頭が真っ白になる」というのは
まさに、このときの私でした。

上演は1時間半とのことで、何としても行かねば!
いえ、たとえ観られなくても
順子さんには謝りに行かねば!
そう思った私は超特急で顔面塗装して着替え、
山手通りへ飛び出てタクシーを拾いました。
そこから初台までは一本道なので
電車を乗り継ぐより早いと判断したわけです。
ありがたいことにタクシーの運転手さんは
劇場周辺に詳しい人だったので、
小劇場に近い出入り口付近で降ろしてくれました。

開演は5分ほど遅れたそうで
私が着席したのは18時25分ぐらい。
順子さんは先に入場して離れた席にいらしたのですが、
とにかく入れただけでもラッキーでした~(涙)。


そこの小劇場は全体が見渡しやすく、
座席の背もたれのクッションもフカフカで
なかなか居心地の好い空間です。
私の隣の女性は、ずっと舟を漕いでいました(笑)。

舞台のセットは2分割されており、
左半分が安倍公房の書斎風(机とソファあり)、
右半分は安倍家のダイニングルームか(食卓風のテーブルあり)。

内容は私の予想と大きく反し、ドロドロの三角関係と
作家としての苦悩を描いたもので、非常に明快でした。

佐野史郎:安倍公房
縄田智子:教え子で愛人
辻しのぶ:妻であり美術家
内田 明:編集者

という役回りを理解したあたりで、
これは安倍公房の長年の愛人だった女優・山口果林の
回想記(告白本とも言われていますが)を
ベースにしたのかなと思いました。
昨年、その本が話題になった頃に
山口果林が出演した「徹子の部屋」を観たのと、
雑誌サイトで山口果林のインタビュー記事も読んでいたからです。

山口果林は18歳のときに
「桐朋(とうほう)学園大学短期大学部
(現・桐朋学園芸術短期大学)」の
芸術科(演劇専攻)に入学しました。
ここの出身者には私の大好きな女優&ブルースシンガーである
根岸季衣(ねぎし・としえ)サマをはじめ、
高畑淳子、志賀廣太郎、中村梅雀、南 果歩といった俳優陣、
永井 愛などの劇作家・演出家といった錚々たる人々がいます。
蜷川幸雄が学長だった時期もありました。

安倍公房はこの大学で演劇を教えており、
山口果林と出会った頃は41歳。
年の差は23歳でした。

妻の山田真知子(安部真知)は美術家で
山口果林の20歳上でした。
夫は’70年代初めに演劇集団「安部公房スタジオ」を発足。
妻は作品の舞台装置や衣装の制作も担っており、
夫婦は演劇の“同志”として
尊敬・協力し合う関係でもありました。

「安部公房スタジオ」が創設された当時の俳優は
田中邦衛、仲代達矢、井川比佐志、新 克利など12名で、
山口果林は看板女優となりました。
芸名である「山口果林」も安倍公房が付けたそうです。


舞台上の安倍公房(佐野史郎)のセリフには、
「ベケットが、イヨネスコが…」あるいは
「唐 十郎が、寺山修司が…」
(「状況劇場が、天井桟敷が…」だったかも)、
というふうに、不条理演劇の代表とされる
劇作家らの名が挙がります。
自己の表現を模索し、苦悩を抱える様子。
でも、私には2人の女の間を行き来する優柔不断で弱い男、
そんな安倍公房の姿が新鮮でした。

山口果林は安倍公房が’80年に妻と別居して以来、
別荘で同居し、
87年には安倍公房が前立腺がんに罹ったため、
公にしないまま闘病を支え、
92年末に脳内出血で入院、年が明けたばかりの時期に
急性心不全で亡くなるまで、
20年以上にわたって愛人のまま、そばに居たそうです。

舞台での妻役は真紅のドレス、愛人役は白いドレスと
あまりにもわかりやすい対比の衣装でした。
妻を演じた辻しのぶは
嫉妬に苛まれる気の強い女の迫力を見せましたが、
愛人役の縄田智子は純粋で素直すぎる感じも……。
それは私の中に
「山口果林なら若い頃も、もっとクセのある感じじゃないの?」
という勝手な思い込みがあるからなんですけどね~。

23の年の差があっても、男と女の関係になれば、
もっと対等で、敬愛もあれば慈しみや憎しみ、
見下すことや突き放すこともある、
というふうになるんじゃないかな~と思うのですが、
そのあたり、なんとなく物足りなく感じました。

佐野史郎は、まるでドラマや映画のセリフを語るように
大きく口を開けないで話す場面でも、
非常に聞き取りやすい発声で感心しました。
やはり舞台で基礎を鍛えた人は違うんだな~と、つくづく納得。

最近、あまりにもセリフが聞き取りにくい、というか
何か叫んでるだけなの?と思う若手が増えている気がするので、
若い劇団員ばかりの芝居を観ると
グッタリ疲れてしまうのですが、
そういう意味では大人の見応えのある舞台に仕上がっていましたし、
緊張感もあって飽きませんでした。

編集者の役はピエロを思わせる衣装で
狂言回しだということが一目瞭然なんですが、
この役は必要だったのかな~?と疑問。
でも、全体の説明役・進行役がいないと
三角関係の3人だけで芝居を構成せねばならないわけで、
それもまた難しかろうとも思われ……。

まぁ、観る側は
いくらでも勝手なことが言えますね~(笑)。


とにかく、いかんせん6千円という料金は
高いなぁと感じますね。
自腹だったら行かなかった……とは順子さんも同じ意見。
順子さんは、いろんな芝居を観すぎていて、
「チケット貧乏なのよ~」と言っていましたが(笑)、
「国立の劇場だからレンタル料は安いはずなのにね!」とのこと。
メジャーな佐野史郎と荒戸源次郎の出演料が高いのか、
主催(?)の劇団「アロッタファジャイナ」とやらの
制作費が掛かり過ぎたのか。

でも、新国立劇場の他の公演も
7千円とか8千円とか高めのようです。
大きな箱モノは莫大な税金を使って造ればオシマイではなく、
劇場の使用料を少しでも安くし
一人でも多くの観客が増やせるように
劇団に負担の掛かりにくい運営が大切だと思うんですよね~。
そうじゃないと文化は育たない!
国立の博物館や美術館は常設展示なら
手頃な料金で本当に助かりますよね。
みんなの税金を投入する国立だからこそ、
民間のホールと同様の料金設定はオカシイと思うのですよ。
ぷんぷん!!


ところで、今回の舞台では
ムダなBGMがなかったこともあり、
突然、フォーレの名曲『夢のあとに』が響いた瞬間は、
メロディが心にじわじわと染み入ってくるようでした。
私はとっても好きな曲なので~、
この選曲には非常に満足!(笑)。

……安倍公房、再読してみようかなぁ。
中学時代とはかなり感性も違う今(トシも充分に取ったしで)、
案外、面白く感ずるかもしれませんよね~。


[本日のオマケ]

インタビュー
●「安部公房とわたし」の真実
女優・山口果林に聞く大作家の実像
(東洋経済オンライン/2013年8月25日付)
http://toyokeizai.net/articles/-/18226

●『安部公房とわたし』山口果林・著
(講談社/2013年)

安部公房とわたし

安部公房の一人娘で医師でもある安部ねりの本に、山口果林のことは出てこないとか。
●『安部公房伝』安部ねり・著(新潮社/2011年)

安部公房伝

安部公房の母は豊かな文才の持ち主だったそうです。
●『スフィンクスは笑う』安部ヨリミ・著(講談社文芸文庫/2012年)

スフィンクスは笑う (講談社文芸文庫)


フランスのチェロ奏者
ポール・トルトゥリエ(1914~1990)の演奏から。
●フォーレ『夢のあとに』(YouTube)
https://www.youtube.com/watch?v=uTGt9QkcSPA

キリ・テ・カナワの美声による
『夢のあとに』が視聴できます。
●「世界の民謡・童謡
有名なクラシック音楽 解説と視聴
――フォーレ」
http://www.worldfolksong.com/classical/faure/apres-un-reve.html

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ゴジラが還暦! あの叫び声やテーマ曲を作った伊福部 昭さんは生誕100周年。 [美術・音楽・古典芸能・芝居...etc.]

今年は「ゴジラ」の生誕60周年だそうで、
映画『GODZILLA(ゴジラ)』が上映中のようです。
http://www.godzilla-movie.jp/

テレビ東京でも「新作公開ゴジラ特集!!」と題して
3本の映画作品を放映するとか。

●「午後のロードショー」13:25~15:25(テレビ東京)
8月4日(月)『ゴジラ2000 ミレニアム』(1999年)
8月5日(火)『ゴジラVSモスラ』(1992年)
8月6日(水)『ゴジラVSスペースゴジラ』(1994年)
www.tv-tokyo.co.jp/program/detail/13645_201408041325.html

私にとって、モスラとくれば「ザ・ピーナッツ」なんですが、
上記のテレビ放映は’90年代の作品ばかりで、
私は1本も観ていません。
(ザ・ピーナッツが出ているのは
’64年の『モスラ対ゴジラ』)。

『ゴジラ』シリーズの第1作が公開されたのは1954年のことで、
監督は本多猪四郎(ほんだ・いしろう/1911~1993)さん。
前年に公開されたアメリカの特撮映画が、
水爆実験でよみがえった怪獣が
ニューヨークの街を破壊するという内容の
『原子怪獣現わる(The Beast from 20,000 Fathoms)』で、
それに影響されて『ゴジラ』の構想が生まれたそうです。

原子怪獣現わる( The Beast from 20,000 Fathoms) [DVD]


1作目と2作目の『ゴジラの逆襲』(’55年)は私が生まれる前の作品ですが、その後の分も含め、私はほとんど後年に放映されたテレビで観たのだと思います。それもミニラが登場した作品までで、その後は興味を失いました。

第3作『キングコング対ゴジラ』(1962年)
第4作『モスラ対ゴジラ』(1964年)
第5作『三大怪獣 地球最大の決戦』(1964年)
第6作『怪獣大戦争』(1965年)
第7作『ゴジラ・エビラ・モスラ 南海の大決闘』(1966年)
第8作『怪獣島の決戦 ゴジラの息子』(1967年)

子どもの頃の私は怪獣や恐竜が大好きで、
よく図鑑を眺めていましたね~。
父親がステレオでクラシックの行進曲をかけるたび、
ゴジラのテーマ曲を収録した赤いソノシートを手に
「こっちをかけて~!!」と、せがんだのも覚えています。
(※ソノシート:レコードの一種で
塩化ビニールのフィルムやシート製)

ゴジラ音楽の多くを手掛けたのが、
伊福部 昭(いふくべ・あきら/1914~2006)さんという作曲家。
ゴジラのあの鳴き声・叫び声も伊福部さんの発想によって
コントラバスをきしむように奏でる方法をもとに、
音響技師がテープを逆回転させるなどして完成させたのだとか。

映画『GODZILLA』の予告編を観てみましたが、
ゴジラの声は似ているようでいて、決定的に違う……。
やっぱり私などは、伊福部サウンドじゃないと
ゴジラではないんですよね~。

その伊福部さんがゴジラ第1作の音楽に取り組んだのは
40歳のときのこと。
1作目のポスターには
「水爆大怪獣映画」という文言も付いているように、
ゴジラは深海にいた恐竜だったのが、
人類のたび重なる水爆実験によって
水爆エネルギーを全身に満たし、
巨大怪獣となって人類に襲いかかる、という設定でした。

その頃は広島・長崎に原爆が投下されてから
まだ9年しか経っておらず、
戦争を生き抜いた人々に
原爆の記憶や傷は生々しいものだったのではないでしょうか。
また、映画の公開は11月でしたが、その年の3月には
アメリカが太平洋のビキニ環礁で行った水爆実験のせいで
日本のマグロ漁船「第五福竜丸」が
被爆するという事件があったばかり。

ゴジラは放射能を吐くという設定も含めて、
「核の落とし子」とも形容されていたようです。

伊福部さんの次兄の勲(いさお)さんはギターの名手で
科学技術者として働いていましたが、
1942年に戦時科学研究の放射線障害が原因で
亡くなったそうです。
伊福部さんが28歳のときのことで、
戦争を挟んだ12年後に放射能や原爆の象徴である
ゴジラの音楽を引き受けることになった際には
複雑な思いもあったのではないでしょうか。
1作目の公開当時は制作者側も観客側も
戦争体験者がほとんどでしょう。

伊福部さんは2005年に
憲法第九条を守り生かそうという音楽関係者の集まり
「音楽・九条の会」の呼びかけ人として名を連ねました。

ほかの映画音楽では『大魔神』や
『座頭市』(勝 新太郎)のシリーズ、
『ビルマの竪琴』(安井昌二、三國連太郎)など文芸作品、
『原爆の子』など、おもに‘40年代後半~70年代後半に
数え切れないほどの作品を書いています。

しかし、伊福部さんは10代から一貫して
クラシック音楽に携わってきた人で、
24歳のときには以前に書いた『ピアノ組曲』が
「ヴェネツィア国際現代音楽祭」で入選するなど
実力派として知られていたそうです。

ロシア生まれの作曲家
アレクサンドル・チェレプニンさんに認められ、
また、伊福部さんも師と仰ぎ、さまざまな薫陶を受けました。
中でも、チェレプニンさんの言葉
「ナショナルであることこそが、インターナショナルである」
には大きな感銘を受けたようで、
自身の作風のベースともなりました。

西洋化を重視する当時の日本のクラシック音楽家とは一線を画し、
日本の民族音楽をはじめ、
アイヌや樺太の少数民族ニヴフ
(ギリヤーク)などに伝わる音楽も採用。
それは伊福部さんが北海道生まれで、
子どもの頃にアイヌの人々と交流し、
その独自の文化に触れたことや
日本全国から開拓団として移住してきた人々の
故郷の民謡を耳にした、
という実体験や記憶も影響しているそうです。

伊福部さんはチェレプニンさんの言葉を言い換えて
「真にグローバルたらんとすれば真にローカルであることだ」
「芸術は、その民族の特殊性を通過して
共通の人間性に到達しなくてはならない」
といった言葉も遺しています。
シンプルでいて実に深い示唆に富む言葉だと思います。

伊福部門下からは芥川也寸志や黛 敏郎をはじめ、
非常に多くの弟子を輩出しました。
2014年の今年は生誕100周年ということで、
コンサートなどが企画され、CDもリリースされています。
映画音楽家という一端だけではなく
大きな足跡を残した一人の作曲家として、
伊福部さんの音楽に耳を傾けてみたいと思います。

●伊福部 昭 公式ホームページ 暫定版
http://www.akira-ifukube.jp/

●伊福部 昭 作品CDの一部

伊福部昭 生誕百年記念アルバム (Akira Ifukube  100th anniversary Album / Teiko Maehashi, Kazuo Yamada, Norihiko Watanabe, Sumito Tachikawa)

伊福部昭 生誕百年記念アルバム (Akira Ifukube 100th anniversary Album / Teiko Maehashi, Kazuo Yamada, Norihiko Watanabe, Sumito Tachikawa)

  • アーティスト: 伊福部昭,山田夏精(一雄),ニクラウス・エッシュバッハー,前橋汀子,東京フィル,NHK交響楽団,渡辺範彦,是安亨
  • 出版社/メーカー: KING INTERNATIONAL
  • 発売日: 2014/05/30
  • メディア: CD


ベスト・オブ・ゴジラ

ベスト・オブ・ゴジラ

  • アーティスト: 伊福部昭
  • 出版社/メーカー: ユニバーサル ミュージック
  • 発売日: 2014/05/28
  • メディア: CD


伊福部昭百年紀Vol.1

伊福部昭百年紀Vol.1

  • アーティスト: 伊福部昭,鹿野草平,齊藤一郎,長原幸太
  • 出版社/メーカー: スリーシェルズ
  • 発売日: 2014/06/10
  • メディア: CD


伊福部昭 作品集

伊福部昭 作品集

  • アーティスト: 伊福部昭,芥川也寸志,山田一雄,井上道義,新交響楽団,新星日本交響楽団,東京交響楽団,藤井一興,小林武史,安倍圭子
  • 出版社/メーカー: フォンテック
  • 発売日: 2011/08/03
  • メディア: CD


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椿組の野外劇『廃墟の鯨』(花園神社)を観てきました~! [美術・音楽・古典芸能・芝居...etc.]

7月13日(日)は公演2日目。
ゴールデン街の長年の兄貴分マッチャン&まさよさん夫妻と
一緒に観に行きました~♪

私は昔から、さほど芝居は観ておらず、「椿組」も初めて。
でも、我らがゴールデン街のトバさん
(俳優で「クラクラ」のオーナーの外波山文明さん)の劇団ですし、
今回の作・演出が、以前、何度か観に行って気に入った
「劇団 桟敷童子(さじきどうじ)」の
東 憲司さんによるものということで興味津々ではありました。

花園神社では「唐組」の赤テント芝居しか
観たことがなかったのですが、
椿組の特設舞台は
よくぞこれだけの仕掛けが造れるものだとビックリ!

私は「唐組」も好きで
特に辻 孝彦さんのファンなのですが、
この蒸し暑い時季にテント内に入って
体育座りでギューギュー詰めだと
途中で気の遠くなるような感じになって
芝居を観ることに集中できない場合もあります。

でも、「椿組」の舞台は
ちゃんと段差&座布団のある客席が設けてある上、
シートで覆われているわけではないので、
暑いことは暑いのですが、
時折、涼しい風も入ってくるのでラクでしたよ~。

そして、肝腎の芝居は予想以上に素晴らしく、
最初から最後まで圧倒され続け、
一瞬たりとも目の離せない緊張感に満ちていました。

つい涙ぐみそうになった場面も多々あったのですが、
最後には感激のあまり涙が止まらなくなり~
(もうメイクもヨレヨレ。笑)。

私は今夜の芝居を死ぬまで忘れないと思います。
トバさん、東さん、椿組ほか出演者の皆さん、
本当にありがとうございました!

あのパワフルな芝居が、
あと10日も行われるなんて信じられないくらいですが、
最終日まで体調を維持して頑張ってくださいね~!!

まだチケットは取れるらしいので、
ご覧になりたい方は以下のサイトからご連絡を♪♪

●「椿組」Webサイト
http://homepage2.nifty.com/tubakigumi/haikiynkujira.html

椿組(花園神社)
マッチャン&まさよさん
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ファッションデザイナーのサイトウマサミちゃんが、衣装を作った芝居の公演です♪ [美術・音楽・古典芸能・芝居...etc.]

友達のマサミちゃんが衣装を手掛けた公演が
7月と8月に行われます!

マサミちゃんはワコールのデザイナーとしてヒット作を連発したほか、
フリーランスの立場で舞台の衣装作りにも携わってきました。
衣類のリメイクも得意中の得意で、洋裁の講師もしています。
愛娘の洋服もほとんど手作りだから、
お嬢ちゃんは1点物のマサミブランドを着るオシャレさん♪
お料理を作ってもプロ級だしで、私は
「ちょっと働き過ぎじゃないの~!?」と、よく言うのですが、
彼女はいつも楽しそうに物づくりに取り組んでいるのです。

さて、7月の公演は
「ポップンマッシュルームチキン野郎」というユニークな名前の劇団。
脚本・演出の吹原幸太さんという方が主宰のようです。

●7月4日(金)~13日(日)
『ウチの犬はサイコロをふるのをやめた』
駅前劇場(下北沢)
http://www.pmcyaro.com/stage/19_uchinoinu/sp/

内容は……
「未来を予知できるシベリアンハスキーのゴルバチョフ。
その能力ゆえに愛を知ろうともしない彼と
一人の惨めな女の出会いが生んだ、
どうあがいても幸せになれない、心温まるヒドイ話。」

だそうです。
ワケがわかりませんが(笑)、
こういう芝居は先入観ナシで行ってみましょ~♪

●「ポップンマッシュルームチキン野郎」のサイト
http://www.pmcyaro.com/index.html


さてさて、8月のほうは
マサミちゃんが以前も衣装を担当していた
劇団「惑星ピスタチオ」(2000年に解散)の
座付作家・演出家・俳優だった西田シャトナーさんが、
自作の戯曲を演出するプロジェクト
「シャトナーofワンダー」による第1作の舞台だとか。

●8月29日(金)~9月1日(月)
『ロボ・ロボ』
サンシャイン劇場(池袋)
http://roborobo.net/

内容は……
「楽園で遭難した、小さな存在たちの物語
そこには、果実がたわわに実っていたが、
彼らに必要な燃料電池はなかった。
そこには、色とりどりの花が咲きこぼれていたが、
彼らの電子頭脳に美しさはわからなかった。
そこは、自由な世界だったが、
彼らはユーザーなしで行動することはできない。
南の島に取り残された家電ロボット7体。
心を持たない彼らが希望を信じることはできるのか。
7人の俳優による、全編ロボットマイムだけの、究極の75分。
人間のいない世界の人間ドラマを、あなたは目撃する。」

だそうです。
これまた私にはワケわからんのですが~(笑)。
初演は’94年の「惑星ピスタチオ」によるもので、
「観客アンケートの回収率が95%に達したという快心の戯曲」とのこと。

「惑星ピスタチオ」には、今やメジャーとなった
俳優・佐々木蔵之介さんが所属していました。
私の友達には小劇団系の芝居通のカップルがいるのですが、
彼らがとても好きだったのが「ピスタチオ」で、私は誘われて
同劇団の解散公演を観た覚えがあります。
めくるめくような展開に戸惑った私は途中で爆睡してしまいましたが(汗)、
友人夫妻は「本当に素晴らしかった!」と非常に感激していました。
誘ってもらったのに寝ちゃうだなんて、
なんて失礼なんでしょう、私って……(泣)。

マサミちゃんにチケット情報を確認してみると、
「今回かなり売れ行き良いらしいので、早めに申し込んで下さいませ!」
とのことでした。早く日程を決めて予約しなきゃ~!!(汗)。
ご興味のある方は、ぜひとも、いらしてくださいまし~♪


[本日のオマケ]
西田シャトナーさんには「折り紙作家」という横顔も。
芝居には興味がないよ~という方も、
この折り紙作品のページは、
ぜひ一点一点、写真を拡大して見てくださいな~。
従来の「折り紙」という概念を超越した、素晴らしい作品群です!
http://www.n-shatner.com/origami/
(※1枚の紙に切り込みナシで折るそうですよ。ビックリ!!)

こちらは、お子ちゃま向け。
西田シャトナーさん原案の絵本のページ。
ロンとゆかいなおてつだいロボット『ロボロボ』
http://robo-robo.com/
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椿組『廃墟の鯨』&「黒田征太郎◎沢田としき師弟ポスター展」&「ポスターハリスギャラリー」 [美術・音楽・古典芸能・芝居...etc.]

俳優の外波山文明(とばやま・ぶんめい)さんは劇団「椿組」の主宰で、ゴールデン街のお店「クラクラ」と「クラクラ2」のオーナーでもあり、また、「新宿ゴールデン街組合」の組長、あ!もとい、理事長もなさっているので、ゴールデン街レシピ本の制作の際にもお世話になりました。

大ヒット映画『テルマエ・ロマエ』では“平たい顔族”の大工の棟梁・岸本役を熱演! G街のオーナーの皆さんや常連さんたち、あるいは多くのファンの方々には“トバさん”の愛称で親しまれている方ですが、そのトバさんプロデュースの野外劇『廃墟の鯨』がG街の隣にある「花園神社」で開催されます。

日時:7月12日(土)~23日(水)
19時開演(期間中、全12回の上演)
会場:「花園神社」境内特設ステージ(新宿区 新宿5-17-3)

●「椿組」のサイト『廃墟の鯨』紹介ページ
http://homepage2.nifty.com/tubakigumi/haikiynkujira.html

この「椿組」の公演の宣伝ポスターは第1回からイラストレーター&グラフィックデザイナーの黒田征太郎さんが手掛けていらっしゃるそうです。

この黒田さんと長友啓典さんが1969年に設立した「K2(ケイツー)」は、広告・出版業に関わる者なら知らない人はいないはず。かつて私が広告会社に居た頃の同僚デザイナーにも、その後、知り合ったフリーランスのデザイナーにも、「K2に入りたくて頑張ったけど叶わなかった…」という人たちがいました。

●「K2」のサイト
http://www.k2-d.co.jp/

その黒田さんが描いた、これまでの椿組のポスター作品と、「K2」に所属し、絵本作家となった故・沢田としきさんの作品の展覧会が、今、福島県いわき市で開催されているそうです。

観に行きたいけど遠いなぁ……と思ったのですが、特急「スーパーひたち」で上野から2時間少々で着くそうですよ! 展覧会の会場まではJR「いわき」駅から徒歩15分、常磐自動車道「いわき中央」ICから車で10分。

●「いわき芸術文化交流館アリオス」公式サイト 「黒田征太郎◎沢田としき師弟ポスター展」のページ
http://iwaki-alios.jp/cd/app/?C=event&H=default&D=01424
日時:7月6日(日)まで。8:30~22:30
会場:「いわきアリオス」本館1F東口ウォールギャラリーほか
(※2Fの喫茶室にも展示があるそうです)。
料金:観覧無料!!(←こんな貴重な展示がタダとはスゴイ!)

7月5日(土)には大塚まさじ、加川 良、中川五郎、三上 寛(以上、敬称略)のライブも行われるそうです。たぶん団塊の世代あたりのフォークソング好きの方々には、たまらないメンバーですよね。

日時:7月5日(土)16:00(開場15:30)
会場:「いわきアリオス 大リハーサル室」
料金:全席自由/前売券3,800円・当日券4,100円・中高生券1,000円(当日のみ)

いわき市周辺に友人・知人のいる方々は、展覧会とライブのことを、ぜひ教えてあげてくださいませ~!

沢田としきさんは生前、東中野に住んでいたことがあるそうです。友人の編集長トモコちゃんがイラスト原稿を受け取りに行っていたそうで、ミニシアター「ポレポレ東中野」のビル1Fにあるカフェ「ポレポレ坐」のテラスで眺められる壁画も、沢田さんが描いたものだとトモコちゃんが教えてくれました。

前述した、いわきの展覧会には渋谷の「ポスターハリスギャラリー」代表の笹目さんも協力なさったそうです。笹目さんとは、先日、G街の「Grey」で初めて隣り合わせたのですが、順子ママに紹介されて名刺交換をした際、今、同ギャラリーで開催中だというDMも頂戴しました。
それがとても素敵だったので、ずうずうしい私は「もっとDMをいただけませんか~? あちこちで配りますよ♪」と言って何枚もいただき、その後、会う人たち(特に女性)に渡したのでした。
蟹江杏さん(ポスターハリス ギャラリー).jpg
「蟹江杏のアリス――アリスボックス原画展」
6月29日(日)まで。13:00~19:00
(※イベント開催日および最終日は17:00まで)


「ポスターハリスギャラリー」は文化村通りと道玄坂の間あたりに位置し、1960年代以降の舞台芸術系のポスターの展示を行っているそうです。

●「ポスターハリスギャラリー」
http://posterharis.com/

同ギャラリーを運営する「ポスターハリス・カンパニー」は、以下の書籍の編集も手掛けました。G街のどこかの店で見せてもらったのですが、装幀も、収録されたポスター作品群も素晴らしい本です!
『ジャパン☆アヴァンギャルド――アングラ演劇傑作ポスター100』(PARCO出版/2004年)


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私の気になる展覧会&映画スケジュール 6月~9月篇 [美術・音楽・古典芸能・芝居...etc.]

【展覧会】
~6月3日(火)
「石川文洋写真展 戦争と平和・ベトナムの50年」銀座ニコンサロン
http://www.nikon-image.com/activity/salon/exhibition/2014/06_ginza.htm#01

~6月8日(日)
「桑原甲子雄の写真 トーキョー・スケッチ60年」世田谷美術館
http://www.setagayaartmuseum.or.jp/exhibition/exhibition.html

~6月9日(月)
「イメージの力 国立民族学博物館コレクションにさぐる」国立新美術館
http://www.nact.jp/exhibition_special/2013/power_of_images/
https://www.facebook.com/the.power.of.images

~6月14日(土)
「青春の詩歌/川端康成の四季と死の美学」日本近代文学館
http://www.bungakukan.or.jp/cat-exhibition/cat-exh_current/4546/

~6月15日(日)
「医は仁術」国立科学博物館
https://www.kahaku.go.jp/exhibitions/ueno/special/2014/ihajin/index.html
「ジャック・カロ――リアリズムと奇想の劇場」国立西洋美術館
http://www.nmwa.go.jp/jp/exhibitions/2013callot.html

~6月29日(日)
「われわれは〈リアル〉である 1920s - 1950s プロレタリア美術運動からルポルタージュ絵画まで:記録された民衆と労働」武蔵野市立吉祥寺美術館
http://www.musashino-culture.or.jp/a_museum/

6月13日(金)~7月13日(金)
「コレクション展 シリーズ時代と美術2 1955~70年 大沢昌助《人物の構図》を中心に」練馬区立美術館
http://www.city.nerima.tokyo.jp/manabu/bunka/museum/tenrankai/schedule.html

~8月10日(日)
「赤松陽構造と映画タイトルデザインの世界」東京国立近代美術館フィルムセンター
http://www.momat.go.jp/FC/titledesign/index.html

6月17日(火)~8月31日(日)
「生誕120年記念 濱田庄司展」日本民藝館
http://www.mingeikan.or.jp/

6月28日(土)~9月15日(月・祝)
「ボストン美術館 華麗なるジャポニスム展――印象派を魅了した日本の美」世田谷美術館
http://www.boston-japonisme.jp/top/

7月20日(日)~9月21日(日)
「あしたのジョー、の時代」練馬区立美術館
http://www.city.nerima.tokyo.jp/manabu/bunka/museum/tenrankai/schedule.html

【映画】
★新宿ミラノ・シネマスクエアとうきゅう
5月24日(土)~
『ラスト・ベガス』(アメリカ)/モーガン・フリーマン♪ デ・ニーロ♪
http://lastvegas.jp/index.html

★ポレポレ東中野
http://www.mmjp.or.jp/pole2/
5月31日(土)~/12:10~
『SAYAMA みえない手錠をはずすまで』/狭山事件の当事者夫妻のドキュメンタリー
http://sayama-movie.com/
6月21日(土)公開予定
『石川文洋を旅する』/沖縄生まれの報道写真家のベトナムと沖縄(ドキュメンタリー)
http://tabi-bunyo.com/

★ギンレイホール(飯田橋)
https://www.ginreihall.com/
~6月6日(金)
『偽りなき者』(デンマーク)9:30 13:50 18:10
『ハンナ・アーレント』(ドイツ・ルクセンブルク・フランス)11:40 16:00 20:20~22:19
http://www.cetera.co.jp/h_arendt/

★シネマ・ジャック & ベティ(横浜・若葉町)
http://www.jackandbetty.net/
6月7日(土)~
『チスル』(韓国)/「済州島4・3事件」の映画化
http://www.u-picc.com/Jiseul/index.html

★下高井戸シネマ
http://www.shimotakaidocinema.com/
6月7日(土)~6月13日(金)
6月16日(月)~6月21日(土) ※21日(土)は上映時間未定
『旅人は夢を奏でる』(フィンランド)/監督・製作・原案・脚本:ミカ・カウリスマキ(アキ・カウリスマキのお兄さん♪)
http://www.alcine-terran.com/tabiyume/index.html

★シネマート新宿
http://www.cinemart.co.jp/theater/shinjuku/
6月28日(土)~
『観相師』(韓国)/ソン・ガンホ主演♪
http://www.kansoushi.net/index.html

★シアター・イメージフォーラム(渋谷)
6月28日(土)~
『収容病棟』(香港・フランス・日本)/中国の精神病院を描くドキュメンタリー(4時間)
http://www.moviola.jp/shuuyou/
前編11:30/後編13:50/前編16:05/後編18:30
※各回入れ替え(整理番号順)、当日一般通し券2,500円、前編・後編別の当日一般券:各1,600円

★シネスイッチ銀座
6月28日(土)~
『マダム・イン・ニューヨーク』(インド)/女性の自立がテーマのコメディタッチ作品?
http://madame.ayapro.ne.jp/

★きゅりあん(品川区総合区民会館)小ホール
http://www.shinagawa-culture.or.jp/hp/menu000000300/hpg000000242.htm
7月22日(火)14:00/19:00
『隣(とな)る人』(日本)/児童養護施設の日常を伝えるドキュメンタリー
http://www.tonaru-hito.com/index.html
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義太夫節を68年語り続けた89歳、住大夫さんの引退公演を涙で見届けた。 [美術・音楽・古典芸能・芝居...etc.]

古典芸能はもとより、美術工芸、料理など
伝統を重んずる世界では、
師匠に叱られながら長年にわたって
研鑽を積み、精進を重ねて
ようやく一人前として認めてもらえるという厳しさがあります。

文楽の場合、「人形遣(づか)い」と呼ばれる技芸員も、
人形の両足を担当する「足遣い」10年、
左手を担う「左遣い」10年を経ないことには、
首(かしら)と右手を操作する
「主遣い(おもづかい)」にはなれないそうです。
義太夫節(浄瑠璃)を語る「太夫(たゆう)」も
三味線を弾く人も、会社勤めの人なら
定年後を考える年代になって初めて
一人前と呼ばれるんですね。

この5月の東京公演は、89歳の人間国宝
竹本住大夫(たけもと・すみたゆう/七世)の
引退公演でもあります(26日が千秋楽)。
戦地から戻って1946年に入門以来、68年。
住大夫さんは重要な場面である
「切場(きりば)語り」の頂点として
今の文楽界を導いてきた人です。

文楽の太夫は、芝居で言うなら
セリフ・ト書き・唄をすべて一人で受け持つので、
登場人物が何人も出てくれば
おじいさんになったり若い娘になったり
幼い子どもになったりと、“語り分け”も必要です。
ヘタな人が語ると、おちおち居眠りもしていられません(笑)。

住大夫さんの声に耳を傾けていると、
脳からリラックスするアルファ波が
いっぱい出ているのかもしれない、と思うほどで、
笑ったり涙したり、あるいは
怒りを覚えたり喜んだりと感情が揺さぶられ、
時には、ウットリがウトウトになって
グッスリ眠ってしまうこともありました。

私は口が悪いので、ほかの太夫だと
「滑舌が悪いな~」「モゴモゴ言ってる」「声が大き過ぎ!」等々、
内心ブツブツ文句を言いながら聴くこともあるのですが、
住大夫さんの語りなら、スーッと物語の世界へ入っていけました。
これはもう名人の域で別格ですから、しょうがない。
それでも、ご当人は
「根が不器用で、声も悪いし、
高い声も出ないし、節回しも下手」と言い、
稽古に稽古を重ねてきたとか。


その住大夫さんが、ついに引退を決意したのは、
「自分の芸に納得のいかないことが増えた」からだそうです。

それは単に老齢だからということではなく、
2012年7月に脳梗塞(こうそく)で倒れたことが原因でした。
退院後に後遺症が出たため、発話訓練や腹筋を鍛えるなど、
通常なら80代には課さないであろう苦しいリハビリを続け、
翌年1月には大阪の「文楽劇場」で舞台に復帰したのです。

住大夫さんの倒れた時期は、
大阪市の当時の市長が文化団体への補助金を見直すと表明し、
「文楽協会」への補助金の減額も
取り沙汰されていた渦中のことでした……。


今年の4月は大阪、5月には東京で開催中の公演は
「七世竹本住大夫引退公演」と銘打たれていますが、
引退の口上は、ご本人が固辞なさったそうです。

住大夫さんの東京での最後の演目は、
『恋女房染分手綱(こいにょうぼう そめわけ たづな)』から
「沓掛村(くつかけむら)の段」の切場。
人形遣いも人間国宝の
簑助さん(80歳)・文雀さん(85歳)を筆頭に、
重鎮・トップクラス・中堅のオールスター共演といった趣でした。

住大夫さんの舞台復帰の直後は、
やっぱり声が細くなったな、弱々しい感じだ…と心配しましたが、
今回は出だしこそ小さいかなと思ったものの
どんどん調子が上がっていき、
クライマックスでの声の張りは
倒れる前と変わらないのでは?と感じたほど。

それだけに引退は非常に惜しまれるのですが、
住大夫さんは
「前と同じことができないのは情けない。
こんな浄瑠璃では観てもらうお客さんに申し訳ない」
と思い、断念したそうです。

政治の世界などを見ると、
引き際を誤った揚げ句、晩節を汚す、
という人たちもたくさんいるように思いますが、
芸能の世界で最高峰まで極めた人が
現役を退く決断をするには
どれほどの葛藤があったことでしょうか。

私は住大夫さんの語りを通じ、
人間の“情(じょう)”というものの多様さや深みを教わった、
そんなふうに思い、感謝しています。
でも、私はまだまだ初心者だから、住大夫さんの語りを
もっともっとナマで聴いて耳を肥やしたかったなぁ……(涙)。

引退の記者会見での住大夫さんの言葉です。

「浄瑠璃、ええもんでっせ。文楽て、ようできてまっせ。
こんな結構なもの、演(や)らせてもらうのは、
ほんまにありがたく、商売冥利(みょうり)に尽きまんな」


[本日のオマケ]

NHK大阪の「KANSAI(かんさい)熱視線」という番組で
放映されたものがYouTubeにアップされています。

●「文楽の鬼 執念の引退公演 ~人間国宝・竹本住大夫~ 1」
http://www.youtube.com/watch?v=FJX5Qqkoa7o
●「文楽の鬼 執念の引退公演 ~人間国宝・竹本住大夫~ 2」
http://www.youtube.com/watch?v=Mqp-TVB-QX8

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文楽(人形浄瑠璃)の5月の東京公演『女殺油地獄』『鳴響安宅新関』を観る。 [美術・音楽・古典芸能・芝居...etc.]

初めて劇場で文楽を観たのは’07年9月のこと。
有能な編集者であり文楽通&歴女の
トモコちゃんに誘ってもらったので、
興味本位で付いていくことにしたのです。
それまでの私にとって、古典芸能と言えば
歌舞伎と能・狂言ばかりで、
「人形浄瑠璃って人形の後ろに居る人間が
目障りで気が散りそう」
などと偏見をもっていました。

「文楽って人形浄瑠璃と、どう違うの?」
文楽協会では「人形浄瑠璃文楽」とも表現していますが、
元は江戸時代の初期に成立した芸能で、
古くは「人形操(あやつ)り」、
のちに「人形浄瑠璃」と呼ばれるようになったとか。
そして、人形芝居の興行主・植村文楽軒の流れを汲む
劇場の「文楽座」が、
人形浄瑠璃の代名詞として広まったそうです。

文楽は大阪が発祥の地で、
その公演は大阪なら「国立文楽劇場」、
東京は半蔵門にある「国立劇場」の小劇場で行われます。
だいたい交互に開催されるので、
東京で観られるのは年に4回。
ほかは地方公演や海外公演もあるようです。
トモコちゃんは多忙な仕事のスケジュールの合間を縫って、
1泊で大阪公演も観に行くという熱心なファンでした。

最初に私の観た演目は、
祭りの最高潮のにぎわいの裏で強欲な舅を惨殺してしまう
『夏祭浪花鑑(なつまつり なにわ かがみ)』と、
菅丞相(かんしょうじょう)こと
菅原道真(すがわらのみちざね)の物語
『菅原伝授手習鑑(すがわら でんじゅ てならい かがみ)』
など。

文楽も歌舞伎も、
タイトルは漢字が並んでいて読みづらいな~、
なんだか高尚で難しそう、退屈するかも、
なんて思う人もいますが、
大阪の庶民の日常を描いた
「世話物」と呼ばれる類の演目などは
今の週刊誌のスキャンダル記事のような内容ですから、
初めてでも取っつきやすいと思います。
最初は聴きづらく小難しそうに思える
義太夫節(ぎだゆうぶし)の語りも、
当時の“大坂ことば”のやわらかな言い回しや
三味線の音色が魅力的に感じ始めると、
人形が人形遣いの姿とも一体となり、
物語にグイグイ引き込まれていくようになりました。


この5月の東京公演で観たのは、
歌舞伎や映画作品でも有名な
『女殺油地獄(おんなころし あぶらのじごく)』。
登場する優男(やさおとこ)は女好きで借金まみれ、
養父や実母、妹に迷惑の掛け通しの上、
揚げ句の果てには、姉のように面倒を見てくれていた
油屋の女房を殺してしまう、もうどうしようもないヤツ!
私は思わず舞台に駆け上がって
「いったい全体どう育ったら
アンタみたいなバカ男になるんだいッ!?」と
胸ぐらつかんでパンパンパンッ!と往復ビンタを食らわしたい、
という衝動に駆られたほどでした、

でも、これが歌舞伎で
仁左(にざ)さまこと片岡仁左衛門(十五世)が演ずると、
凄惨な場面でも身震いするほど美しく色気もあり、
「この人となら、一緒にどこまでも堕ちていきます~」
という心情になるから不思議。
もちろん、観る人によって違うのですが、私の場合は
歌舞伎よりも文楽のほうが
話の内容に純粋に没頭できるんですね。

もう一つの演目は
『鳴響安宅新関(なりひびく あたかのしんせき)』から
「勧進帳(かんじんちょう)の段」。
義経(よしつね)・弁慶(べんけい)・富樫(とがし)という
3人の武士の話です。
軍記物語『義経記(ぎけいき)』等をベースにした
能の『安宅(あたか)』という演目が
歌舞伎や文楽に脚色されたもの。

「安宅の関」とは現在の
石川県小松市にあったとされる関所で、
頼朝(よりとも)に追われる義経が
山伏に扮した弁慶や家臣と共に
奥州(おうしゅう)を目指して落ちのびる途中、
安宅の関守である富樫に義経一行ではないかと怪しまれ、
足止めされる場面。

弁慶はとっさの機転で、何も書いていない巻物を広げ、
「勧進帳(お寺を建てる寄付を募る趣意書)」の内容を
アドリブで読み上げたり、
山伏や修行に関する富樫の質問に対し、
一分の隙もなく返答したり、
それでも疑う富樫の前で
義経を杖でバシバシ叩いたりまでして、
ようやく難を逃れるというストーリーなのですが、
今回は特に、文武に長けた弁慶の
スーパーマンぶりに、いたく感服しました。

実は、富樫も義経だと見破っているにもかかわらず、
弁慶の忠義に感じ入り、山伏一行を見逃してやったわけで、
義経も弁慶も、それを充分にわかって感謝しているという、
“武士の情け”の典型的な話なのですが、
非常に人気があって「歌舞伎十八番」の代表作でもあり、
あまりにもよく上演されるので
「あたかの関じゃなくて、またかの関だ」
なんて冗談にもなっているとか。


文楽・歌舞伎・能楽は年に1~2回、
解説付きの「鑑賞教室」という公演もあります。
以下のサイトには多彩な情報が盛り込まれているので、
ご興味のある方は、ぜひ覗いてみてくださいまし~!

※リンクを貼るにも申し込みが必要というサイトがあるので、
検索用のキーワードを記しますね。

●「日本芸術文化振興会」
文楽をはじめ、歌舞伎、能・狂言、落語、
沖縄の組踊(くみおどり)、日本舞踊、邦楽など
古典芸能のさまざまな情報がたっぷり。
この中の「文化デジタルライブラリー」では
いろんなことが学べる上、公演の一部も観られます。
国立劇場のマスコット“くろごちゃん”もカワイイ♪

●「文楽協会」オフィシャルウェブサイト
太夫(たゆう)・三味線・人形遣いを担う
技芸員の皆さんの写真とプロフィールも掲載。
(舞台写真の画像が、あまり良くないのが残念)。

●「人形浄瑠璃文楽座」
(NPO法人 人形浄瑠璃文楽座 事務局)

●「文楽への誘(いざな)い ~文楽鑑賞の手引き~」
(日本芸術文化振興会ほか)

●「文楽ポータルサイト 楽文楽-らぶんらく-」
(楽文楽運営委員会)

●「淡路人形浄瑠璃」公式サイト(淡路人形協会)

●「人形浄瑠璃街道」(人形浄瑠璃街道連絡協議会事務局)

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ごろうさん(石川吾郎)も出品している原画展が開催中です! [美術・音楽・古典芸能・芝居...etc.]

G街の兄貴分ごろうさんの所属している
「日本出版美術連盟」会員の作品展「粋美挿画展2014」が、
紀伊國屋書店 新宿本店4Fの紀伊國屋フォーラムで開催されています。
(4F奥にある紀伊國屋ホールの手前右側のスペース)。

単行本や雑誌の挿し絵を担ってきた画家たちの作品で、
テーマ別に4つの会期に分かれており、
ごろうさんの作品は以下の期間中に観られます。

●「時代小説の世界」
5月15日(木)まで
10:00~20:00(15日は17:00終了)
※13日(火)・15日(木)の午後は、ごろうさんも会場に居るそうですよ~。

●「ミステリーの世界」
5月30日(金)~6月5日(木)
10:00~20:00(30日は12:00~/6日は17:00終了)

私は10日(土)にマッチャンと一緒に観てきたのですが、
堂 昌一さんという画家(故人)の描いた国定忠次の股旅ものが圧巻!
中でも、余白を生かした素晴らしい構図の水彩作品に惹かれました。
ごろうさんも「お金があれば買いたいよ!」と言っていたほど。
笹沢左保さんの著作「木枯し紋次郎」シリーズなども代表作だそうです。

このサイトのトップページで一部が観られます。
●「日本出版美術連盟」のサイト
http://syuppanbi.com/

ごろうさんが描くのはエアブラシを駆使する作品で、
’1980年代には「スーパーリアル・イラストレーション」と呼ばれて
一世を風靡した技法でもあります。

エアブラシとコンプレッサーという装置を使い、
絵の具を霧状にして吹き付けるそうですが、
一時、その装置を作るメーカーが減っていたところ、
近年ではネイルアートやメイクアップ、フィギュアなどにも活用されるようになり、
「エアブラシアート」の教室で習う人も増えつつあるとか。

●上記のサイト内のごろうさんのページ
http://syuppanbi.com/artists_detail.php?artist_id=2
※人物画の小さな画像をクリックすると拡大画像が観られます。

ごろうさんはヌード作品が多いので
G街では“エロ画伯”とも呼ばれていますが(笑)、
非常に繊細なテクニックを要する技法なので、
作品を観た人たちは、たいてい
「写真みたい~!!」とビックリします。
でも、じっくり鑑賞すればするほど
全く異なる表現手段だということが、わかるはず。

ごろうさんの多くの作品を観るには、こちらへ。
作品の購入もできますよ~♪
●石川吾郎 オフィシャルWebサイト
http://www.goroishikawa.com/

このサイトにある作品の中で、私が好きなのは
『イーナ』と題された外国人女性のヌード。
ウィーン世紀末のロセッティの描く聖女を思い起こすと同時に、
現代アートのようなインパクトも。

展覧会のあとは当然、G街へ繰り出し、
ごろうさん&マッチャンと「K」へ。
その後、まさよさんと「ブラン」で合流し、
ごろうさんが帰ったあとも3人&ヨッシーさんと飲み続けましたが、
おとなしく電車のあるうちに帰宅しました。
私は二日酔いのまま迎え酒のような有り様だったので、帰宅後すぐに沈没。
ごろうさん&マッチャン.JPG
ごろうさんのグループ展.JPG
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